日曜日のコメント返し!牛乳は“子牛から横取りしている?"牛乳と命のその先

2026-08-23 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

日曜恒例のコメント返しから、牛乳と命というテーマまで踏み込んだ回でした。とくに「牛乳は子牛から横取りしているのか」という問いに、川上さんは数字と歴史をもとに、感謝して飲んでほしいという答えを返しています。

この回の要点

  • 牛への向き合い方は酪農家それぞれで、心が通じたと感じることが仕事の力になる
  • 日本のアニマルウェルフェアは、牛に痛みや苦痛を与えないことを前提にした指針
  • 命を「見せる・体験させる」ことだけが、命を大切にする心につながるわけではない
  • 牛1頭が出す30リットルの乳のうち、子牛が飲めるのは10リットルほどで、残りを分けてもらっている
  • 今飲める牛乳は、生産を伸ばそうとした先人たちの努力の積み重ねの上にある

配信の全文(podyの記事より)

日曜恒例、まったりコメント返しのはじまり

この日は8月23日の日曜日。最高気温36度という猛暑のなか、川上さんは牛乳片手に配信をスタートします。

日曜日の恒例は、一週間に届いた質問やコメントを読み上げて答える「まったりゆったりコメント返し」です。この日はコメント数がとても多く、30分で終わるといいなと言いながら始めていきます。

川上 今日はですね、ものすごいコメント数来ておりますんで、30分で終わったらいいなと思いながら、それ以上かかるかもしれません。

リスナーと一緒に牛乳で乾杯するのも、この番組のいつもの流れ。「うまいですね」という一言から、コメント返しが本格的にスタートします。

牛乳石鹸やご当地牛乳、酪農をめぐる小ネタ

最初は昔ながらの道具「PLテスター」の話題から。牛さんの乳房炎を調べるための昔ながらの道具について、リスナーからコメントが寄せられました。

PLテスター 牛の乳房炎や体細胞数を簡易的に調べる検査用の道具。牛乳を薬剤で希釈したときの色や粘りの変化で、乳房の状態を判断します。

続いては、牛乳石鹸についてのコメント。牛乳石鹸のパッケージには「商いは牛の歩みのごとく」という意味が込められているという話が紹介されます。

関西では赤箱、関東では青箱が多いけれど、今は大手ドラッグストアで両方売っているという情報も。川上さんは、投稿文を作ってくれるAIの表現力にも感心していました。

ご当地牛乳の話題では、鳥取県の大山乳業「白バラ牛乳」が登場します。川上さんが「一番おいしい牛乳は?」と聞かれたときに挙げる、地元・鳥取の牛乳です。

川上 本当にさっぱりとしてるんですけど、コクがある。本当においしい牛乳です。僕の地元鳥取県の牛乳ですんで、お取り寄せもできますので、ぜひ飲んでいただけたら嬉しいなと思います。

牛に気持ちは伝わる?酪農家それぞれの向き合い方

リスナーのメイプルさんからは、牛との関わり方についての率直なコメントが届きました。川上さんと同じく「人間の気持ちが牛に伝わることはない」という考えです。

川上 でも、例えば導入で来た牛にずっと警戒されていて、名前を呼んで初めて近づいてきてくれたら、心が通じ合ったと勘違いするんです。

牛にとって自分は餌やブラッシングをしてくれる人間に過ぎない。それでも、そうやってポジティブに考える方が仕事が楽しくなる、というのがメイプルさんの立場でした。

川上さんは、酪農家によって牛への考え方はさまざまで、それが当然だと受け止めます。心が通じ合ったと感じるほうがモチベーションが上がり、それでおいしい牛乳や牛の健康につながるなら、それが一番だと話します。

川上 いろんな皆さんの、酪農家さんの考え方をお伝えしていただくとですね、消費者の皆さんが、あ、そういうこともあるんだっていうのを知ることができますので。

命の教育と、放牧をめぐる問いかけ

ここからは、命や食育に関するコメントが続きます。お肉や酪農について「義務教育に取り入れるべき」という声には、川上さんも今年からの動きを紹介します。

文部科学省の食育の枠組みに「酪農教育ファーム」が入り、これを活用した食育活動が広がりつつあるとのこと。川上さんは、教育関係者にオンラインでの牧場体験を呼びかけます。

酪農教育ファーム 牧場を教育の場として活用し、命や食の大切さを学んでもらう取り組み。牛とのふれあいや酪農体験を通じて、子どもたちの食育につなげることを目的としています。

一方、放牧やアニマルウェルフェアについては、丁寧な意見も寄せられました。放牧させ、幸福度や健康度で正当性を作るべきではないか、という提案です。

これに対し川上さんは、日本のアニマルウェルフェアの指針は幸福度や健康度を測るものではなく、牛に痛みや苦痛をなるべく与えないことを前提にしていると説明します。

さらに、放牧にも虫の被害や餌をめぐる争い、直射日光や寒さといった課題があると指摘。放牧が一概にいいとは言い切れない、というのが川上さんの見方です。

川上 一概に放牧がいいっていうのはちょっと違うんじゃないかなというところですね。現場も努力しておりますので、ぜひ牛乳をたくさん飲んでもらって、直接酪農家さんに応援していただいて。

アニマルウェルフェア 家畜が受ける苦痛やストレスをできるだけ減らし、健康的に飼育しようとする考え方。動物が本来の行動をとれる環境づくりや、痛みを避けることが重視されます。

命を見せるべきか?解剖の授業から考える

学校教育から解剖の授業がなくなったことを惜しむコメントも届きました。目の前で命がなくなるのを見ることが、一番心に響くのではないか、という意見です。

これに対し川上さんは、少し違う角度から考えを述べます。命を「見せない」「体験させない」ことが、本当に悪いことなのか、という問いです。

川上さん自身、酪農家でありながら、自分の子どもに牧場の中や牛が死んだところをほとんど見せていないと明かします。それでも、子どもが動物をないがしろにするわけではないと言います。

命の経験、死んだところの経験をしたから食べ物や命を大事にするかというと、そういうことではないんじゃないかな。 ── 川上

命の大切さを感じる経験は大事だけれど、見せる・体験させることだけが答えではない。難しいテーマだと前置きしつつ、川上さんは自分の考えを率直に語りました。

川上 愚直にですね、一歩一歩、酪農の現場はこうですよっていうのを伝え続けることは、僕はやっていこうかなと思いますんで。

牛乳は子牛のもの?「横取り」への酪農家の答え

この回でいちばん深く語られたのが、「牛乳は子牛のもの」「子牛から横取りしてごめんなさい」というコメントへの答えです。牛乳が好きなヴィーガンの方からの声でした。

川上さんはまず、問いをそのまま返します。人間が食べる「人間のもの」とは何か、と。

川上 そもそも人間が食べる人間のものって何でしょうか。僕は見当たらないです、そういうもの。だから牛乳は子牛のものですよっていうのもちょっとよくわからないです。

続いて川上さんは、牛乳の歴史をひもときます。1万年ほどの歴史のなかで、最初は家族で飲む程度だった牛乳が、おいしく健康にもいいと分かり、生産量を増やす努力が重ねられてきたと語ります。

その結果、いまでは牛1頭あたりの乳量は1日30リットル、多いと60リットルにもなります。ここで川上さんは、「横取り」のイメージに具体的な数字で答えます。

子牛が飲めるのは、限界まで伸ばしても20リットルほど。生まれたての子牛なら6リットルから、多くても10リットルです。つまり30リットル出た分のうち、子牛が飲めるのは10リットルほどというわけです。

30リットルの牛乳と子牛が飲める量

1頭が出す乳量

多い牛で1日30〜60リットル

↓

子牛が飲める量

生まれたてで6〜10リットル、限界まで伸ばしても20リットルほど

↓

人が分けてもらう分

子牛が飲みきれない残りをもらっている

川上 じゃあ残りの20リットル、子牛の分だからっていって捨てちゃうんですか?っていう話で。子牛は一頭しかいないですからね。

子牛から奪っているっていう感覚は、ちょっと皆さん違うんじゃないかな。 ── 川上

川上さんは、この乳量を実現するために積み重ねられてきた品種改良や生産の努力を感じてほしいと話します。だから「奪って申し訳ない」と思うのは違う、というのが結論です。

川上 美味しく飲んで、酪農家さん、牛さんに感謝しながら牛乳を飲んでいただくっていうのが、していただけると嬉しいなというところです。

先人の努力と、いま飲める牛乳のありがたさ

コメント返しの締めくくりに、川上さんは食の歴史そのものへ話を広げます。スーパーやコンビニでいつでも食品を買えるのは、生産を伸ばそうと頑張ってきた先人たちの努力の結果だと言います。

「牛乳は子牛のもの」という言葉でそこで終わってしまうのは、その努力を無視することになるのではないか、と川上さんは投げかけます。

川上 あなたのおじいちゃん、おばあちゃん、そのまたおじいちゃん、おばあちゃんは、絶対牛乳、乳製品で育っています。それで健康を維持して、あなたが生まれてるんだと思ってます。

最後は「みんな牛乳飲んでね。バイバーイ」といういつもの挨拶で、日曜のコメント返しは終わります。相棒のヤマさんの歌声が、牧場の一日を締めくくりました。

まとめ

日曜恒例のコメント返しから、牛乳と命というテーマまで踏み込んだ回でした。とくに「牛乳は子牛から横取りしているのか」という問いに、川上さんは数字と歴史をもとに、感謝して飲んでほしいという答えを返しています。

  • 牛への向き合い方は酪農家それぞれで、心が通じたと感じることが仕事の力になる
  • 日本のアニマルウェルフェアは、牛に痛みや苦痛を与えないことを前提にした指針
  • 命を「見せる・体験させる」ことだけが、命を大切にする心につながるわけではない
  • 牛1頭が出す30リットルの乳のうち、子牛が飲めるのは10リットルほどで、残りを分けてもらっている
  • 今飲める牛乳は、生産を伸ばそうとした先人たちの努力の積み重ねの上にある