牛乳のむ?牧場配信*͛🐮⋆͛R5/6/22

2023-06-22 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

雨の朝の牛舎からお届けされたこの回は、代替肉・アクアポニックス・ヤンマーのアニメ・都市の農園イベントと、これからの農業の話題が詰まった内容でした。川上さんは一貫して、新しい技術が食の選択肢を広げ、困っている人が食べられる世の中につながることを願っていました。

この回の要点

  • 雪国まいたけがキノコを主原料とした代替肉の開発に成功し、川上さんは食の選択肢が広がることを前向きに受け止めている
  • アクアポニックスは魚の糞を養分に変えて野菜を育てる循環型農法で、節水・無農薬・土作り不要が魅力。万博にも展示予定
  • ヤンマーはオリジナルアニメ「見る」を制作し、農業機械メーカーとしての発信力を広げようとしている
  • 吉祥寺パルコの料理会や蔵前JPテラスファームなど、都会で「農」に触れられる取り組みが増えている
  • 川上さんは、こうした動きが都会の人の農業参入や地方移住のきっかけになることを期待している

配信の全文(podyの記事より)

雨で蒸し暑い朝の牛舎から、牛乳で乾杯

この回は6月22日木曜日の朝の配信です。天気は雨で曇り空、気温はあまり下がらず湿度が高くて、牛舎の中は蒸し暑い状態だったそうです。

川上さんは換気扇をゆっくり回しながら牛の様子を見つつ、翌日にウェブ会議が入っていてバタバタするので、今日のうちに餌を大量に追加して準備しておく、という段取りを話しています。

川上牧場は6月の牛乳月間に合わせて、ハッシュタグ「牛乳で歌おう」の企画も進めています。前夜にはお子さんと一緒に歌ってくれた投稿もあったそうで、各SNSで紹介していくと話していました。

ワールドミルクデー 6月1日は「牛乳の日(World Milk Day)」とされ、6月は牛乳月間として牛乳の消費や酪農への理解を広める取り組みが各地で行われます。

そして恒例の牛乳で乾杯。一口飲んで「があー、美味しい。ありがとうございます」と、いつものテンションで配信が始まっていきます。

キノコが主原料の代替肉が登場、畜産への影響は?

最初のニュースは、川上さんが「一番びっくりした」と話す、雪国まいたけの代替肉開発の記事です。PR TIMESからの引用で紹介しています。

内容としては、これまで大豆由来が主流だった代替肉市場に、キノコを主原料とした代替肉の開発に成功したというもの。キノコの低カロリー・低脂質・食物繊維といった特性を生かした、ヘルシー志向の新しい製品だと説明されています。

代替肉 肉を使わずに肉のような食感や味を再現した食品。大豆などの植物由来のものと、細胞を培養して作る培養肉などがあり、環境負荷の低減や食の選択肢を広げる観点から注目されています。

記事の写真ではすでにハンバーグの形に添えられていて、見た目は完全にハンバーグ。川上さんも「見た目はもうハンバーグです」と、食感や食べた感じがどうなるのかに興味を示していました。

代替肉というと、畜産のシェアを奪うのではという懸念もありますが、川上さんの受け止めは前向きです。消費者の食の選択肢が増えて、お肉が食べたくても食べられなかった人が食べられる世の中になるかもしれない、という見方をしています。

川上 消費者の皆さんが食の選択肢が増えて、お肉が食べたくても食べれない人が食べれるような世の中にもなったりするのかなと思ったりして。

一方で川上さんは「バイオ肉」という呼ばれ方には少し引っかかっているようで、ネーミングをもう少し変えてほしいとも話しています。

川上 皆さんが(培養肉を)食べて、より(畜産の)お肉が美味しさを感じられるようになったり、やっぱり本物のお肉って美味しいよねってなるような、そんな世の中になったらいいなと思ったりする。

エビの糞でトマトを育てる「アクアポニックス」、万博にも登場

続いてのニュースは、2025年の大阪・関西万博に展示予定という農業技術です。カンテレの記事から紹介しています。

テーマは「エビの糞でトマトが育つ」という、水を循環させる仕組み。水が少ない地域でも農業ができる技術で、大阪パビリオン前の大きな球体で、上部でレタスなどの野菜を、下の水槽で魚を育てる形が想定されています。

アクアポニックス 水産養殖(アクアカルチャー)と水耕栽培(ハイドロポニックス)を組み合わせた造語で、その両方を同時に行う農法。魚の排出物を微生物が分解して養分に変え、その水で野菜を育てて浄化し、再び水槽に戻す循環型の仕組みです。

記事で紹介されているのは、滋賀県高島市のビワコアクアポニックスという施設です。実際の流れは、水槽の汚れた水をポンプで吸い上げ、フィルターの微生物に分解させて養分豊富な水に変えていく、というものです。

アクアポニックスの水の循環

魚を養殖

オニテナガエビなどを水槽で育て、糞などで水が汚れる

↓

微生物で分解

汚れた水をポンプで吸い上げ、フィルターの微生物が養分豊富な水に変える

↓

野菜に与える

ミニトマトの根が養分を吸収し、水がきれいになる

↓

水槽に戻す

きれいになった水がパイプを通って再び水槽へ戻る

この農法のメリットとして、水を循環させるので節水になること、肥料はすべて魚の排出物で賄うので無農薬の有機栽培になること、汚水を出さないので環境にも優しいことが挙げられています。

さらに大きいのが、土作りがいらない点です。いい土を作ろうとすると3年から長くて5年ほどかかりますが、アクアポニックスは設備を整えればすぐ農業に参入できるといいます。

一方で課題もあります。パイプシステムやポンプなどの設備投資やランニングコストがかかるため、記事で紹介されている方は本業で消防設備の会社を営みながら農業をしているそうです。火災から人を守るだけでなく、食からも人を守りたい、というのがきっかけだと語られています。

川上さんはこの技術にワクワクした様子で、小型版が普及すれば、家庭で魚を育てながら野菜ができる、といった循環も面白いと話しています。

川上 今ご飯が食べれないと、食料がって困っている人が食べれるような世の中になると嬉しいなと僕は思うので、どんどんこういうのも進んでいってほしいなと思いますね。

関連して川上さんは、約50年前の大阪万博で登場したブルガリアヨーグルトの話も出しています。当時は行列ができるほど珍しかったものが、今では一般的になっている。だから最新技術も、何十年か経てば当たり前になるのでは、という見方です。

ヤンマーがアニメ制作、農業機械メーカーの発信力

3つ目のニュースは、ヤン坊マー坊でおなじみのヤンマーが、オリジナルアニメプロジェクトを本格始動するという記事です。Yahoo!ニュース(マンタンウェブ)の引用で紹介しています。

アニメのタイトルは「見る」で、ヤンマーが制作プロデュースを担当。同社のデザイナーが原案を手がけたロボットが登場し、テーマは「人と自然の対峙と調和」だそうです。主人公が仲間と力を合わせ、ロボットと関わりながら成長していく物語だと説明されています。

ロボットのデザインは、ヤンマーの農業機械や建設機械のデザインを担当するデザイン室が原案を担当。「ロボットは人のためにある」というコンセプトで、人に寄り添う有機的なフォルムと、力強く機能的なアタッチメントを両立させたデザインになるといいます。

川上さんはこの背景として、日本の農業機械が海外でも売られるようになっている点を挙げています。田植え機やトラクターは、クボタもヤンマーも海外シェアが上位で、水稲の技術を積み重ねてきたトラクターが海外でよく使われるようになってきた、と話しています。

そのうえで、機械の輸出にアニメを掛け合わせて日本の魅力を発信していく姿勢に注目していました。同時に、酪農業界にはこういう発想がなかなか出てこないことへのもどかしさも口にしています。

川上 なんでこういう発想が酪農業にないのかっていうのは本当にいつも思いますね。

川上さんは「業界の悪口を言うのはダメですね」と一度言い直しつつも、今まで牛乳を飲まなかった人や知ってもらえていなかった人に飲んでもらう取り組みに、どんどんチャレンジしてほしいという思いを語っています。ヤンマーのアニメが成功して、いつか見られるようになると嬉しい、とも話していました。

吉祥寺パルコ屋上の料理会、都市で「農」を体感するイベント

ここからは、都会の人が農業に触れられるイベントの紹介が続きます。まずはJA.com(農業協同組合新聞)の記事から、吉祥寺パルコの屋上で行われる食と農の体験イベントです。

主催はパルコで、農林水産省の補助事業を活用した「農業の魅力発信コンソーシアム」との共同開催。都市農園の野菜を使った料理会と食事会を、吉祥寺パルコの屋上で行うという内容です。

ねらいは、都市の中にも農地があること、その野菜を美味しく調理して食べられることを、農・料理・食卓それぞれから体感してもらうこと。都市の中での地産地消、いわば「ファームtoテーブル」を実践するきっかけを提供する狙いがあるとされています。

ファームtoテーブル 農場(ファーム)から食卓(テーブル)まで、生産者と消費者の距離を近づけようという考え方。地元で採れた食材を身近な場所で味わうことを大切にする流れを指します。

当日は、家庭料理のレシピを発信するYouTubeチャンネル「一人前食堂」のマイさんを先生に迎え、三鷹市の都市農園・鴨志田農園で採れた無農薬の季節野菜で料理会を実施。その後、参加者全員で完成した料理を味わう食事会が開かれます。

さらに、野菜を育てた鴨志田農園の鴨志田さんをゲストに、マイさんが農についてインタビューするトークセッションも予定されていて、その様子は吉祥寺パルコの公式インスタライブでも配信されるそうです。

開催は7月17日で、10時半から13時と16時から19時の2回。参加費は5500円、定員は32人で、応募締め切りは6月25日23時59分までと紹介されています。

スカイツリーを見ながら野菜作り、都市の貸し農園

最後は、東京の貸し農園の話題です。まずは「いろはめぐり」のウェブ記事から、スカイツリーを見ながら野菜作りが楽しめる「蔵前JPテラスファーム」が紹介されています。

2023年に新設された高層ビル・蔵前JPテラスの屋上に開園した、会員制の貸し農園です。スカイツリーを一望しながら、野菜作りやハーブを使ったワークショップが楽しめるのが特徴だと説明されています。

初心者でも安心できるように、道具はすべて貸し出し、スタッフのサポートもあります。都心の駅周辺という身近な場所で気軽に野菜作りを楽しめるようにしたいという発想から生まれた「まちなか菜園」の一つで、新宿・恵比寿・荻窪などの駅直結の商業施設の屋上にもあるそうです。

蔵前JPテラスファームには2つのプランがあります。1つはシェア菜園を使う「くらし遊ぶ」、もう1つは自分だけのスペースを持てる貸し菜園です。

蔵前JPテラスファームの2つのプラン

くらし遊ぶ(シェア菜園)

草花や果樹、ハーブが植えられたシェア菜園を使い、月1回のワークショップやイベントを楽しむプログラム。半期で1人2万5000円。

VS

貸し菜園

32区画に分かれ、自分だけのスペースで好きな野菜を育てられる。1区画あたり1人7万5000円。

貸し菜園では、春夏と秋冬の年2回、それぞれ約50種類の種苗から選べます。5月下旬時点では、会員さんが4月に植えたトマトやバジル、トウモロコシなどの春夏野菜が育ってきていたそうです。

道具はすべて揃っていて毎回手ぶらで通え、来園の目安は週1回程度。サポートスタッフが畝の立て方や道具の使い方を実演形式で教えてくれるので、初心者でも始めやすい仕掛けが用意されています。

川上さんはこうした都市農園について、都会の人が農業に参入して「農業っていいな」と感じてくれることが、地方への移住のきっかけにもつながるのでは、と期待を寄せています。

この日は「新しい農業の形」をテーマに、代替肉から都市農園まで幅広く紹介する回でした。配信はstand.fmやSpoonにもアーカイブがアップされると案内し、締めくくりには天気が悪く体調を崩しやすい時期をふまえて、国産の牛乳やお肉を食べて元気に過ごしてほしいと呼びかけています。

みんな牛乳飲んでね。 ── 川上

お便り募集のお知らせ

配信の最後は、ヤマさんによるお便り募集の案内です。川上牧場では、リスナーからのお便りや感想を募集しています。

「川上牧場とやってみたいこと」「やってほしいこと」などを、コメント欄やDMで気軽に寄せてほしいと呼びかけています。

ヤマ 皆さんのご意見が新しい酪農を作っていきます。

まとめ

雨の朝の牛舎からお届けされたこの回は、代替肉・アクアポニックス・ヤンマーのアニメ・都市の農園イベントと、これからの農業の話題が詰まった内容でした。川上さんは一貫して、新しい技術が食の選択肢を広げ、困っている人が食べられる世の中につながることを願っていました。

  • 雪国まいたけがキノコを主原料とした代替肉の開発に成功し、川上さんは食の選択肢が広がることを前向きに受け止めている
  • アクアポニックスは魚の糞を養分に変えて野菜を育てる循環型農法で、節水・無農薬・土作り不要が魅力。万博にも展示予定
  • ヤンマーはオリジナルアニメ「見る」を制作し、農業機械メーカーとしての発信力を広げようとしている
  • 吉祥寺パルコの料理会や蔵前JPテラスファームなど、都会で「農」に触れられる取り組みが増えている
  • 川上さんは、こうした動きが都会の人の農業参入や地方移住のきっかけになることを期待している