中学生職場体験受入中🐮②

2023-09-21 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

職場体験2日目の授業は、1万円をどう増やすかという宿題から始まり、投資のリスク、物とお金の価値、自分への投資、そしてAIの使い方まで、実演を交えて幅広く展開されました。学校では習いにくいテーマを「やってみないとわからない」という姿勢で伝えたのが印象的な回です。

この回の要点

  • 中学生が最初に選んだFXについて、川上さんは「周りに儲けている人が何人いるか」と問い、失敗する人の方が多いためおすすめしないと説明した
  • 投資信託は複数の銘柄を袋詰めにしてリスクを分散する仕組みで、レバレッジのように資金を担保に大きく借りる方法は危険だと注意した
  • ボールペンの売買実演を通じて、物が減ると価値が上がる需要と供給、そして「お金があるところに集まる」原則を伝えた
  • 他人に預けるより「自分に投資する」ことを最優先に、と川上さんは強調し、実際に取ってきた資格を見せて技術は海外でも通用すると語った
  • AIは怖いものではなく飛行機や車と同じで、使ってみることが大事だとし、画像生成AIやLINEのAI家庭教師を実演。明日は「どうやったら牛乳を飲んでもらえるか」が宿題になった

配信の全文(podyの記事より)

1万円を増やす宿題、中学生が選んだのは「FX」

職場体験2日目、川上さんは前日の帰り際に宿題を出していました。中学生2人に「1万円をどうやって増やすか」を考えてきてもらうというものです。

1人が調べてきた答えは「FXの投資」でした。ネットで「お金増やす方法」と検索して、一番よく出てきた手段だったそうです。

中学生 FXの投資。

川上 FXは何でしたか?投資です。FX危ないとかFX危険とか、そんなのなかった?

調べてみた印象を、中学生は「楽そうだけど怖い」と表現しました。うまく予想できれば簡単そうに見える一方で、失敗したときのマイナスの大きさが引っかかったようです。

中学生 楽だけど、失敗したらめっちゃマイナス。だから怖いなって。

FX 外国為替証拠金取引のこと。円やドルなど通貨の価値の変動を利用して利益を狙う投資で、少ない資金で大きな取引ができる分、損失も大きくなりやすいと言われています。

「周りにFXで儲けてる人、何人いる?」という問い

川上さんは「すぐできる」と書いてあったからFXがいいと思った、という中学生に対して、シンプルな質問を投げかけます。身の回りの大人でFXで儲けている人が何人いるか、というものです。

川上 君の周りとか大人とか見て、FXで儲けてる人、何人いる?

中学生 0(人)。

答えは「0人」でした。中学生自身も、簡単そうに見えて実際にやる人が少ないのは難しいからではないか、と考え直します。

中学生 する人が少ないって、(FXが)難しいから。だからやらないのかな。

最終的に中学生は「FXをやろうとは思わなかった」と話しました。ネットで見た情報の7割くらいが「恐怖」を感じさせるものだった、というのが理由です。

FXは「ハイリスク・ハイリターン」、川上さんも経験あり

川上さんはFXや株式投資について、リスクが大きくハイリスク・ハイリターンなものだと説明します。銘柄や国によって性質がまったく違い、知識をつけて勉強すれば儲けることもできる、と話しました。

一方で、川上さん自身もFXを10万円ほどでやったことがあると明かします。かかるお金、労力、勉強の手間、そしてギャンブル性の高さを実感したそうです。

川上 ロシアとウクライナが戦争になるのって、予想してた?国が豊かになるかどうかって、災害とかもあるし、全然わかんない。予測できないから、減るリスクの方が怖いなって思うね。

結論として川上さんは、失敗する人のほうが多いからおすすめはしないと話します。ただし、貯金をした上で「なくなっても大丈夫」と思える範囲のお金でやるなら、選択肢としてはありだと補足しました。

失敗する人の方が多いから、僕はオススメしません。 ── 川上

もう1人が選んだ「投資信託」、袋詰めのたとえで理解する

もう1人の中学生が調べてきたのは「投資信託」でした。お母さんが以前やっていて「まあ大丈夫」だった、という身近な例も出てきます。

川上さんは投資信託を、株式や債券などいろんな銘柄を「袋に詰めたもの」にたとえて説明しました。1つの国や通貨が下がっても、他の銘柄でカバーできるためリスクが分散される、という仕組みです。

川上 10の中の10個買った国の中の1、2(つ)落ちても、他のところが伸びれば、リスクが低いよねみたいな。そういうのが投資信託です。

投資信託 投資家から集めたお金を専門家がまとめて運用し、株式や債券など複数の資産に分散して投資する金融商品。1つに集中投資するよりリスクを抑えやすいとされますが、元本が保証されるわけではありません。

債券 国や企業がお金を借りるために発行する証書のこと。国が発行するものは国債と呼ばれ、満期には利息をつけて返してくれますが、その国の通貨や信用の状況によって価値が変わります。

円安と「1万円の価値」、比べると見えてくること

話は物の価値とお金の価値に移ります。川上さんは、日本の価値が落ちていることで、1万円の価値自体もどんどん下がっていると問いかけました。

「1万円は1万円じゃん」と言う中学生に、川上さんは「比べたときに」と返します。すると中学生が、他の通貨と比べたときに価値が変わることをなんとなく理解している様子を見せ、川上さんは驚きます。

川上 学校で習ってないでしょ。でも知ってんだ、そういうこと。すごいね。

川上さんは円とドルを例に説明します。円の価値が下がればドルの価値が上がり、輸入品の値段が上がる、という流れです。

川上 牛さんの餌とかは輸入で全部アメリカから買ってるんだけど、円の価値が低いから、今まで10キロ買えてたやつが8キロとか9キロになっちゃうよね。

信用でお金を借りる「レバレッジ」、でも絶対やらない方がいい

川上さんは、自分の持つお金を担保にしてより大きな金額を動かす仕組みも紹介しました。これがFXなどで使われるレバレッジです。

川上 100万円を担保にして、200万円貸してくださいよと。そしたら手元に300万円になるでしょ。信用を担保させることによって、もっと多くの金額を使うことができる。

ただし川上さんは、これは絶対にやらない方がいいと強く注意します。相場が急に下がると、一気にお金がなくなる危険があるからです。

川上 アメリカに何かミサイル飛んできましたとか、他の国と戦争始めましたとかしたら、一気にドーンと下がっちゃうから、一気にお金がなくなる。

レバレッジ 自分の資金を担保に、それより大きな金額を借りて取引する仕組み。少ない元手で大きな利益を狙える反面、相場が逆に動くと損失も何倍にもなり、資金以上の損を抱えることもあります。

ボールペン1本を売ってみる、需要と供給の実演

川上さんは「他の増やし方」として、まず物の価値の勉強を提案します。手元のボールペンを題材に、中学生に「これを売ってみて」と実演をさせました。

中学生は「安くする」「セットで値下げする」といった売り方を考えますが、それだと手元のお金が減ってしまう、と川上さんは指摘します。

中学生 1個だと120円だけど、3つ買ったら1万円で値下げします。

川上 いやいや、そしたら(お金が)減っちゃうじゃない。

次に川上さん自身が売り手になります。まず中学生からボールペンを安く買い取り、相手の手元からボールペンをなくした上で、書く必要がある場面を作って高く売りつける、という流れを演じました。

川上 今メモしてくださいよ。ボールペンないでしょ。ここにこのボールペンがあります。今なら5000円で売ってあげますよ。

物が減ると価値が上がる、円もボールペンも同じ

この実演を通じて川上さんが伝えたのは、需要と供給の考え方です。世の中にある物の量が減ると、同じ物でも価値が上がる、という原則を示しました。

物の量が減ると、物の価値が上がります。同じボールペンなのに。 ── 川上

これは円の話とまったく同じだと川上さんは続けます。みんなが当たり前に持っていると価値が下がり、みんなが欲しがると価値が上がる、という点で通貨も物も共通している、というわけです。

さらに川上さんは、このやり方でお金を集めると、買い手の手元のお金が減り、次の物が買えなくなる状況が生まれると説明します。お金があるところにお金が集まり、ないところには集まらないというのが基本原則だと話しました。

川上 そういう状況を作り出している大人がいるんだよ。めちゃめちゃ怒られるけど、これが世の中で行われていることです。

一番おすすめは「自分に投資する」こと

投資の話に戻り、川上さんは本題を切り出します。証券会社や銀行にお金を預けて増やしてもらうのも1つですが、自分が1万円を持って増やすにはどうすればいいか、という問いです。

その答えが「自分に投資する」でした。意味がわからないという中学生に、川上さんはフォークリフトの資格を例に説明します。

川上 1万円でフォークリフトの資格を取れば、それから先、残りのずっと、それ以上の価値を生んでお金儲けすることができるでしょ。

英語の勉強なども同じで、一度身につければその後ずっと使える、と川上さんは話します。他人に預ければ相手の失敗や戦争でお金が消える可能性もあるけれど、自分への投資なら、頑張り次第で自分の価値を上げられる、というのが理由です。

自分に投資するのを一番優先で考えた方が、もっとお金を儲けることができる可能性を秘めている。 ── 川上

英検やAI、資格を選ぶときに気をつけたいこと

どんな資格がお金儲けにつながるか、という話になり、中学生は「英検」を挙げました。ただ川上さんは、AIやGoogle翻訳が普及した今、英語の位置づけも変わっていると投げかけます。

中学生 (AIで)もう十分。

それでも英語がわかった方がいいのは確かだ、と川上さんは補足します。話は資格全般に広がり、車の免許にも大型・普通・バイク・船などいろんな種類があることを中学生と確認しました。

川上さんが持つ資格、酪農がダメでも食べていける理由

川上さんは、自分が学生時代から取ってきた資格を実際に見せていきます。15歳から新聞配達やレストランでアルバイトをし、小学6年生の頃からずっと酪農家を目指していたそうです。

川上 北海道に行って牧場を買うにはお金を貯めないといけないって思ってたんで、ずっとそうやってやってました。

見せてくれた資格は、家畜人工授精師、フォークリフト、玉掛け、アーク溶接、ガス溶接、小型移動式クレーン、小型車両系建設機械などです。

川上さんが持っている資格

家畜人工授精師

フォークリフト

玉掛け

アーク溶接

ガス溶接

小型移動式クレーン

小型車両系建設機械

これだけ資格があれば、もし酪農が続けられなくなっても働き口がある、と川上さんは話します。免許そのものは海外では使えなくても、技術は海外でも通用する、という点も強調しました。

技術持ってるとね。免許は使えないけど、技術だけは海外でも使えます。 ── 川上

資格の「選び方」も難しい、使わなければ意味がない

一方で川上さんは、資格の投資には落とし穴もあると注意します。将来つく仕事で使わない資格を取っても、かけたお金も時間も無駄になってしまう、というものです。

川上 自分が使わない仕事の資格取っても意味がなくなっちゃう。使った時間もなくなっちゃうし、使ったお金もなくなっちゃう。投資の仕方、また難しいね。

だからこそ、お金を増やす→資格が役立つ→どんな資格があるか→その資格で何をするか、と順番に調べていくことが大事だと川上さんは説明します。

お金の増やし方を考える調べ方の順番

お金の増やし方を調べる

まず増やす手段を検索してみる

↓

資格が役立つと気づく

自分に投資する発想にたどり着く

↓

どんな資格があるか調べる

世の中の資格を検索する

↓

その資格で何をするか調べる

仕事につながるかを確認する

なお、フォークリフトのように費用も時間もかからず(2〜3日で取れる)、持っておいても損がない資格もある、と川上さんはバランスも示しました。

AIは怖い?便利?中学生に聞く

話題はAIに移ります。川上さんは、これからAIが確実に普及することを前提に、スマホと同じように使い方を知らないと困る時代が来ると話しました。

川上 人間がやる仕事は7割減るって言ってます。

中学生の反応は分かれました。1人は「便利」、もう1人は「怖い」と答えます。怖い理由として挙がったのは「制御が効かなくなったらヤバそう」という点でした。

中学生 (AIで)失業者とか増えそう。

中学生 制御とか効かなくなったらヤバそう。

牛の草は1種類?質問に答える休憩コーナー

休憩がてら、リスナーからの質問にも答えます。「牛が食べる草に種類はあるのか」という質問に、中学生は「1種類だった」と答えましたが、実際は種類が豊富です。

川上さんは飼料作物のガイド雑誌を見せながら、トウモロコシ、ソルガム、スーダン、イタリアンライグラスなど多くの種類があることを紹介しました。

川上 牛さんも炭水化物とかタンパク質、脂質とか、食べ物のバランスが大事って言ってたけど、それと一緒で、草も栄養価が違って、バランスを見ながら与えています。

河川敷で刈った雑草を食べさせる取り組みについての質問にも答え、基本的に雑草は食べるものの、ゴミや外来種のセイタカアワダチソウなど毒性のあるものが混じるリスクもあると説明します。

川上 皆さんが捨てるためにお金がかかるものを、牛に食べさせて牛乳やお肉に変えていくという観点もあります。

「こんな牛乳あったらいいな」をAIで作ってみる

川上さんは、リスナーの「こんな牛乳が飲みたい」という声を画像生成AIとChatGPTで形にする取り組みを毎日やっていると紹介します。

画像生成AI 文章で指示するだけで、絵やイラストを自動的に描いてくれるAI。ここでは有料版のMidjourneyが使われ、商用利用が許される範囲や著作権に気をつける必要があると話されています。

中学生が出したアイデアは「時間が戻る牛乳」でした。100ml飲むごとに1時間戻れる、牛乳の中に時計が入っている、という設定です。

中学生 100ml飲むたびに1時間(戻れる)。

川上さんは、AIには「あなたは何をする人か」を伝えて指示することが大事だと実演しながら説明します。画像を作ったあと、商品紹介文まで500文字でAIに書かせました。

川上 AIに、あなたは商品を紹介するスペシャリストですと(伝えて)、さっきできたイラストを紹介する文章を500文字で作成してくださいというのをお願いしました。

出てきたのは「時計牛乳」という商品名と、時計の形の角を持つ牛から搾った不思議な牛乳、という物語仕立ての紹介文でした。ばらばらだったキーワードを、AIが1つの商品説明にまとめ上げたわけです。

怖いは「使ってみないとわからない」から、飛行機も車も同じ

AIを怖いと感じる理由について、川上さんは「使ってみないとわからないから」だと話します。職場体験も最初は怖かったはずで、それと同じだ、というわけです。

川上さん自身は普段からAIを使っているため恐怖感は少なく、これからみんなが使うものに対して怖がるのはもったいない、と若い2人に伝えます。

川上 飛行機ができた時、飛行機怖えっていう人もいたし、車ができた時、車怖えって言ってた人もいる。それと一緒だと僕は思う。

一方で、セキュリティや著作権の問題には気をつける必要があること、AIの回答が間違うこともあるため基礎知識と校閲が欠かせないことにも触れました。

学校では習えない?LINEのAI家庭教師を実演

今後、中学生たちが18歳になる頃には仕事場でAIが当たり前に使われている、と川上さんは見通しを語ります。ただ、文部科学省が学校教育でのAI利用に慎重なルールを検討しているため、学校では学びにくいのが現状だとも説明しました。

そこで川上さんは、LINEのAI家庭教師機能を使い、実際に苦手科目の相談をしてみせます。英語が苦手だという中学生の質問に、AIはこう答えました。

川上 大丈夫。みんな最初はそうだよ。毎日少しずつ覚えることから始めよう。例えば好きな歌の英語の歌詞を覚えたり、毎日一つ新しい単語を覚えたりすることだね。

数学の二次方程式についても質問すると、公式の形や、なぜその公式が成り立つのかを学ぶといい、というアドバイスが返ってきました。AIを学びの相棒として使えることを示す実演です。

明日への宿題は「どうやったらみんなが牛乳を飲むか」

最後に川上さんは、物の価値もお金の価値も学校では教えてくれないから、自分で勉強しやってみるしかないと締めくくります。友達や家族とのお小遣いのやり取りも、練習の場になるというアドバイスです。

そして明日の宿題として「どうやったらみんなが牛乳を飲むか」を考えてくることを出しました。お金や物の価値の考え方、AIも使ってよい、というものです。

川上 今世の中、全然牛乳飲む人少なくなってます。どうやったらみんなが牛乳飲むかを考えてください。明日、皆さんにプレゼンしていきます。

大人が一生懸命考えても発想が出てこないからこそ、若い2人のアイデアに期待している、と川上さんは語ります。良いアイデアはパクる、と冗談を交えつつ、一緒に考えていきたいと結びました。

川上 若い君たちの方が、絶対これからのこととか考えるしね。どうやったら売れるかって、絶対そっちの発想を使った方がいい。

まとめ

職場体験2日目の授業は、1万円をどう増やすかという宿題から始まり、投資のリスク、物とお金の価値、自分への投資、そしてAIの使い方まで、実演を交えて幅広く展開されました。学校では習いにくいテーマを「やってみないとわからない」という姿勢で伝えたのが印象的な回です。

  • 中学生が最初に選んだFXについて、川上さんは「周りに儲けている人が何人いるか」と問い、失敗する人の方が多いためおすすめしないと説明した
  • 投資信託は複数の銘柄を袋詰めにしてリスクを分散する仕組みで、レバレッジのように資金を担保に大きく借りる方法は危険だと注意した
  • ボールペンの売買実演を通じて、物が減ると価値が上がる需要と供給、そして「お金があるところに集まる」原則を伝えた
  • 他人に預けるより「自分に投資する」ことを最優先に、と川上さんは強調し、実際に取ってきた資格を見せて技術は海外でも通用すると語った
  • AIは怖いものではなく飛行機や車と同じで、使ってみることが大事だとし、画像生成AIやLINEのAI家庭教師を実演。明日は「どうやったら牛乳を飲んでもらえるか」が宿題になった