“Rice or Die”の違和感。若者のせいにしない農業の在り方

2025-06-15 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

こんにちは、川上牧場の川上です。

今日は、米袋メーカー「朝日パック」さんが立ち上げた特設サイト『Rice or Die』について、少し立ち止まって考えてみたいと思います。

タイトルはかなり衝撃的。

「米か、死か」。

でも、この強烈なコピーを見たとき、あなたは何を感じましたか?

私は「このタイトルの矛先が、またしても“若者”に向いているのではないか」と感じ、正直なところ少しモヤモヤしてしまいました。

「米か、それとも…」 直面する課題、若年層に問う アサヒパックが特設サイト / 日本農業新聞公式ウェブサイト

米袋の専門メーカー・アサヒパック(大阪市・・・

www.agrinews.co.jp

◆ 米袋メーカーが叫ぶ“危機”のリアル

『Rice or Die』は、耕作放棄地の増加や後継者不足といった、米農業が直面する課題に警鐘を鳴らす取り組み。

しかも、それを叫んでいるのは「朝日パック」という米袋専門メーカー。つまり“裏方”の存在です。

こうした企業が、農業の未来に危機感を持って声を上げること自体は、非常に意義深いと感じます。

農業は、農家だけのものではない。

作る人、包む人、運ぶ人、売る人、食べる人。すべてのプロセスが一つの産業を支えています。

◆ 若者が“悪者”になってはいけない

ただ、強いメッセージには注意が必要です。

「若者は米に関心がない」「農業を見捨てている」という論調に流れてしまうと、責任の矛先を間違えてしまいます。

私たちが今、食べるものに不自由しない生活ができているのは、

戦後の人々が命がけで食料を増やし、仕組みを整えてきたおかげです。

今の若者は、その成果の上に育っただけ。

だからこそ、興味が薄れているのは“構造的な結果”でもあると私は思います。

◆ 食や農に興味がないのではなく、「触れる場」がないだけ

実際、私の牧場では小中高生の体験を積極的に受け入れています。

すると、みんな目を輝かせて牛と接し、お米や牛乳の話にも真剣に耳を傾けます。

関心がないのではなく、出会ってないだけ。

出会える場を作る努力を、私たち大人がしてこなかったのではないでしょうか。

◆ 「構造」としての農業の問題

耕作放棄地の拡大や米消費の低下、後継者不足――。

これらの課題は単に「若者の無関心」では片づけられません。

・非効率な農地には誰も手を出したくない

・補助金がなければ成立しない

・新規就農者に対して古い価値観を押しつける風土

・政策と貿易の流れで、国産の立場が弱まる仕組み

構造的な問題に対し、“感情的な問いかけ”だけをぶつけても、現実は動かないと私は思います。

◆ 責任のなすりつけより、次の一手を

もちろん、未来を担うのは若い世代です。

でも「お前たちの責任だ」と責めるのではなく、

**「バトンをちゃんと渡せる形に整える」**のが、私たち中間世代の責任です。

ぼろぼろのバトンを押しつけられても、誰も受け取る気になれませんよね?

◆ 僕らにできること:行動と発信

私は今、以下のような取り組みを地道に続けています。

・地元の学校での出前授業・職業体験の受け入れ

・オンラインでの牧場見学や授業の実施

・SNSやYouTubeでのわかりやすい農業の発信

・子供食堂への牛乳提供を目的としたNFTアートプロジェクト

農家一人ひとりが発信者になり、関われる場を作ること。

それこそが「農に触れる世代」を育てる第一歩ではないでしょうか。

◆ “Rice or Die”という挑戦へのエールとお願い

今回の『Rice or Die』は、確かに強いメッセージです。

その背景には、朝日パックさんの「どうにかしたい」という必死の思いも感じました。

実際、朝日パックさんはこれまでも食育や社会貢献に積極的な企業。

だからこそ、今回のキャンペーンが単なる“炎上商法”ではないと信じています。

このメッセージをきっかけに、「若者 vs. 大人」ではなく、

世代を超えて“未来の農業”を考えるきっかけにしていきませんか?

◆ まとめ:若者のせいにしない農業へ

最後に、私がこの記事で伝えたかったことを一言で言うと:

農業の未来を、若者の無関心のせいにしてはいけない。

必要なのは、仕組みを見直すこと。

出会いの場を増やすこと。

そして、次の世代に希望を渡すこと。

私たち中間世代が、その“橋渡し役”になれるよう、今日も牛とともに頑張っていきます。

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今日も牛乳で乾杯!

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