日曜日のコメント返し!一通の手紙が教えてくれたこと
2026-02-21 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
https://youtu.be/WsyjNle3jmI?si=WQhdmQ9QbDGjNKsa
おはようございます。
島根県出雲市で酪農をしている、川上牧場の川上です。
日曜日恒例の、まったりゆったりコメント返しの日。
こういう回は、派手なニュースがあるわけでもないし、何か大きな出来事を発表するわけでもありません。でも僕は、この時間がけっこう好きです。
なぜかというと、発信って「話すこと」だけじゃなくて、「返ってきた言葉を受け取ること」まで含めて、初めて成り立つものだと思っているからです。
毎日音声配信をして、Noteにして、SNSでも発信していると、少しずついろんなところから声が届くようになります。
YouTube、StandFM、TikTok、Instagram、Note。
場所は違っても、そこにあるのは全部「誰かが時間を使って、こちらに言葉を返してくれた」という事実です。
これって、当たり前じゃないんですよね。
しかも今回は、いつものコメント返しの最後に、ひとつ特別な出来事がありました。
それが、牧場見学に来てくれた中学生の子から届いた一通の手紙でした。
今日は、そのことも含めて書いてみようと思います。
日曜日のコメント返しが持っている役割
日曜日のコメント返しは、僕の中では単なる雑談回ではありません。
もちろん、牛乳で乾杯したり、天気の話をしたり、ちょっとゆるく雑談したりもします。
三連休の話をしたり、「みんなご当地牛乳飲んでますか?」なんて言ったりもする。
でも、そのゆるさの中に、実はすごく大事なものがあると思っています。
それは、発信を一方通行で終わらせないことです。
情報発信って、放っておくとどうしても「こっちが話して終わり」になってしまいます。
でも本当は、リスナーさんや読者さんが何を感じたか、どこに引っかかったか、何に疑問を持ったか。その反応の中に、次の発信のヒントがたくさんあるんです。
たとえば、牛の歯の話。
「牛の歯は生え変わるの?」「虫歯はあるの?」みたいな質問って、酪農家の中ではあまりに日常すぎて、わざわざテーマにしないことも多いです。
でも、消費者の方から見ると、そこが気になる。
ホルスタインのオスやジャージーのオスの話もそうです。
「本当にすぐ殺処分されちゃうの?」という不安や戸惑いは、現場にいる側からすると説明不足で生まれてしまっている部分もある。
経済動物という言葉に対して、かわいそうだと感じる人がいるのも当然です。
それを頭ごなしに否定するんじゃなくて、「こういう背景があります」
「僕はこう考えています」と伝えていくことが大事なんだと思っています。
コメント返しって、つまり、酪農と消費者の間にある“ちょっとしたズレ”を埋める時間なんですよね。
コメントから見えるのは、疑問だけじゃなく温度感だ
面白いのは、コメントって質問そのもの以上に、その人の温度感が見えることです。
「そうなんですね」と驚いている人。
「かわいそうでたまらない」と正直に書いてくれる人。
「体調大丈夫ですか」と気遣ってくれる人。
全然違うテーマで、なぜか昔やっていたバンドの話を掘ってくる人もいる。
これがいいんですよね。
発信していると、どうしても再生数とか表示回数とか、数字を見たくなります。
もちろん数字も大事です。届いているかどうかの目安にはなる。
でも、数字だけを見ていると見えなくなるものがある。
それが、「誰に、どんなふうに届いているか」です。
たとえば、牛乳を毎日1リットル飲んでますというコメント。
たしかに飲みすぎには気をつけてほしいですけど、それでも
「毎日飲んでる」とわざわざ伝えてくれるのは、酪農家からするとものすごく嬉しいんです。
あるいは、体調を崩したときに「ご自愛ください」と言ってもらえること。
これも発信の本質だと思っています。
牛乳や酪農の知識を伝えるだけじゃなくて、人と人としてつながっていく。
その積み重ねが、結果的に
「この人の話なら聞いてみよう」「酪農ってちょっと気になるかも」
につながっていくんだと思います。
そして届いた、一通の手紙
そんなコメント返しの最後に紹介したのが、牧場見学に来てくれた中学生の子からのお手紙でした。
内容はとても丁寧で、季節の挨拶から始まり、見学のお礼、印象に残った話、これから自分も学んでいきたいという気持ちまで、しっかり書かれていました。
特に印象に残ったのは、僕が取り組んでいる「廃棄乳ゼロを目指す考え方」に触れてくれていたことでした。
生産したものを無駄にしない。
命や食べ物を大切に扱う。
その姿勢を受け取ってくれていたことが、すごく嬉しかったんです。
でも同時に、嬉しいだけでは終わらない感情もありました。
その子は、小さい頃に牛乳アレルギーがあって、それを乗り越えたことをきっかけに牛乳に興味を持ち、さらに牛乳が余って廃棄されてしまう現状を知って、「何とかならないか」と考えてきたそうです。
牛乳からプラスチックを作る技術を自分で実験したり、研究として発表したり。
子どもの頃から、そんなふうに動いてきた。
本当にすごいことです。
普通に考えて、中学生でそこまでやるのは簡単じゃない。
でも僕が最初に思ったのは、感動より先に、正直ちょっとした恥ずかしさでした。
なんで、こんな若い子にここまで考えさせてしまっているんだろう。
なんで、酪農業界の課題を、子どもが自分ごととして背負わないといけないんだろう。
情けないし、恥ずかしい。
まずそう思いました。
それでも、希望は外から来ることがある
ただ、その感情だけでは終わりませんでした。
話を聞いたり、研究してきた過程を見せてもらったりする中で、もうひとつ強く思ったことがあります。
それは、酪農の未来は、酪農の外側からも広がっていくということです。
僕たちはつい、「酪農のことは酪農家が考えるもの」と思いがちです。
もちろん、現場の責任は現場にあります。
でも本当は、牛乳ってもっといろんな分野とつながれる。
教育ともつながるし、デザインともつながるし、科学ともつながるし、テクノロジーともつながる。
食品だけじゃなく、素材、文化、地域活動、子どもの学びにもつながっていける。
その可能性を、むしろ中学生の子が真っ直ぐに見つけてくれていたんですよね。
これは、すごく大きなことだと思いました。
酪農って、どうしても「きつい」「汚い」「大変」「儲からない」みたいな言葉で語られがちです。
もちろん現場には厳しさもあります。そこをきれいごとだけで済ませるつもりもありません。
でも、それだけで終わったら、本当にもったいない。
僕が毎日配信しているのも、Noteを書いているのも、その“もったいなさ”に抗いたいからです。
酪農を、しんどい産業としてだけじゃなく、可能性のある仕事として見てもらいたい。
牛乳を、ただ飲むものとしてだけじゃなく、社会や文化や未来とつながる入り口として見てもらいたい。
そう思って続けてきたことが、少しは届いていたのかもしれない。
そう思えた手紙でした。
若い人に伝わることは、未来に伝わることだと思う
僕は最近、若い子にどう届くかを前より強く意識するようになりました。
それは別に、「若者向けにわかりやすくしよう」みたいな話だけではありません。
もっと根本的に、次の世代が酪農や牛乳をどう見るかで、この先の景色がかなり変わると思っているからです。
子どもの頃に牛乳をどう感じたか。
中学生のときに酪農をどんな産業だと思ったか。
そこに、未来の選択肢の種がある気がしています。
将来、酪農家になるかどうかは分からない。
乳業に進むかもしれないし、研究者になるかもしれないし、全然違う道に進むかもしれない。
でも、「牛乳って面白いかも」「酪農って、まだ広がる余地があるんだ」と思ってもらえたら、それだけで意味がある。
発信って、すぐ結果が出るものじゃありません。
でも、こういう一通の手紙が届くと、やっぱり続ける意味はあるんだなと思えます。
コメント返しは、未来の返事を受け取る時間かもしれない
日曜日のコメント返しは、今週届いた言葉に返事をする時間です。
でも今回は、それだけじゃなかった。
過去に自分が続けてきた発信に対して、少し時間をかけて返ってきた返事を受け取ったような感覚がありました。
毎日の配信も、Noteも、SNSも、正直地道です。
すぐに何かが変わるわけじゃない。
時には空回りしているように感じることもあるし、「これ意味あるのかな」と思う日だってあります。
それでも、誰かが見てくれている。
誰かが受け取って、自分なりに考えてくれている。
そしてある日、それがコメントや手紙という形で返ってくる。
そういう瞬間があるから、また次も話そうと思えるんだと思います。
今週もたくさんのコメント、本当にありがとうございました。
こうやって返していける場所があること自体が、僕にとってはすごくありがたいことです。
そして、お手紙をくれたあなたへ。
あらためて、本当にありがとうございました。
酪農の可能性を、僕ら大人以上に真っ直ぐ見てくれていることが、すごく嬉しかったです。
同時に、負けていられないなとも思いました。
僕もまだまだ、頑張ります。
酪農の未来も、牛乳の未来も、もっと面白くできると信じています。
またいつでも、牧場に来てください。
そして、これからも一緒に考えていけたら嬉しいです。
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