川上牧場研修【環境性要因・子牛編】
2021-08-06 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
『カウシグナルズ』を手がかりに子牛の観察のコツを見ていく回でしたが、話は最終的に「観察は、それができる環境と余裕があって初めて成り立つ」というところに着地しました。良し悪しを見分ける力より、まず自分の置かれた環境を把握し、整えることが先だ、という視点が印象的な研修回です。
この回の要点
- 子牛の観察は「観察→思考→行動」の順番が基本で、まず一頭ずつよく見ることから始まる
- 壁を舐める、口の毛が抜ける、尻尾を振るなど、子牛のサイン(UNO)は原因を教えてくれる手がかりになる
- 共進会のシュッとした牛が理想とは限らず、子牛は健康でぽっちゃりしているのがよい
- いい牛・悪い牛を見分ける力より、自分の施設や環境の状況を把握する力が先に必要
- 観察には余裕が要るので、無理なく仕事を回せる仕組みと、人間側が途切れない働き方づくりが土台になる
配信の全文(podyの記事より)
搾乳前の休憩トークを、そのまま録音するスタイル
川上牧場の川上さんは、研修生の受け入れをしながら、酪農に興味がある人や従事している人にも「自分が思う酪農」を伝えたいと、音声で記録を残しています。
この回のスタイルは特別なものではありません。搾乳前の休憩にいつもやっている研修生との会話を、ただ録音しているだけだと説明されています。
テーマはその月のカリキュラムである「環境性要因」です。カウコンフォートやアニマルウェルフェアから調べ始めたものの、「これがいいぞ」という決まった正解はネットにないので、自分がやっていることを音声でまとめていく形にしたそうです。
カウコンフォート 牛が快適に過ごせる環境を整えることで生産性を上げようという考え方。快適さそのものが目的ではなく、生産性につながって初めて意味があるとされます。
アニマルウェルフェア 家畜が本来の行動や生理的欲求を満たせる、ストレスの少ない状態で飼育されるべきだという考え方。日本語では「動物福祉」と訳されます。
カウシグナルズと「ダイヤモンド」で牛の健康を見る
川上さんが牛を観察したり環境を考えたりするときに、いつも参考にしているのが『カウシグナルズ』という本です。ネットで検索するとAmazonで出てくるので、これを見ながら話を進めていきます。
カウシグナルズ 牛が発するサインを読み取って飼養管理に生かす考え方をまとめた書籍・手法。オランダ発祥で、観察を軸に牛の健康や快適性を判断します。
本の冒頭には「年齢に応じた適切な管理」とあり、育成牛を上手に育てるには勤勉で細かいことに気がつく生産者である必要がある、と書かれています。毎日、子牛が必要としていることを安く・早く・簡単な方法で確認することが求められます。
川上さんが強調するのは、カウコンフォートはあくまで生産性とセットだという点です。ブラッシングして牛が快適そうでも、それで生産性が上がらなければ意味がない、という考え方です。
川上 ブラッシングして牛が快適になるのかな?どうだろう?わかんないけど、牛にいいと思ってやることなんだけど、それに対して生産性が上がらないと意味がないので。
続いて紹介されたのが「カウシグナルズダイヤモンド」です。餌・水・換気・空間・低温・光の6つがあり、真ん中に「健康」が置かれています。
この6つはすべてつながっていて、全部を考えることで健康が維持され、健康だからこそ牛が大きくなったり生産性が上がったりする、という関係だと説明されています。
カウシグナルズダイヤモンドの考え方
餌・水・換気・空間・低温・光
子牛の周りの環境要因をまんべんなく整える
↓
健康
6つの要因が満たされることで真ん中の健康が維持される
↓
発育・生産性
健康が保たれるから大きくなり、生産性も上がる
観察・思考・行動、この順番が一番大事
子牛には発育曲線という目安があります。全国の発育データから作られた曲線と、自分の牧場の牛を比べていく見方です。
ただし成功かどうかは、その場ではわかりません。その牛が初産を迎えたときの体重や、2・3産で成熟体重に達したときの数字を見て、初めて子牛期の育成や管理が成功したかどうかがわかる、というのが川上さんの説明です。
本には育成牛のシグナルに沿った作業として、日々の観察で「何が見て取れたのか」「なぜ起きているのか」「このままで良いのか」を知ることができる、と書かれています。
そこから導かれるのが、作業の順番です。まず観察し、次によく考え、最後に行動する。この流れが大事だと繰り返されます。
観察、思考、行動っていう順番が大事ですよと。 ── 川上
育成牛のシグナルに沿った作業の順番
1
観察
一頭一頭の子牛を、注意深くまんべんなく見る
2
思考
なぜこのようなことが起きているのかを考える
3
行動
このままで良いのか、何に手を加えられるかを決めて動く
観察に必要なものとして、まず十分な時間を取ることが挙げられています。余裕がないと観察はできない、というのが前提です。
子牛の場合は、群れをまとめて見るだけでなく、一頭一頭の個を見ないとダメだと言います。群が元気なのか、個が元気なのかは別の話だからです。
UNO=分類できないけどはっきり見えるサイン
観察していると、正確な理由が見つけられないのに、はっきりと変化として見て取れることがあります。なんでこんな変な動きをしているのか、なんでこんな変なところに寝ているのか、といったことです。
こうした「分類はできないが、はっきり観察されるもの」を、カウシグナルズでは UNO(ユーノー)と呼びます。カードゲームのUNOと同じ発音です。
川上 たった今やっとわかったというような情報を(子牛が)教えてくれます。
たとえば壁を舐めているのを頻繁に見かけたら、ミネラルや微量元素の不足を意味しているかもしれない、と本には書かれています。
川上さんは自分の経験も重ねます。足だけをペロペロ舐めていたら、その足のどこかが痛いのかもしれない。耳をパタパタさせていたら中耳炎の可能性がある。外見は元気でも、そういうことがわかることがあると言います。
片足だけいつも濡れている子牛の話も出ました。いつも同じ側を下にして寝ているから、反対側の足に何かおかしなことが起きているのではないか、という見立てです。
観察を止めない、日々観察するっていうのがすごい大事なんですよね。 ── 川上
「牛をよく見ろ」の前に、自分自身を知る
本には「自分自身を知る」という項目もあります。ある人は決まった日常作業に従うことで自然に目を配れて幸せを感じ、一方でそうでない人もいる。だから自分の長所を生かし、苦手を減らす対策を取ろう、という内容です。
川上さんはこれを自分に当てはめます。毎日一頭ずつ発情発見をするのはとても嫌いだけれど、発情管理をすることは大好きなので、そちらで補っているそうです。
川上 発情発見をするのが嫌なんだけど、発情管理をすることは大好きなので、それで補うみたいな感じ。
若い人や酪農を始めたばかりの人は「牛をよく見ろ」とよく言われます。でも、わからないことがわからないのが実際のところです。だからこそ、自分の得意・不得意を理解しておくことが観察につながる、と話されています。
発情発見と発情管理 発情発見は、牛が発情しているサインを日々見つけ出す作業。発情管理は、ホルモン投与や記録などで発情のタイミングをコントロールする作業を指します。得意・不得意が分かれやすいポイントです。
子牛は群れよりペン飼い、そして下痢の観察
子牛の管理は分娩の管理から続いています。生まれたら臍帯(へその緒)の消毒をする、初乳をしっかり飲ませるといった管理の問題があり、そこに観察が加わります。
若い子牛にとって一番の脅威は病原体による感染です。成牛や他の子牛から感染が起こるため、子牛はペンで独立させて飼うのが一番よいとされています。
だから、うちのように群で飼うなら、ペン飼いよりリスクが高い分、それ以上の管理をしなければいけない、という話になります。
下痢を発見したときは、色は何色か、日齢は何日齢か、といったことを台帳のように観察記録に残すのもよい方法です。
記録があると、ミルクをうまく消化できずに起きた下痢なのか、病原菌が入ってきた下痢なのかが、見ながらわかってくると言います。
口の周りの毛が抜けた子牛から何を読むか
本には観察のトレーニングになる例が載っています。他の牛は口の毛が抜けていないのに、この子牛だけ口の周りの毛が抜けている。これを見て何を思うか、という問いです。
川上 ちょっと変だなっていうのをどんどんどんどん見つけていくっていうようなトレーニングみたいな。
本の答えは、品質が低下したミルクを与え続けていることが原因、というものでした。奥にもう1頭子牛がいて、乳床が湿っている、という描写も添えられています。
ただし川上さんは、この答えを鵜呑みにはしていません。品質が悪ければ必ず毛が抜けるわけではなく、ならない牛もいる。それでも原因の一つではあるので、潰すのか置いておくのかを、観察・思考・行動の順番で決める、という捉え方です。
置いておいた結果、後から問題が大きくなることもあります。そういうときは獣医の先生に相談したり、社長がいれば社長に相談したりと、他の人に委ねる解決方法もあると話されています。
五感を使う観察、子牛のいる場所に自分が座ってみる
川上さんがよくやるのが、子牛のいる場所に自分で座ってみることです。換気や寝床の快適さを、自分の体で確かめる方法です。
子牛の鼻先は地面から7cmほどの低い位置にあります。だから自分の頭をそのあたりまで持っていって呼吸してみる。床が汚れてアンモニアが上がっていると、その時点で気持ち悪いと感じられるそうです。
川上 ズボンが濡れるか濡れないかみたいなテストとか、そんなので観察したりも、自分の全部五感を使って観察する方法もあります。
換気が悪いと感じたら、カーフハッチの下にスノコを入れて下から空気が入る構造にしたり、それができなければ子牛の体に直接当たらないよう上から換気扇を回したりします。
ハエの多い夏場は、真っ黒の服を着て寝てみると、どれくらいハエが寄ってくるか、刺してくるかがわかると言います。要因を一つずつ潰していくと、下痢も少しずつ減り、健康が維持されるようになります。
カーフハッチ 子牛を1頭ずつ隔離して飼うための小屋。感染を防ぎやすい一方で、換気や寝床の状態を人の手でこまめに確認する必要があります。
尻尾フリフリの正体、食道溝反射と哺乳の習慣化
子牛がミルクを飲むときに尻尾をフリフリするのは、喜んでいるとよく言われますが、実際には食道溝反射が起こっているサインだと説明されます。
食道溝反射は、ミルクが第一胃に入らず第四胃へ流れるように溝が形成される反応です。給餌者の存在や特定の音が信号になるため、同じ手順で哺乳することが大事になります。
食道溝反射 子牛が哺乳する際、ミルクが発酵の場である第一胃を通らず、直接第四胃へ届くよう食道の溝が閉じる反射。ゴムの吸い口を吸う刺激や、決まった給餌の合図でも起こります。
だから、元気に「ミルクください」と近づいてくる子牛には自然に反射が起こりますが、寝ている子や元気のない子に急にミルクをやると反射がうまく起きません。その結果、誤嚥したり、ミルクが第四胃ではなく第一胃や第二胃に入ってしまったりします。
川上 毎日同じ習慣にしてやると誤嚥も少なくなるよと。
子牛のボディコンディションは「ぽっちゃり」でいい
子牛の快適温度域は15度から25度の間だと書かれています。大人が快適だと感じるくらいの温度が目安になります。
ボディコンディションスコアの話では、川上さんは共進会に出てくる子牛のイメージに疑問を投げかけます。カリッとして無駄な脂がない綺麗な牛は、子牛としてはあまりよろしくないと考えているそうです。
共進会 牛の体型や姿を競い合う品評会。ここでは牛が痩せてスタイルよく見えるよう調整されることがあり、それを子牛の理想像として追いかけるのは危ういと川上さんは話しています。
本来の子牛は、ぽっちゃりしてプクプクした感じで走り回っているのがよい、というのが川上さんの見方です。共進会の綺麗な牛を理想として追いかけるのは、子牛期にはまずいと言います。
研修生 今いる子たちよりもさらにシュッと(させるんですか)。
川上 子牛には子牛なりのこのボディコンディションっていうのがあって。
お腹の毛が長くボサボサなのも見るポイントです。お腹が冷えると毛を伸ばそうとするため、お腹の毛が長いのは冷えている証拠だと言われています。
他にも、ミルクの時間になっても立ち上がらない、耳や目に活力があるかどうかなど、細かなサインを見ていきます。育成段階では、頭の大きさと体の大きさのバランスが崩れてくると発育不良のサインになる、とも話されています。
「毛の光沢が」の前に、違いが見えないのが普通
発育曲線については、いい状態と悪い状態の子牛の写真を見せながら話が進みます。ここで研修生が、率直な感覚を口にします。
研修生 意識して見てないと見えない違いだなとは(思います)。
研修生は、2枚の写真の違いが「意識してたらわかるレベル」でしかないと言います。そして、いい牛と悪い牛が並んでいても、最初のうちは分けられないだろうと続けます。
研修生 いい牛と悪い牛分けてくださいってなった時に、あの、分けれないと思います。
研修生が問題にしているのは、教える側と教わる側のギャップです。ベテランは「光沢が悪いのわかるやろ」というところから入ってしまう。でも初心者にとっては、いい牛も悪い牛も「牛としか捉えられていない」のが実際だ、と指摘します。
研修生 いや、お前これ入門やないかい。え?はいはいっていう、その、そのベテランと新人のこのすごいギャップの差が生まれてる。
研修生は、この差は光沢を見分ける以前の問題で、興味を持って見てこないと「なぜ悪いのか」がつながってこない、と話します。パッと写真を見て良し悪しを即答する力は、一種のゲームとしては面白くても、実際にはあまり使えないのではないか、というのです。
いい牛も悪い牛も牛としか捉えれてない人たちからの話をしないと。 ── 研修生
どうやったら悪い牛を作れるか、という逆の発想
ここから研修生の話は、独自の観点へと展開します。いい牛・悪い牛を見分けるだけでなく、どうやったら自分のところで悪い牛を作れるかを逆に考えることに意味があるのではないか、というものです。
研修生 どうやったら悪くできるかというか。っていう観点もすごい大事だなと思う。
研修生はこれを、生き方にたとえます。「好きなことをして生きていく」のポジティブな発想の逆に、「嫌いなこと・やりたくないことをしないで生きていく」という発想があり、後者はあまり意識されていない、というのです。
この発想からは、「それだけはしてはいけない」「これは避けたほうがいい」という具体的な指針が生まれてくるのではないか、と話されています。
川上さんも、この観点に共感します。よその牧場でも「下痢が一生治らない」という悩みをよく聞くけれど、その牛を違う場所に持っていけば治る可能性が高いのではないか、と応じます。
研修生 もうそれし始めたら、多分どんな人間がやっても、どんな牛がそこで来ても、どんだけいい牛でもなんかあんまり変わらないから。
だからこそ、いい牛・悪い牛を見分ける力の前に、自分の環境が何かを把握している能力がとても大事だ、というのが二人の一致した見方です。
今どんな状況で置かれてるかっていう把握がまずできてないと。 ── 研修生
見分けられても、動く時間がなければ意味がない
研修生は、観察力そのものへの見方を一段掘り下げます。いい・悪いを見極められても、時間に余裕がなくてアクションできないなら、その能力を使う場所があるのか、という問いです。
研修生 それに対してアクションできる時間がなかったら、全く能力ないのと一緒なんやけどから。
川上さんも同意します。生産性を上げようと一人当たりの頭数を増やせば、どんどん観察の時間はなくなっていく。そこは卵が先か鶏が先かのような関係だと二人は話します。
研修生はさらに、環境を変えないと牛群に反映されない、と続けます。同じ型・同じ部屋で作られていくなら、悪い箇所があればその子たちが悪い部分を引きずって次のステージに進んでしまうからです。
今の施設設備の状況確認の方が時間割そこに最初に割かないと、牛を見ようとしても。 ── 研修生
ウォーターカップも換気扇も、「使い方」がお金につながる
研修生は「牛を見ろ」と直接言われたわけではない、と言います。それでも川上さんは、作業しながらTHI(暑熱ストレスの指標)を見たり、ウォーターカップや口炎の有無を見たりしている。それは余裕があるからだ、と応じます。
THI 温度と湿度から算出する、牛の暑熱ストレスの指標。数値が高いほど牛が暑さで受けるストレスが大きく、採食量や生産性の低下につながります。
研修生は、人間は精神的な自由度が力を持つと考えています。牛にとっても「舐めるか舐めないかは自由だけど、なかったら舐められない」ように、環境が選択肢を用意できているかが大事だ、というたとえです。
研修生 舐めるか舐めへんかは自由やねんけど、なかったら舐められへんで。
ウォーターカップがあれば水はいつでも飲めるけれど、人間と違って子牛は手でゴミを取れません。だから「水を飲める環境にさせられているか」という意図まで含めて考える必要があります。
研修生は、置かれている環境自体は悪くないのに、道具の使い方や置き方が少しずれるとうまくいかない、と指摘します。ハサミがすごくても、使い方をミスすれば意味がないのと同じだ、というたとえです。
観察に向いていないなら、環境要因を守る側に回る
研修生は、自分は観察に向いていないと自覚しています。状態を見て的確なアクションを起こす目を持っていないので、必要なタイミングで手を打てない、というのです。
だからこそ、困る前にあらかじめ準備しておくしかない、と考えています。ボスに言われてからやるのでは遅いので、前もって備える戦い方をとる、という発想です。
研修生 観察力身につけようなんて思ってないわけじゃないですけど、そっちにステータス振るぐらいだったら、環境要因をガッチリ守れる方が。
研修生は自分を、グリーンキーパーのように環境の保全や循環に回る側だと位置づけます。牛飼いになっても、牛そのものより、それぞれの牧場の環境を見て学ぶタイプだろうと話します。
グリーンキーパー ゴルフ場の芝を管理する専門職。ここでは、牛そのものより、牛が過ごす環境を整え保全する役割の比喩として使われています。
他所の発育のいい牧場を真似しようとしても、施設も人も子牛の血統も違うので、同じことをしてもうまくいかない、と川上さんは補足します。だから、やり方を自分の能力と合わせてどう実現するかを考えないといけない、というわけです。
川上 そのやり方を自分のところに持って帰って、自分の能力と合わせてどうやったらできるかを考えないとダメなので。
結局、観察の前段階が整っていないと観察はできない
話はテーマの「環境性要因」に戻ってきます。川上さんは、観察が大事と言うけれど、その大前提としてどうやったら観察ができるのかを考えないといけない、とまとめます。
研修生 ほんまに観察の前段階の部分がしっかりできてないと、観察からいけないと思うんですよね。
観察の時間を作るために、朝1時間早く出るような無理のあるやり方は長続きしません。8時間しかないなら、その中で仕事を早く終わらせる仕組みを考えるべきだ、という話です。
研修生 1時間早くとか30分早く出るとか、そういうやり方じゃないやり方を本当に考えないと。
研修生は、牛のループより先に人間のループが途切れると牛は飼えない、と指摘します。24時間牛のことをやるのが当たり前という前提では続かず、ヘルパーを頼んで休みを取ることも含め、無理のないやり方を牧場内で生み出す必要がある、というのです。
人間のループがまず途切れると牛飼えないので。 ── 研修生
環境性要因の勉強のはずが、結局ここに行き着きました。川上さんも「でもそういうことだからな」と受け止め、この日の収録を締めています。
まとめ
『カウシグナルズ』を手がかりに子牛の観察のコツを見ていく回でしたが、話は最終的に「観察は、それができる環境と余裕があって初めて成り立つ」というところに着地しました。良し悪しを見分ける力より、まず自分の置かれた環境を把握し、整えることが先だ、という視点が印象的な研修回です。
- 子牛の観察は「観察→思考→行動」の順番が基本で、まず一頭ずつよく見ることから始まる
- 壁を舐める、口の毛が抜ける、尻尾を振るなど、子牛のサイン(UNO)は原因を教えてくれる手がかりになる
- 共進会のシュッとした牛が理想とは限らず、子牛は健康でぽっちゃりしているのがよい
- いい牛・悪い牛を見分ける力より、自分の施設や環境の状況を把握する力が先に必要
- 観察には余裕が要るので、無理なく仕事を回せる仕組みと、人間側が途切れない働き方づくりが土台になる