牛乳のむ?牧場配信*͛🐮⋆͛R5/8/25
2023-08-25 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
今回の配信では、宅配牛乳の復活、サステナブルな酪農の研究会、訪日客向けキッチンカーという3つのニュースを通じて、牛乳・酪農業界が前向きに動いている様子が、酪農家の目線でやさしく語られました。
この回の要点
- 明治の宅配牛乳事業は、シニア層と巣ごもり需要を背景に、契約件数が2022年に約230万件まで回復している
- 高齢者の孤独という社会背景も、コミュニケーションを伴う宅配牛乳が伸びる一因になっている
- 明治などが立ち上げた道東カーボンファーミング研究会は、牛は環境負荷を下げているという科学的根拠づくりを目指している
- Jミルクの訪日客向けキッチンカーは、日本の牛乳のおいしさを伝え、将来の輸出拡大につなげる狙いがある
- 川上牧場はドキュメンタリー映画の制作やAIを使った「未来の牛乳」など、独自の発信にも取り組んでいる
配信の全文(podyの記事より)
8月最後の金曜日、牧場のいまと今日のお仕事
配信は8月25日の金曜日からスタートします。お天気は晴れで、気温は30度超え。牛舎の中も暑さが残っていると川上さんは話します。
川上さんによると、朝や夜の気温は下がるものの、湿度が高いため、朝でも牛たちがハアハアと息をしているような状態になっているそうです。9月になって涼しくなればいいなと語っています。
今日のお仕事は、餌の追加、子牛へのミルクやり、週に一度通っている整体、そして夕方のアルバイト希望者の面接と盛りだくさん。牧場でアルバイトや研修をしてみたいという問い合わせの電話があったそうです。
川上 なんでこう(人手が)バランスよく、人がいない時に、人が欲しいなって思った時に、来てくれてて、こううまいこといかないものですね、なかなかね。
川上さんは、人手のタイミングがうまく合わないことに触れつつ、仕組み作りみたいなのも、ちょっと考えていこうかなと、これからの牧場運営に前向きな姿勢を見せています。
ドキュメンタリー映画やAI牛乳など、牧場のお知らせ
牛乳で乾杯する前に、川上さんからいくつかお知らせがありました。まず、映画制作会社のベーシックインカムシネマズからオファーを受け、川上牧場のドキュメンタリー映画を制作することになったそうです。
この映画のクラウドファンディングが現在進行中とのこと。制作の裏側や進捗、川上さんのこれまでを語るLINEのオープンチャットも作られています。
さらにInstagramとThreadsでは、ハッシュタグ「未来の牛乳」として、飲んでみたい牛乳やこんな牛乳があったらいいなというイメージを、ChatGPTや画像生成AIで作ってみる試みも紹介されました。
Threads Instagramを運営するMeta社が提供するテキスト中心のSNS。X(旧Twitter)に近い形式で、短い投稿やスレッド形式のやり取りができます。
川上さんは、毎日AIを使うことで少しずつ操作が上手になってきていると話し、リスナーにも「こんな牛乳が欲しい」という声をコメントやDMで寄せてほしいと呼びかけています。
また、4月から学校で牛を触り始めたばかりの研修生のXアカウント「川上牧場研修生日誌」も紹介されました。
川上 若手が頑張ってるところ、SNS上でもいいですから、応援していくような、そんな文化をちょっと作っていきたいなと思ってるんで。
川上さんは、畜産農家の人たちに向けて、若手を応援する文化を作りたいと語り、日頃からコメントで絡んでほしいとお願いしています。そして牛乳で乾杯し、今日も一口。「うわぁ、美味しい」と味わっていました。
なぜ復活?宅配牛乳の契約数が30数年でほぼ倍増したワケ
ここからは農業ニュースのコーナー。1つ目は、明治の宅配牛乳事業についての記事です。ダイヤモンド・チェーンストア・オンラインの記事を引用しながら紹介されました。
川上 (記事のタイトルは)「意外!明治牛乳や乳飲料の宅配事業の契約数がこの30数年でほぼ倍増している理由」という記事になります。
記事によると、コロナ禍を経てネットスーパーや食品ECが売り上げを伸ばす中、明治が運営する乳飲料・乳酸菌飲料の宅配事業も密かに売り上げを伸ばしているそうです。牛乳宅配事業を始めてから約100年が経っています。
明治の宅配事業は、販売配送を委任する特約店と、お客が定期購入の契約を月単位で交わす仕組みです。特約店は沖縄県を除く46都道府県に約3000店あり、配達頻度は週に2、3回、配送料は原則無料とのこと。
この宅配事業の歴史は長く、契約件数は時代とともに大きく変化してきました。記事の内容を時系列で整理すると、次のようになります。
明治の牛乳宅配事業の歩み
1928年
同社が牛乳配達事業を開始。小売店が少なく、便利なサービスとして全国に定着
1976年
ピーク時に契約件数350万件を突破
1980年代
スーパーやコンビニの増加で契約件数は120万件まで減少
1990年代以降
宅配限定商品などでV字回復
2022年
契約件数は約230万件まで持ち直す
メインターゲットは、契約者全体の8割を占める60代以降のシニア層です。明治はシニアの健康ニーズに応え、プレミア感を演出する配達専用商品の開発に力を入れています。
たとえば、宅配専用の「明治 五つ星習慣」は、中性脂肪や血糖値の上昇を緩やかにするなど5つの効果を持つ機能性表示食品 ── 事業者の責任で、科学的根拠にもとづいて健康への効果を表示できる食品。国の審査を受ける特定保健用食品とは制度が異なります。で、計画比の2倍弱を売り上げたそうです。
乳酸菌飲料では、宅配専用の「明治プロビオヨーグルトR-1 ザ・ゴールド」を販売。R-1は宅配事業でも人気が高く、売り上げ全体の3割を占めるシリーズだと紹介されています。
高齢者の孤独と宅配牛乳、酪農家が感じる可能性
川上さんは、記事を受けて宅配牛乳の文化について振り返ります。昔は新聞と一緒に牛乳が玄関先に置いてあったけれど、自分より下の世代は宅配牛乳という文化自体を知らないのではないか、と話します。
今この宅配事業が50代から60代あたりで伸びている背景として、川上さんは少子高齢化と、コロナ禍による巣ごもり需要を挙げます。
さらに、コロナ禍でコミュニティがなかなか元に戻らないという話にも触れました。知り合いが3年ぶりに同窓会をやろうとしたけれど、集まりが悪かったという話を紹介しています。
川上 単独で孤独になっているね、高齢者の方って少なからずあるんじゃないかな。
川上さんは、そうした孤独になりがちな高齢者に向けて、コミュニケーションを取りながら乳製品を届ける宅配市場が伸びていることに、牛乳消費の伸びしろを感じているようです。
そして自身が取り組む「未来の牛乳」の話につなげ、前日に上げた高齢者向けの牛乳を紹介しました。
川上 (前日に上げたのは)高齢者向けのお薬と牛乳を一緒に飲みたいっていう需要を叶える牛乳、こちら作っておりますので。
川上さんは、こうしたアイデアが明治のような会社の商品開発につながればいいのでは、と半ば冗談まじりに呼びかけていました。
牛は悪者じゃない?サステナブルな酪農への取り組み
2つ目のニュースも明治に関するもので、サステナブルな酪農への取り組みです。フーズチャンネルの記事を引用しています。
記事によると、明治ホールディングスと株式会社明治は、一般社団法人道東SDGs推進協議会とともに「道東カーボンファーミング研究会」を設立しました。
カーボンファーミング 農地や牧草地の土壌に炭素を貯留・吸収させることで、大気中の温室効果ガスを減らそうとする農業の手法。土づくりや草地の管理を通じて気候変動対策に貢献する考え方です。
この研究会は、生乳生産量が日本一の別海町をフィールドに、酪農における温室効果ガスの貯留量増加などを目指すもので、地域社会と住民、乳業メーカーが連携した日本初の取り組みだと紹介されています。
初年度の活動として、2023年9月から別海町で、土壌がどの程度CO2を貯留しているかを科学的に調べる調査を行うそうです。その結果を農林水産省の基礎調査と比較し、牧草地の炭素貯留のポテンシャルを見極めていきます。
川上さんは、この取り組みの意義を酪農家の立場から解説します。資材や餌代の高騰で酪農家の廃業が進む中、既存の酪農のあり方そのものに価値を見出す試みだと受け止めています。
川上 牛がこう、げっぷを出したりして、CO2とかね、メタンガス出して、牛は悪者だって思われてるのを科学的根拠を持ち出して、逆に、環境負荷を下げているっていうのを知ってもらう。
川上さんは、放牧して草を食べて牛乳ができるという循環は、本当は環境負荷を抑えているという考えを示し、この取り組みが全国に広がってほしいと期待を寄せていました。
日本の牛乳おいしいよ、訪日客向けキッチンカーが出発
最後のニュースは、訪日客向けのキッチンカーについて。日本農業新聞の記事を引用しています。
川上 (記事のタイトルは)「日本の牛乳おいしいよ、訪日客向けにキッチンカー出発、Jミルク」という記事になります。
Jミルク 正式名称は一般社団法人Jミルク。牛乳・乳製品の生産者や乳業メーカーなどが参加し、消費拡大や食育、酪農・乳業の発展に取り組む業界団体です。
記事によると、日本観光を楽しむインバウンド向けに、国産の牛乳や乳製品をアピールするキッチンカーが登場しました。8月24日の東京・秋葉原を皮切りに、大阪や京都でも出店を計画しているそうです。
キッチンカーでは、生クリームをたっぷり使ったクレープや、氷の入った冷たい牛乳を50円から300円で提供。韓国から訪れた男性は「北海道の牛乳は聞いたことがあるが、日本の乳製品を食べるのは初めて。とても美味しい」と話したと紹介されています。
購入者には、メニューのレシピを英語で紹介する特設サイトのQRコードを配布し、ファン獲得につなげる狙いです。農水省の事業を拡大し、業界横断で取り組む「牛乳スマイルプロジェクト」の一環だそうです。
川上さんは、コロナ禍明けで訪日客が増えている今こそチャンスだと話します。有名観光地は外国人でにぎわい、日本人がホテルを取れないほどの状況だと具体例を挙げました。
川上 海外の方が帰国して、やっぱり日本の牛乳飲みたい、自分の母国でも日本の農産物食べたいという声がどんどん上がっていくと、必然的に日本の乳製品が輸出しやすくなる。
川上さんは、こうしたキッチンカーの取り組みをフランチャイズ化して全国展開できないかと関心を寄せ、リスナーにもキッチンカーを見つけたら食べてみてほしいと呼びかけていました。
業界は前向きに動いている、締めのメッセージ
3つの記事を紹介し終えた川上さんは、牛乳・酪農業界がどんどん動いているという前向きな面を、業界の中の人にも知ってもらえたら嬉しいとまとめます。
8月最後の金曜日、月末で忙しい人も多いなか、たくさんのリスナーが来てくれたことに感謝を述べました。暑さについては、あと1、2週間で少しは和らぐのではないかと話しつつ、9月も気温が高いという長期予報にも触れています。
川上 皆さん熱中症など気をつけて、朝一杯の牛乳がね、熱中症対策になりますんで。
川上さんは、仕事や学校へ向かうリスナーに「いってらっしゃい」と声をかけ、「みんな牛乳飲んでね」と配信を締めくくりました。
配信の最後には、ヤマさんからお便りの募集案内がありました。川上牧場とやってみたいこと、やってほしいことなどを、コメント欄やDMで気軽に寄せてほしいとのことです。
ヤマ 皆さんのご意見が新しい酪農を作っていきます。
まとめ
今回の配信では、宅配牛乳の復活、サステナブルな酪農の研究会、訪日客向けキッチンカーという3つのニュースを通じて、牛乳・酪農業界が前向きに動いている様子が、酪農家の目線でやさしく語られました。
- 明治の宅配牛乳事業は、シニア層と巣ごもり需要を背景に、契約件数が2022年に約230万件まで回復している
- 高齢者の孤独という社会背景も、コミュニケーションを伴う宅配牛乳が伸びる一因になっている
- 明治などが立ち上げた道東カーボンファーミング研究会は、牛は環境負荷を下げているという科学的根拠づくりを目指している
- Jミルクの訪日客向けキッチンカーは、日本の牛乳のおいしさを伝え、将来の輸出拡大につなげる狙いがある
- 川上牧場はドキュメンタリー映画の制作やAIを使った「未来の牛乳」など、独自の発信にも取り組んでいる