後継者がいない」は本質じゃない?酪農を支える仕組みの話

2025-04-10 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

「後継者がいない」は本質じゃない?酪農を支える仕組みの話

おはようございます。

今日は4月10日、久しぶりの雨。

外仕事は一旦お休み。今日は、家から10分ほどの場所へ堆肥を運びつつ、牛舎での作業を進める予定です。

さて、今日のテーマは、YouTubeに届いたこんな質問から始まります。

「酪農の後継者不足が深刻と聞きますが、現状と対策についてどう考えていますか?」

とてもよくいただく質問ですが、だからこそ、今日は少し違う角度からお話してみようと思います。

◆「後継者がいない」よりも深刻なこと

まず、冷静に見ておきたい前提があります。

日本は人口が減少し、牛乳の消費量も年々減ってきています。

つまり、「すべての牧場に後継者が必要か?」というと、そうとも限りません。

むしろ、無理に継がせようとした結果、供給過多で牛乳が余ってしまうこともあります。実際、コロナ禍ではそうした事態が起こりました。

だからこそ「数」ではなく、「仕組み」を見直す必要があります。

◆誰が酪農を支えているか?

酪農を支えるのは、酪農家だけではありません。

以下のような“縁の下の力持ち”の人たちがいてこそ、酪農は回っています。

・飼料や資材を運ぶ物流業者

・牛乳を集荷する運転手

・種付けを行うAI技術者(人工授精師)

・牛の治療をする獣医師

・修理・整備を担う機械整備士

実はこうした職種こそ、今どんどん人手が減っているのです。

後継者不足という言葉の裏には、「酪農そのものを支える仕組みの劣化」という、もっと深刻な問題が潜んでいます。

◆スキマバイトが支える未来?

この春、タイミーというスキマバイトのサービスと一緒に登壇する機会がありました。

そこでの話がとても印象的でした。

「農業で働きたい人は、実はまだまだいる。けれど“働ける場所が見つからない”だけなんです」

なるほど、農業側の“受け皿”が整えば、やってみたい人はいる。

そんな気づきがありました。

JAが進めている「デイワーク」のような短期雇用や、副業解禁の流れと合わせて、もっと柔軟に人が関われる仕組みが必要です。

特に、公務員やJA職員が現場で副業できるようになれば、行政の中から農業が変わる可能性すらあります。

◆古い仕組みを変えられるか

酪農業界には、まだまだ「家族でやるもの」「男がやるもの」というような、時代にそぐわない価値観も残っています。

・未経験者が働きにくい

・女性や多様な人材が活躍しづらい

・柔軟な働き方が受け入れられにくい

こうした“目に見えない障壁”を壊していかない限り、いくら担い手がいても、継続して働いてもらうのは難しいのです。

◆現場から届いたリアルな声

配信を通じて届いたコメントにも、深い学びがあります。

「機械に乗る若手が育たない」「できる人にばかり仕事が集中して、教育する余裕がない」

これは法人化・会社化の現場でよく起こる問題です。

時間内に終わらせなければならないプレッシャー、作業効率優先の現場では、新人に任せる余裕がない。

結果として、技術が継承されないまま人が辞めていく——。

◆「担い手不足」とは何かを問い直す

担い手不足とは、単に“人がいない”というよりも、「関われる仕組みがない」「関わり続けられない環境がある」ことの方が大きな問題なのかもしれません。

だからこそ、

・多様な関わり方ができる仕組みをつくる

・技術が継承される環境を整える

・柔軟な働き方を認める

・古い価値観をアップデートする

そういった“構造の見直し”が必要だと感じています。

◆あなたも“未来の酪農”を支える一人になれる

現在、川上牧場では「ミライの牛乳」をテーマに、NFTアートの販売を行っています。

その収益は、子ども食堂への牛乳提供や、学校での食育活動に使わせていただきます。

「こんな牛乳があったらいいな」

「こんな働き方ができたらいいな」

そんな声が、未来の酪農をつくっていきます。

◆おわりに

「後継者がいない」という声は、たしかに現実です。

けれど、その言葉だけでは、本質は語り尽くせません。

問うべきは、「酪農が持続できる仕組みとは何か?」

そして、「私たちはどんな関わり方ができるのか?」ということです。

ぜひこの記事を読んでくれたあなたの考えも、コメント欄で聞かせてください。

今日も牛乳で乾杯!いってらっしゃい。

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