牛にも血液型がある!? じゃあ性格も血液型で決まるの?

2025-07-07 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

牛にも血液型はありますが、その数はなんと800種類以上。多様すぎて性格とは結びつけられず、牛の性格は遺伝と育ち方で決まる、というのが今回の答えでした。ロボット牛舎が増える今、好奇心旺盛な「気質」が大事にされているのも面白いポイントです。

この回の要点

  • 牛には少なくとも11種類の分類があり、血液型は全体で800種類ほどある
  • 人間でも牛でも、血液型と性格の科学的な関連性は確認されていない
  • 牛の性格は遺伝と、子牛のときの扱い方など育った環境で決まる
  • 血液型は性格ではなく、輸血や親子鑑定に活用される
  • 好奇心旺盛な気質はロボット牛舎への適性として改良にも取り入れられている

配信の全文(podyの記事より)

七夕の朝に届いた「牛の血液型」の質問

7月7日、七夕の月曜日の配信。今年は梅雨が明けて晴れていて、天の川が見られそうなお天気だったそうです。

今日のお仕事は、近くの牧場での種付けと、暑さで調子を崩した牛の治療。翌日には牛群検定も控えていて、バタバタの1日になりそうと話されています。

牛群検定 1頭ごとに乳量や乳成分、繁殖状況などを定期的に記録・分析する仕組みです。牛の健康管理や改良の判断材料に使われます。

今回の配信は、Stand.fmのレター機能に届いた質問に答えていくスタイル。テーマは「牛にも血液型はあるのか」「血液型で性格の違いはあるのか」という2つです。

マンボウさんからの質問「牛にも血液型はある?」

質問をくれたのは、レコーダーさんというリスナー。牧場にも来たことがある、餌の営業マンの方だそうです。

質問(レコーダーさん) 牛さんにも人間と同じく血液型はあるのでしょうか。もしあるのであれば、牛さんの性格や行動が血液型によって違ってくるのでしょうか。

川上さんは、まとめた回答を営業トークに使ってほしいと軽く冗談を交えつつ、さっそく本題に入っていきます。

人間は8種類、牛はなんと800種類の血液型

まず結論から。牛にも血液型はあります。生き物なので当然といえば当然です。

ただ、その数がケタ違いなんです。人間はABO式の4種類に、Rhのプラスマイナスを合わせて主要なもので8種類ほど。それに対して牛の血液型は、なんと800種類あると言われています。

牛には少なくともAB・C・F・J・L・M・R・S・T・Zといった11種類の分類があり、その中にさらに細かい抗原が存在します。B型だけでも60種類以上あるそうです。

人間と牛の血液型の数

人間

ABO式の4種類に、Rhなどを合わせて主要なもので8種類ほど

VS

牛

11種類の分類に細かい抗原が加わり、全体で800種類ほど

これだけ複雑だと、血液型で性格を分類できるかというと、なかなか難しそうだ、というのが川上さんの見立てです。

血液型で性格は決まる?科学的な答え

では、血液型と性格に関係はあるのでしょうか。川上さんの答えははっきりしています。

牛の血液型と性格に、直接的な科学的関連性は確認されていません。 ── 川上

そもそも人間でも、ABO式の血液型と性格の関係には科学的な根拠がないと言われています。占いや血液型診断でおなじみですが、あくまでそういう扱いなんですね。

ましてや牛のように800種類もの複雑な血液型を持つとなると、性格と結びつけるのはなおさら難しい、というわけです。

牛の性格は「気質」で決まる

血液型で決まらないなら、牛の性格は何で決まるのでしょうか。専門的には「気質」というものがあるそうです。

気質 英語でTemperamentと呼ばれ、生まれ持った遺伝的な性質と、育った環境が組み合わさってできる、その動物なりの性格傾向を指します。

気質は、まず親からの遺伝で決まります。父親・母親、さらにその先の祖父母から脈々と流れる血の影響ですね。

そしてもう一つ大事なのが、子牛のときの扱い方です。育て方しだいで、性格は大きく変わってくると話されています。

たとえば、抗生剤の注射をバンバン打ったり、蹴ったり叩いたりといった粗暴な扱いをしたり、汚れて暗く空気の悪い環境で飼ったりすると、ビクビク、おどおどした牛になりやすいそうです。

餌がずっと食べられない状況が続いても虚弱になり、やはり臆病な性格になりがち。逆に、同じくらいの月齢の子牛どうしをペアリングして一緒に育てると、穏やかな性格になりやすいとのことです。

ペアリング 近い月齢の子牛どうしを組ませて一緒に育てる方法。強い牛との競合を避けやすく、落ち着いた性格に育ちやすいと考えられています。

人間側が大きな音を出さず、乱暴に扱わないことも気質に影響します。こうした遺伝と環境がトータルで組み合わさって、大人しい子、ビビりな子、好奇心旺盛な子といった個性が生まれてくるんですね。

血液型は輸血や親子鑑定に使われる

性格には結びつかない牛の血液型ですが、ちゃんと役に立つ場面があります。それが輸血と親子鑑定です。

別の血液型の血を入れてしまうとショック症状が出てしまうため、輸血のときには血液型が重要になります。かつては親子判定にも血液型が使われていましたが、今はDNA検査で行うようになってきているそうです。

川上牧場でも、虚弱で生まれた子牛が貧血ぎみになったとき、その子の親牛から血液をとって輸血した経験があると話されています。

ここまでの結論をまとめると、牛にも血液型はあるけれど、800種類以上と多様すぎて、性格や行動とは科学的に結びつけられないということ。牛の性格は、遺伝と育ち方で決まります。

ロボット牛舎の時代に効いてくる「気質」

最後に、この気質が今の酪農でどう重要になっているかという話へ。近ごろ増えているロボット牛舎がキーワードです。

搾乳ロボット 牛が自分のタイミングで入ると、自動で乳を搾ってくれる機械。餌ももらえるしくみになっているものが多く、牛が自発的に入ってくることが前提の設備です。

搾乳ロボットは自然界にはない環境。慣れた牛はどんどん入ってきますが、初めての牛は狭くて音も大きく、搾られること自体が怖くて、なかなか入れないそうです。

そこで効いてくるのが気質です。好奇心が旺盛な牛のほうがロボットに入りやすいため、「ロボット適性」として改良に組み込まれるようになってきているとのこと。

環境が変わっても順応できる牛のほうが飼いやすいので、そうした遺伝改良も今どんどん進んでいるそうです。

配信の終わりには、川上牧場初のKindle本『酪農未経験者のために』が発売から1週間で値上げされたことも紹介されました。今後はキャンペーンで安くなる日も設けていく予定だそうです。

まとめ

牛にも血液型はありますが、その数はなんと800種類以上。多様すぎて性格とは結びつけられず、牛の性格は遺伝と育ち方で決まる、というのが今回の答えでした。ロボット牛舎が増える今、好奇心旺盛な「気質」が大事にされているのも面白いポイントです。

  • 牛には少なくとも11種類の分類があり、血液型は全体で800種類ほどある
  • 人間でも牛でも、血液型と性格の科学的な関連性は確認されていない
  • 牛の性格は遺伝と、子牛のときの扱い方など育った環境で決まる
  • 血液型は性格ではなく、輸血や親子鑑定に活用される
  • 好奇心旺盛な気質はロボット牛舎への適性として改良にも取り入れられている