日曜恒例コメント返し!GTPI?DWP?改良の質問に答えます
2026-06-07 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
おはようございます。川上牧場の川上です。
今日は6月7日、日曜日です。
一週間、早いですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。牛乳、飲んでますか?
今日の出雲は、最高気温25℃くらい。曇り時々晴れという感じで、雨は降らないものの、湿度が少し高めです。気温だけ見ると涼しそうですが、牛にとっては湿度が高いだけでもなかなかきついんですよね。牛舎の中では、少しハーハーしている牛もいます。
今日の牧場仕事は、種付けをしながら、溜まっている書類仕事を片付ける予定です。昨日はインターネット関係の設定などをしていたので、事務仕事がまだまだ残っています。来週はまた職場体験の中学生が来る予定なので、それまでにできるだけ片付けておきたいところです。
さて、今日は日曜日恒例のコメント返しです。
この一週間、YouTube、X、TikTok、Note、音声配信などにいただいた質問やコメントを読みながら、牛乳片手にまったりお話ししていきます。日曜日の朝、作業の合間にゆっくり聞いてもらうような気持ちで読んでもらえたら嬉しいです。
それでは今日も、皆さんと一緒に牛乳で乾杯していきましょう。
乾杯。
今日も牛乳を飲んでいただいて、ありがとうございます。
牛乳月間、まだまだ続いています
昨日6月6日の18時から、「牛乳で歌おうライブ」を行いました。見てくださった方、聞いてくださった方、ありがとうございました。
今年で4年目になる企画ですが、毎年少しずつ知ってくださる方が増えていて、本当にありがたいです。
初めて聞いた方は、たぶん「なんだこれは」と思ったかもしれません。
でも、それでいいんです。牛乳をきっかけに、ちょっと笑って、ちょっと参加して、気づいたら牛乳月間が楽しくなっている。そんな企画になればいいなと思っています。
「#牛乳で歌おう」は6月30日まで続いていますので、ぜひ各SNSで投稿してみてください。川上牧場の牛乳を使ったカヌレが当たるキャンペーンも行っています。
そして、メタグリ研究所さんと一緒に行っている
「未来のミルク画像投稿キャンペーン」も、どんどん作品が集まっています。始まってまだ一週間ほどですが、すでに目標の3分の1を超える勢いです。
子どもたちが考えた
「こんな牛乳があったらいいな」「こんな乳製品があったら食べてみたい」というアイデアが、画像になって集まってくる。これ、本当に面白いです。
牛乳は、ただ飲むものではなくて、未来を想像する入口にもなるんだなと感じています。
川上牧場のNoteメンバーシップも、6月の牛乳月間に合わせて初月無料にしています。毎日の音声配信を文字起こしして、読みやすい記事として再構成していますので、音声では聞き逃した話も、文章でじっくり読んでもらえると思います。
子宮捻転、双子の死産、そして酪農家の「共有できない痛み」
まずは、いつもYouTubeにコメントをくださるリスナーさんからです。
先日、子宮捻転や双子の死産についての質問にお答えした配信に、こんなコメントをいただきました。
「マニアックな質問でしたが、すごくわかりやすい解説ありがとうございました。蹄病の治療をしていたので、足が痛くて起き上がる時や寝る時にねじれてしまった可能性が高いのかなと思いました。家畜車でお別れができずに死んでしまうと損失が大きいし、色々ショックですけど、泌乳期だと発見が遅れちゃうから仕方なかったですよね。すっきりできたし、お話ししてよかったです」
ありがとうございます。
酪農をしていると、こういう事故や、思いがけない牛の死亡があります。何年やっていても、やっぱり落ち込みます。
牛は経済動物です。
でも、毎日顔を見て、餌をやって、搾乳して、体調を見ていると、ただの数字ではありません。
だからこそ、突然亡くなったり、思ったように助けられなかったりすると、やっぱりショックです。
でも、このショックって、なかなか外には共有しにくいんですよね。家族や同業者には少し話せても、一般の人に話すには重すぎる。かといって自分の中に抱え込むと、ずっと残ってしまう。
だから、こういう配信を使ってもらえたらいいなと思っています。
「あの時、何が起きていたんだろう」
「次に同じことを起こさないためには、どこを見ればいいんだろう」
そうやって一緒に考えて、少しでも次の牛を守ることにつながれば、こういうコメント返しにも意味があると思っています。
牛乳の日は、酪農家が盛り上げないで誰が盛り上げるのか
続いてのリスナーさんからです。
6月1日の「牛乳の日」に合わせて、川上牧場の共催企画や牛乳月間の取り組みを紹介した配信に、こんなコメントをいただきました。
「テンション高すぎ!待ちに待ったワールドミルクデイですもんね!牛乳月間盛り上げていきましょうね!」
ありがとうございます。
そうです。テンション高かったです。
でも、酪農家が盛り上げないで誰が盛り上げるんだ、という話ですよね。
6月1日は牛乳の日。
そして6月は牛乳月間です。
正直、一般の方にはまだまだ知られていないと思います。でも、だからこそ酪農家や乳業関係者が、自分たちの言葉で伝えていく必要があります。
「牛乳月間って知ってました?」
「今月は牛乳をちょっと意識して飲んでみませんか?」
「子どもと一緒に牛乳の未来を考えてみませんか?」
そんな小さな声かけでいいと思うんです。
牛乳は、スーパーに当たり前に並んでいます。でも、その裏側には毎日牛を飼う人がいて、乳業会社がいて、運ぶ人がいて、売る人がいて、飲む人がいます。
そのつながりを少しでも感じてもらえる一ヶ月にしたいですね。
蹄病と肝臓。牛はここが崩れると本当に弱い
次は、「牛のネイルケア」、つまり蹄のケアについての配信にいただいたコメントです。
「乳房炎が治らないとか、妊娠しないとか、肺炎の原因は様々でも、結局は足が痛いからそうなったってことが多いですもんね」
というコメントをいただきました。
これは本当にその通りです。
牛を見ていると、蹄と肝臓はめちゃくちゃ大事です。
足が痛い牛は、立つのがつらくなります。
立つのがつらいと、餌を食べに行く回数が減ります。
食べる量が落ちると、体力も落ちます。
免疫も落ちます。
繁殖も悪くなります。
乳量も落ちます。
一見、乳房炎や繁殖不良として見えている問題の根っこに、実は足の痛みがあることは珍しくありません。
そして蹄の問題は、蹄だけを見ても解決しません。
餌。
牛床。
通路。
歩く距離。
湿り。
削蹄のタイミング。
体型。
遺伝。
全部つながっています。
牛の値段も高くなっています。だからこそ、病気になってから治療するより、予防にお金をかけることが大切です。牛にちゃんと投資すれば、牛は返してくれる。これは本当にそう思っています。
牛群検定、最初に見る数字は何ですか?
続いてXにいただいたコメントです。
研修生と一緒に、個体乳量や牛群の推移、牛群検定の見方について勉強していた記事に、コメントをいただきました。
記事の中で、
「あなたが一番最初に確認する数字は何ですか?」
という問いを出したところ、尾野さんは、
「出荷乳量の推移」
とコメントしてくださいました。
ありがとうございます。
やっぱり乳量を見る方は多いと思います。
酪農家ですから、牛乳を搾ってなんぼです。出荷乳量がどう推移しているかは、経営の大きな指標になります。
ただ、僕の場合は、乳量だけではなく、乳飼比や乳成分、体細胞、MUN、繁殖、健康状態をかなり見ます。
乳量を追うことは大事です。
でも、乳量だけを追いすぎた牧場が、その後どうなったかも見てきました。
たくさん搾っているのに、なぜかお金が残らない。
乳量は高いのに、牛がどんどん壊れていく。
更新率が高くなって、後継牛が足りなくなる。
治療費が増える。
人も疲弊する。
こうなると、数字としては良く見えても、経営としては苦しくなります。
だから僕は、
「いくら搾ったか」
と同じくらい、
「いくら残ったか」
「牛が健康に次の乳期へつながっているか」
を見たいと思っています。
酪農経営は、瞬間最大風速ではなく、続けられるかどうかが大事です。
GTPIやDWPが高い牛は、本当に“いい牛”なのか
そして今回のタイトルにも入れた、改良の質問です。
Xで、こんなコメントをいただきました。
「痺れる論評ですわ。最近のGTPIやDWPとかいった数字が高いと、いい牛ってのは違和感があるんですよね。数字遊びって感じがして」
ありがとうございます。
これは、かなり本質的なコメントだと思います。
GTPIやDWPというのは、ざっくり言うと、牛の遺伝的な能力を総合的に評価する指数です。乳量、乳成分、体型、繁殖、健康形質、長命性など、いろいろな項目を組み合わせて、総合点のような形で示します。
種雄牛を選ぶとき、販売会社さんや種屋さんも、
「この牛はGTPIが高いです」
「DWPが高いです」
という言い方をします。
もちろん、それは間違いではありません。
総合指数が高い牛は、いろいろな形質をバランスよく評価した結果として、高く出ているわけです。だから、何も考えずに低いものを使うより、総合指数の高いものを使っていく方が、結果として牛群が良くなっていく可能性は高いです。
実際、なんやかんや言って、総合指数はよくできています。
ただし、ここで大事なのは、
GTPIやDWPが高いことと、その牛が自分の牧場に合うことは、必ずしも同じではない
ということです。
ここを間違えると、数字遊びになります。
たとえば、どれだけ能力が高くても、自分の牧場の牛舎環境や餌、暑熱条件、作業体系に合わなければ、その牛は能力を出しきれません。
大きすぎる牛が合わない牧場もあります。
乳量を伸ばしすぎると餌で支えきれない牧場もあります。
蹄の強さを重視した方がいい牧場もあります。
繁殖性を優先した方が経営が安定する牧場もあります。
乳成分を重視したい牧場もあります。
だから最近は、カスタムインデックスのように、自分の牧場に合わせた指数を作る考え方も出てきています。
でも、これもまた難しいんです。
改良の結果が見えるのは、すぐではありません。
種を選ぶ。
受胎する。
子牛が生まれる。
育成する。
初産で搾る。
その牛が本当に良かったか判断する。
ここまで来るのに、普通に数年かかります。
「この選択が正しかったか」がわかるのは、2年後、3年後、場合によっては5年後です。
だから改良は怖いし、面白いんです。
僕自身も、数字は見ます。
ゲノムも見ます。
総合指数も見ます。
でも、最後は毎月の牛群検定と、実際に牛を見た感覚と、通帳を見ます。
極端な話、数字が高くてもお金が残らず、牛が壊れていくなら、それは自分の牧場にとって「いい改良」ではありません。
反対に、派手な指数ではなくても、牛が健康で、繁殖が回って、乳量と成分が安定し、飼いやすくて、経営が続くなら、それはその牧場にとって価値のある牛です。
改良で大事なのは、
「世間で評価される牛」
ではなく、
「自分の牧場で生きる牛」
を作ることだと思います。
A2牛乳、給食牛乳、そして無理に飲ませないという選択
TikTokでは、給食の牛乳が飲めない子についての投稿に、
「A2牛乳」
というコメントもいただきました。
A2牛乳については、以前も配信でお話ししました。
川上牧場では、A2の遺伝子が話題になり始めた頃から意識して、牛群をA2に揃える取り組みをしていました。
そして乳業会社さんに「A2牛乳を作りませんか」と提案したこともあります。
ただ、その当時はまだ、
「A2牛乳って何ですか?」
という反応でした。
先取りしすぎたんですよね。笑
A2牛乳は、お腹がゴロゴロしにくい可能性があると言われることがあります。ただ、乳糖不耐症の方に完全に対応できるものではありませんし、牛乳アレルギーの方が飲めるというものでもありません。
ここは誤解しない方がいいです。
給食の牛乳についても同じです。
昔は、苦手な子でも無理に飲まされることがありました。鼻をつまんで飲んでいた子もいたと思います。僕の世代でもそういう光景はありました。
僕はそういう子から牛乳をもらって飲んでいました。僕にとってはありがたかったですけど、苦手な子に無理して飲ませる必要はないと思っています。
牛乳が体に合わない人もいます。
味が苦手な人もいます。
アレルギーの人もいます。
乳糖不耐症の人もいます。
そういう人に無理やり飲ませるのではなく、美味しく飲める人が美味しく飲み、別の形で酪農や乳業を応援できる選択肢があればいいと思います。
牛乳を好きになってもらうために必要なのは、強制ではなく、理解と体験です。
牛乳の見方が変わるコメントが嬉しい
TikTokでは、牛乳の乳脂肪についてのスライド投稿にもコメントをいただきました。
「普段と違う牛乳を買うときは数値を見て3.5以上のものにこだわっていたけど、これからは見方が変わるかもしれない。川上さん、ありがとう」
これは嬉しかったです。
牛乳というと、乳脂肪分が高い方が濃くて美味しい、というイメージがあります。もちろん乳脂肪は味に関係します。でも、それだけで美味しさが決まるわけではありません。
品種。
餌。
季節。
殺菌方法。
均質化。
鮮度。
飲む温度。
その人の好み。
いろいろな要素があります。
乳脂肪が高くても、あっさり飲める牛乳もあります。
逆に、数字としては普通でも、風味がしっかり感じられる牛乳もあります。
牛乳は、思っている以上に個性があります。
だから、スーパーでいつも同じ牛乳を買っている方も、たまには違う牛乳を飲み比べてみてほしいです。数字だけではなく、自分の舌で「好き」を見つけてほしい。
この配信や投稿を通じて、少しでも牛乳の見方が変わったなら、本当に嬉しいです。
牛乳パックの使い道まで教えてもらえる配信
最後に、牛乳パックの使い道についての投稿にもコメントをいただきました。
「お菓子作りに使ったり、お肉を切るときのまな板として使ったり、パックに新聞紙とキッチンペーパーを入れて揚げ物の受けに使ったりしています」
ありがとうございます。
僕は酪農家なので、実はスーパーで牛乳を買うことがほとんどありません。うちの牛乳を飲んでいるので、牛乳パックが家にあまりないんです。
だから逆に、皆さんから牛乳パックの活用法を教えてもらうのが面白いです。
まな板代わりにする。
揚げ物の油受けにする。
お菓子作りに使う。
工作に使う。
牛乳を飲んだ後のパックまで、暮らしの中で役立っているんだなと思うと、これもまた牛乳文化の一つですね。
数字を見る。でも数字に飲まれない
今週もたくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます。
今日のコメント返しを通じて、改めて思ったのは、酪農は本当にいろいろな数字に囲まれている仕事だということです。
乳量。
乳成分。
体細胞。
MUN。
繁殖成績。
乳飼比。
GTPI。
DWP。
ゲノム。
飼料費。
治療費。
販売額。
数字を見ることは大事です。
数字を見ないと、経営はできません。
でも、数字に飲まれてはいけないとも思います。
GTPIが高いからいい牛。
乳量が高いからいい経営。
乳脂肪が高いから美味しい牛乳。
フォロワーが多いから良い発信。
そうやって一つの数字だけで判断すると、本質を見失うことがあります。
牛は生き物です。
牧場も生き物みたいなものです。
地域も、人も、季節も、毎年少しずつ変わります。
だからこそ、数字を見ながら、現場を見る。
現場を見ながら、数字で確認する。
その往復が大事なんだと思います。
改良も、経営も、発信も同じです。
自分の牧場に合う牛を作る。
自分の経営に合う数字を見る。
自分の言葉で牛乳の魅力を伝える。
その積み重ねが、続けられる酪農につながっていくのだと思います。
今週のお知らせ
川上牧場初のKindle本、
『酪農未経験者のために 川上牧場研修 遺伝改良と飼料設計編』
を販売しています。
酪農に興味がある方、牛群改良や飼料設計を学びたい方、研修生に何を伝えているのか知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
そして、メタグリ研究所さんと一緒に行っている「未来のミルク画像投稿キャンペーン」も引き続き開催中です。お子さんと一緒に、未来の牛乳や乳製品を考えて投稿していただけたら嬉しいです。全国の酪農・乳業に関わる商品が当たる企画になっています。
「#牛乳で歌おう」企画も6月30日まで続いています。各SNSでハッシュタグをつけて投稿していただくと、川上牧場の牛乳を使ったカヌレが当たるキャンペーンもあります。
それから、SUZURIでは川上牧場グッズも販売しています。Tシャツのセールも行われていますので、アーティストさんと川上牧場がコラボした作品もぜひチェックしてみてください。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
日曜日ですが、お仕事の方、学校の方、いってらっしゃい。
みんな、牛乳飲んでね。
バイバーイ。
情報|川上牧場🐮メンバーシップ|川上哲也
■どんなメンバーシップか 川上牧場を応援していただける方向けのメンバーシップです。参加費はすべて活動費に当てさせていただき
note.com
🐄📚『酪農未経験者のために: 川上牧場研修 〜遺伝改良と飼料設計編〜 』Kindleで絶賛発売中!📘
全ての酪農に興味がある方へ🐮数字で牛の声を聞こう!👇
酪農未経験者のために: 川上牧場研修 〜遺伝改良と飼料設計編〜
amzn.asia
780円
(2026年05月11日 21:02時点
詳しくはこちら)
Amazon.co.jpで購入する
毎日飲んでいる牛乳。
でも、
その牛乳がどこで、
どう生まれているかを知る機会はほとんどありません。
川上牧場のメルマガでは、
・牛舎で起きていること
・酪農のリアル
・牛乳の値段の裏側
・子牛が育つ現場
・SNSでは書きにくい話
などをお届けしています。
読むと、
スーパーの牛乳コーナーの見え方が少し変わります。
【牛乳の見方が変わる川上牧場メルマガ】はこちらから
牛乳の見方が変わる川上牧場メルマガ
kawakamifarm.net
川上牧場 lit.link
島根県出雲市にある小さな酪農場、One link to tell your story.
lit.link
今週もここまで読んでいただきありがとうございます。
毎週日曜日の記事では、
読んでくださった方への
応援スタンプを用意しています。
今週のQRはこちら👇
川上牧場公式LINEでスタンプを集めると、
川上牧場のNoteマガジン無料体験などの特典を受け取れます。
ただ読むだけではなく、
少しずつ一緒に参加してもらえたら嬉しいです。