川上牧場研修【AMTSの見方】

2021-06-15 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

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はじめに:ただの研修メモではありません

こんにちは、川上牧場の川上です。

普段から研修生向けに落農の基礎や現場での考え方をお伝えしていますが、今回はちょっと専門的な話、

「AMTS(Advanced Modeling and Training System)」という飼料設計ソフトの見方についてまとめました。

このNoteは、酪農家さん、研修生、そしてこれから飼料設計に携わりたい方に向けて、「なぜこの数字が必要なのか」「何を見ればいいのか」を丁寧に解説しています。

専門用語も出てきますが、できるだけわかりやすく、現場感を持って読めるように構成しています。

AMTSってなに?どこがスゴイの?

AMTSとは、牛の栄養設計を細かく、科学的に行うためのソフトウェアです。

日本でも使われていた「CPMデイリー」の進化系で、CNCPSというモデルをベースにしています。

📌 ポイント:AMTSを理解すると、他の飼料設計ツール(民間メーカー製など)もだいたい読めるようになります。

1. 体重がわからないと話にならない

なぜ体重が重要なの?

飼料設計の前提として、牛の体重がわかっていないとAMTSは正しく動きません。

・初産牛:650kg程度

・経産牛:700〜850kg程度

といった目安はありますが、精度を上げたいなら実測が必須です。

体重の出し方の選択肢:

・牛群検定(やっているならベスト)

・推定巻き尺(胸囲で推定)

・体重計(実測が一番!)

📌 学びポイント:体重がわからないと、全ての設計値が「なんとなく」になってしまいます。餌のせいにする前に、自分の牧場の数字を測ろう。

2. 乳量・乳成分も「推定」より「実測」

乳量や乳成分の正確なデータがあれば、設計精度は格段に上がります。

ない場合は、バルク(全体平均)から見るしかありません。

📌 学びポイント:「バルク」だけだと弱い。可能な限り個体ベースのデータを活用しよう。

3. 草の分析で変わる設計の深さ

消化性って何?

草の「NDF(中性デタージェント繊維)」の消化される割合を分析することで、エネルギー効率がわかります。

これには、「30時間」「240時間」などのルーメン内滞留時間に対応した指標があります。

・NDFDOM30:消化性が高い草は数字が高い

・UNDF240:絶対に消化されないゴミ繊維(多すぎると逆効果)

📌 学びポイント:草の「消化性」は飼料価値そのもの。見た目だけではなく、分析データで判断するクセを。

4. DMI(乾物摂取量)をなめるな

DMIとは?

Dry Matter Intake=乾物ベースでどれだけ牛が餌を食べているか、です。

副産物など水分が多い飼料は、「現物の重さ」と「中身(成分)」が大きくズレるため、正確なDMIが大切。

📌 学びポイント:「何kgあげてるか」ではなく、「乾物で何kg食ってるか」が設計の出発点。

5. 設計画面で見るべき3つの指標

AMTSの設計画面にはたくさんの項目がありますが、特に押さえるべきはこの3つ。

① ME(代謝エネルギー)

・餌全体から得られるエネルギー

・数字は充足率で100〜105%を目指す

② MP(代謝タンパク)

・牛が吸収できるタンパク(菌体+バイパス)

・CP(粗タンパク)よりも重要

③ RDP/RUP(分解性/非分解性タンパク)

・RDP:ルーメンで分解されるタンパク

・RUP:ルーメンを通過し腸で吸収されるタンパク

📌 学びポイント:「タンパクが多ければいい」は時代遅れ。MPベースで判断する。

6. PENDFとは?繊維は多すぎても少なすぎてもダメ

物理的有効繊維(PENDF)は、ルーメンの環境を保つために必要な指標。

繊維が少なすぎると反すうが減り、ルーメンが不安定になります。逆に多すぎると摂取量が減ってしまう。

📌 学びポイント:PENDFは25〜28%が目安。草の見た目や量だけじゃなく「反すうしやすさ」も設計に組み込もう。

7. 飼料設計は「牛と農場を見て」完成する

数字を合わせるだけではうまくいきません。

・そもそも食ってるか?

・牛の健康状態はどうか?

・メニューと牛の状態、ちゃんと連動してるか?

こうした「現場の目線」が設計を活かす鍵です。

📌 学びポイント:設計者と現場が歩み寄ることで、はじめて数字が活きる。

おわりに:数字の裏にあるストーリーを見よう

飼料設計は、与えるエサの計算だけでなく、牛がどう育ち、どう生きるかを考える技術です。

AMTSなどの設計ソフトを使いこなすには、

・牛の状態

・餌の質

・現場での感覚

この3つの情報を行ったり来たりする必要があります。

最後に、このNoteが、「飼料設計は苦手だけどちょっと勉強してみようかな」と思ってもらえるきっかけになればうれしいです。

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