培養肉のガイドライン!日本と世界の状況は?

2025-03-01 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

日本はようやく培養肉のガイドライン作りに動き出した段階で、すでに販売が進むシンガポールや韓国、禁止に向かうイタリアなど、世界の対応は大きく分かれています。そんな中で酪農家の川上さんは、不安も認めつつ「おいしいものが誰でも食べられる世界のほうがいい」と、培養肉に前向きな姿勢を示しました。

この回の要点

  • 日本は消費者庁が培養肉の安全性ガイドライン案を作る方針を示した段階
  • シンガポールは2020年に世界で初めて販売を承認し、すでにスーパーに並んでいる
  • 韓国は認証申請の受付を開始する一方、イタリアやアメリカでは禁止の動きもある
  • 川上さんは酪農家として、培養肉に興味があり「食べてみたい」と語っている
  • 3月27日に渋谷で培養肉のシンポジウムが開催される予定

配信の全文(podyの記事より)

日本でやっと「ガイドラインを作れる」段階に

今回のテーマは、細胞から作る培養肉や代替肉をめぐる新しい動きです。川上さんは、日本でもようやく動き出したニュースを紹介していきます。

培養肉 動物の細胞を取り出して培養し、増やして作るお肉のこと。家畜を育てて解体する従来の食肉とは製造方法が大きく違うため、安全性や表示のルール作りが世界で課題になっています。

紹介されたのは、消費者庁が培養肉などの新しい食品について、安全性を確保するためのガイドライン案を作る方針を示したという記事です。

従来の食肉とは製造方法や特性が異なるため、消費者の安全を守る明確な指針が必要だと判断されたことが背景にあります。

具体的な中身はまだ公表されていませんが、消費者庁は食品の安全性や表示に関するガイドラインをこれまでも作ってきていて、培養肉もその一環として進められると考えられています。

プラントベース食品 大豆などの植物由来の原料で、肉や乳製品に近づけて作られた代替食品のこと。消費者庁は、こうした食品の情報提供や表示についてもQ&Aを公開しています。

川上さんはこのニュースを、日本にとって大きな一歩だと受け止めています。

日本でやっと、やっとガイドラインが作れますよっていうところのレベルに来ました ── 川上

一方で、日本の現状のきびしさにも触れています。各メーカーが技術を持ち寄ってお肉を作ろうとしていても、実験の段階でも食べられないというのが日本なのだそうです。

シンガポールと韓国は、もう一歩も二歩も先へ

ここから話は世界の状況に移ります。日本がガイドライン作成の段階なのに対して、海外はすでに動き出している国があります。

まずシンガポールです。2020年12月に世界で初めて培養肉の販売を承認し、すでに培養鶏肉を使ったチキンナゲットやチキンソテーが提供されているといいます。

川上さんは、日本細胞農業協会のXアカウントで見た現地の写真に驚いたと話します。ごく普通のお肉と培養肉が、区別なくスーパーに並んでいたそうです。

もう普通に、ごく普通のお肉ともう培養肉がもうごちゃごちゃに置いてあるぐらいスーパーに並んでる ── 川上

お隣の韓国も動きが速い国として挙げられました。2022年8月に政府が国家計画に培養肉のガイドラインを盛り込むことを発表しています。

その後、2024年2月には食品医薬品安全局が培養肉の認証申請の受付を開始し、企業の参入を後押ししているそうです。

培養肉をめぐる各国の動き

2020年12月

シンガポールが世界で初めて培養肉の販売を承認

2022年8月

韓国政府が国家計画に培養肉のガイドラインを盛り込むと発表

2024年2月

韓国の食品医薬品安全局が認証申請の受付を開始

食文化や倫理から「禁止」に動く国も

ただ、世界が一方向に進んでいるわけではありません。今までの食品観や倫理観、宗教的な観点から、反対の声もあると川上さんは補足します。

動物のお肉を奪っているのではないか、農家が減ってしまうのではないか、といった懸念です。

その代表例としてイタリアが紹介されました。伝統的な食文化を守る観点から、培養肉の製造や販売を禁止する法案が提出されたそうです。

この法案が成立すると、動物の細胞組織からの培養肉などの製造や使用が禁じられ、違反者には最大6万ユーロ、約862万円の罰金が科せられる可能性があるといいます。

川上さんは、アメリカでも禁止のニュースを先日見た気がすると話し、各国の対応が揺れている様子を伝えています。

酪農家だからこそ「めちゃめちゃ食べてみたい」

ここからは川上さん自身の思いが語られます。消費者の立場からすれば、安全安心は食品として最低条件だといいます。

その時食べて大丈夫でも、何十年、半世紀と食べ続けたらどうなるのかは分からない。だから不安になる気持ちもある、と正直に話します。

そのうえで、川上さん個人の気持ちははっきりしています。

かわかみ自身はめちゃめちゃ食べてみたい ── 川上

酪農や畜産の世界で働いていると、「こんなの食品じゃない」「こんなの肉じゃない」と反対されることもあるそうです。それでも川上さんの考えは違います。

川上 美味しいお肉がいつでもどこでも食べられる、おいしい牛乳がいつでもどこでも食べられるっていう世界のほうが、僕は幸せだと感じられる

だからこそ協力もしていきたいし、自分自身も興味があると語ります。おいしいものが誰でもいつでも食べられる世界のほうがいいという一点が、川上さんの立ち位置です。

リスナーへも呼びかけがありました。「私はこう思う」「海外で食べてみた」という人がいたら、ぜひ教えてほしいとのことです。

渋谷で開かれる培養肉シンポジウムの案内

最後に、具体的なイベントの紹介です。日本細胞農業協会(CAIC)が主催するシンポジウムが日本で開かれるといいます。

日本細胞農業協会(CAIC) 培養肉などの細胞農業に関する情報発信や普及に取り組む団体。川上さんは、この協会のXアカウントで海外の販売状況などをチェックしていると話しています。

川上さんが読み上げた案内によると、シリコンバレー発の代替タンパク質・培養肉シンポジウムが日本初上陸するとのことです。

「新しいプロテイン技術への投資ギャップを埋める」をテーマに、最新動向や投資機会、コラボの可能性を探る内容だそうです。

開催は3月27日、場所は渋谷区のプラグアンドプレイジャパンオフィス。5000円ほどで参加できるようで、川上さんは「渋谷が近い人は行ってみて」と勧めています。

北海道の酪農家からのお便りに恐縮しきり

この日はリアルタイム配信ではなかったため、お便りの紹介がありました。stand.fmに届いた、北海道で酪農をしているサイロさんからのコメントです。

内容は、川上牧場の曲が北海道のFM局エアGの番組で流れたことについて、「なんだか不思議な感じですね」というものでした。

川上さんは、酪農のメッカである北海道の酪農家に聞かれるのが一番恥ずかしいと、照れながら感謝を伝えます。

川上 北海道、あの酪農のメッカの北海道で、島根県出雲市の川上牧場の声が出るなんて、もう本当に申し訳ないなと思ってます

それでも、酪農を盛り上げるためにいろんな媒体を使っていきたいと前向きに話し、応援やお知り合いへの紹介を呼びかけて配信を締めくくりました。

まとめ

日本はようやく培養肉のガイドライン作りに動き出した段階で、すでに販売が進むシンガポールや韓国、禁止に向かうイタリアなど、世界の対応は大きく分かれています。そんな中で酪農家の川上さんは、不安も認めつつ「おいしいものが誰でも食べられる世界のほうがいい」と、培養肉に前向きな姿勢を示しました。

  • 日本は消費者庁が培養肉の安全性ガイドライン案を作る方針を示した段階
  • シンガポールは2020年に世界で初めて販売を承認し、すでにスーパーに並んでいる
  • 韓国は認証申請の受付を開始する一方、イタリアやアメリカでは禁止の動きもある
  • 川上さんは酪農家として、培養肉に興味があり「食べてみたい」と語っている
  • 3月27日に渋谷で培養肉のシンポジウムが開催される予定