R7研修生と配信⑤

2025-08-24 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

https://open.spotify.com/episode/6ZyP6XFSDLuk6IC2EUMX5Z?si=6ez5piAMQfShx0IrbeS3JQ

こんにちは、川上牧場です。今日も朝から暑さが厳しい中、R7年度の研修生さんと一緒に現場作業と配信を行っています。

今回のNote記事では、研修生さんとのやり取りを通じて見えてきた「牛との距離感」や「酪農の現場感覚」、そして教育やコミュニケーションの大切さについてじっくり綴っていきます。

牛に蹴られたって本当?

今回のきっかけはリスナーさんからのこんな質問でした。

「牛に蹴られたときの感想を教えてください」

回答はシンプル。

「痛かったです」

そりゃそうだ! という話なんですが(笑)

意外にも川上牧場では「蹴られる」って本当に稀なんです。

ただ、過去に蹴られた研修生さんもいて、彼・彼女たちの反応が面白い。

ある研修生は蹴られた後に「かわいく感じました」なんてコメント。牛への愛情と観察眼がすごい!と思いつつ、

「こいつはちょっと狂ってるぜ…」なんて笑ったりもしました。

今回の研修生さんは、「鼻折れたかと思った」と痛みを振り返りつつも、「自分の対応に何か問題があったのかも」と、牛の反応を自分事として捉えていたのが印象的でした。

牛との“距離感”診断で見えてくる性格差

川上牧場では研修生や従業員と一緒に「牛との距離感診断」を行っています。いくつかの質問に対してYes/Noで答えてもらうもので、牛への感情や価値観、仕事への向き合い方を可視化するツールです。

https://note.com/kawakamifarm/n/nffc32c1c1037

たとえば、以下のような質問があります:

・牛がかわいいと思う?

・牛と一緒にお風呂に入れる?

・ゴキブリは素手でパーンできる?

・休みの日も牧場に視察に行きたい?

・牛という共通言語があれば誰とでも話せる?

などなど。

今回の研修生さんの結果からは、

「牛が好き」「病気の原因を知りたい」など真摯な面が見えましたが、

「ゴキブリは無理!」「休みはきっちり分けたい」などの線引きもはっきりしていました。

この診断を通じて、「楽しく働くためには、感覚のズレをあらかじめ知る」ことが大事だと改めて感じました。

経営主と従業員の“牛への感情”の違い

実は、経営者と従業員では牛との向き合い方がかなり違うことがあります。

たとえば、僕(川上)は、牛舎に入ったら「すべては牛目線」で動きます。自分に不利でも牛の快適さ優先。けど、研修生さんにはそこまで求めない。むしろ「どこまで許容できるか」のラインを知っておく方が重要なんです。

研修初期に見えるこの差は、1ヶ月、半年、1年と経つうちに変わっていきます。その変化を観察するのがまた面白いし、育成のヒントにもなります。

牛が好きでも“知識ゼロ”では通用しない

「牛が好きです!」と言って入ってくる若者は多いです。素晴らしいことです。でも、それだけでは現場で長く働けません。

・ホルスタインと黒毛和牛の違い

・初乳と乳房炎の関係

・乾乳期間の管理方法

などなど…

こういった基礎知識は“好き”だけでは補えません。

今回の研修生さんも、「ホルスタインと和牛の違い、説明できない」とのことでしたが、これは逆に“伸びしろ”とも言えます。知識は後からついてきます。

牛乳と休みと…プライベートの線引き

研修生さんは「休みはしっかり分けたい」タイプ。悪いことではありません。が、酪農家の多くは「休みの日でも牧場見学に行く」のが一般的だったりします。

僕なんかは旅行先でも、つい牧場を探して寄っちゃうタイプ(笑)。

これは価値観の違いなので、どっちが正しいではなく、

「そういう世界がある」

ということを知ってもらうのが大事です。

牛を育てるということは、自分の幅を広げること

研修生さんと話していて、強く思ったのは、

牛を育てるには、自分の感覚や考え方の幅が必要

ということです。

たとえば、「牛に蹴られた=怒り」ではなく、

「なぜ?」と考えられること。あるいは、苦手なゴキブリに遭遇した時、「誰かに頼める関係性」を築いておくこと。

自分の得手不得手を知って、人と協力して牛を守っていく。

これが酪農の現場です。

初乳について学ぼう

今回、実際にホルスタインの分娩があり、研修生さんには「初乳」を与える体験をしてもらいました。

初乳とは:

・分娩後24時間以内に搾乳されたもの

・子牛に免疫を与える大切な栄養源

・通常の牛乳より粘性があり、独特のにおい

・風味が強いため、流通は不可(最低10日間は出荷禁止)

これらの知識は、実際に触れないと分かりません。今回の研修で、実体験とともに知識を吸収してくれたのがうれしかったです。

最後に

「牛と暮らす」ということは、「日々自分の価値観が問われる」ということでもあります。

研修生さんには、

・自分の気持ちや反応に正直になる

・その上で、相手(牛・経営者・仲間)の感覚を知る

・違いを認め、合わせすぎず、でも理解する

そんな“人間力”を身につけてほしいと思っています。

R7研修生とのやり取りはまだまだ続きますが、この日々が彼・彼女たちにとって、「仕事とは?」「牛とどう向き合うか?」を考えるきっかけになれば、僕にとってこれほど嬉しいことはありません。

また次回の配信でお会いしましょう。

牛乳で乾杯!

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