牛が教えてくれる“季節の変わり目"

2025-08-27 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

牛の行動や体の変化には、四季それぞれのサインがしっかり表れているようです。川上さんの解説からは、生き物としての牛の姿と、それを見守る酪農家の視点が伝わってきますね。

この回の要点

  • 春は換毛と放牧、夏は暑さ対策、秋は落ち着き、冬は反芻と断熱と、季節ごとに牛の行動が変わる
  • 夏は立って風に当たる時間が増え、水槽が渋滞し、牛どうしが輪になって虫よけをする
  • 冬は反芻の発酵熱で体温を上げ、背中に霜がついても平気なほど寒さに強い
  • 川上さんは餌の量や乳量で季節を感じ、暑さ寒さに敏感な子牛の変化にも注目している

配信の全文(podyの記事より)

久々の雨の朝、今日の牧場仕事は?

配信のあった8月27日は、10日ぶりの雨だったそうです。ザーッと降るほどではなく、パラパラとした雨。夕方には上がる予報で、川上さんは「農作物は喜んでいる天雨日」と話します。

この日の仕事は、毎週恒例の繁殖検診のあとの移植や、頼まれていた堆肥の配達。さらに翌週に控えた牛群検定に向けて、牛の記録を取っていく予定だそうです。

牛群検定 乳牛1頭ごとの乳量や乳成分、繁殖状況などを定期的に記録し、飼養管理や改良に役立てる検定制度です。この日は約1週間後に予定されていました。

道端で死んでいるセミや、飛び始めた赤トンボ。川上さんも少しずつ夏の終わりを感じていると言います。

牛さんの行動で季節の変わり目を感じる?

今回の質問は、スプーンネーム「みずみずCさん」からのお便りです。

質問(みずみずCさん) 牛さんの行動で季節の変わり目を感じることはありますか?

人間なら日の長さや風の変化、雲の形で季節の移り変わりを感じますよね。では牛の場合はどうなのでしょうか。

川上 家畜として長年飼われている牛さんですけど、一応生き物なので、こういう季節の変わり目みたいな、ちょっとずつ変化があるんです。

川上さんは、AIがまとめた四季ごとの牛の変化を読み上げながら、自分の実感と照らし合わせて答えていきます。

春と夏、牛はどう変わる?

まずは春。放牧を再開すると、成牛でも子牛のように尾を高く上げて小走りするそうです。ただしこれは季節というより牛の個性による部分も大きいとのこと。

春らしさをはっきり感じるのは、換毛です。冬毛から夏毛へと生え変わり、ブラシにびっしり毛がつくと「春が来たなぁ」と感じるそうです。

一方で夏は、暑さとの戦いが牛の行動に表れます。熱を逃がすために横にならず立って風に当たる時間が増え、扇風機の前は満席になるほどだといいます。

水を飲む量も増え、水槽の前には渋滞ができるほど。さらに、虫よけのために牛どうしが頭を内側にして輪になり、尻尾で互いの顔を払い合う光景も見られるそうです。

川上 頭を交互に並んで尻尾で互いの顔を払う、これは夏の共同虫除けということで。放牧してたり歩き回れるフリーバーンでは、ある光景ではありますね。

気をつけたいのが、暑さのサインです。川上さんは、これらが出ないよう管理することが大事だと話します。

・呼吸が早い

・よだれが多め

・耳と鼻先が熱い

・餌の食いが落ちる

これらが出始めたら、ミストや送風、日陰の強化が必要な合図だそうです。

秋と冬、牛の体はどう備える?

秋になり暑さが抜けると、採食量が戻り、横になって寝ている時間も安定してくるそうです。牛舎に落ち着きが戻り、川上さんも「安心する」と話します。

換毛も逆方向に進み、夏毛から冬毛へ。ただ、近年は日本も暑くなっているため、秋の変化はそこまで大きくないとのことです。

冬になると、牛は寄り添って寝るようになり、群れで密になっていきます。驚くのは、朝に牛の背中へ薄い霜がつくこと。これは体表の毛並みと空気の層が断熱している健康なサインだそうです。

川上 めっちゃ雪とか、めちゃめちゃ寒いのに牛が平気で餌食べたりっていうのは、やっぱびっくりしますよね。ちゃんと断熱してるんだなっていうのがわかります。

寒さに強い理由のひとつが反芻です。食べて反芻するほど、お腹の中で発酵熱が生まれ、体温が上がっていきます。

反芻は体のストーブということで、本当に面白い、寒さに強い牛ならではの行動ですね。 ── 川上

冬は飲水の管理も重要です。乳を出すには水が必要ですが、冷たすぎたり凍ったりすると飲む量が落ちてしまいます。井戸水で水温を安定させたり、子牛用にヒーター付きの飲水器を使う牧場もあるそうです。

さらに、凍った糞で滑らないよう、乾いた敷料や滑り止めも欠かせません。塩化カルシウムを撒くこともありますが、機械が傷むため注意しながら牛を守っているといいます。

川上さんが実感する季節の変わり目

四季ごとの一般的な変化を紹介したうえで、川上さん自身が季節の変わり目を感じるポイントも挙げています。

それは、餌を食べる量と乳量です。搾乳のときに乳の張り方が変わってくることで、季節の移り変わりを感じるそうです。

そして親牛より子牛の方が、暑さや寒さ、日の長さに敏感だと話します。子牛の下痢が増えると、ワクチンや添加剤の量を調整するきっかけになり、そこで季節の変わり目を実感するといいます。

まとめ

牛の行動や体の変化には、四季それぞれのサインがしっかり表れているようです。川上さんの解説からは、生き物としての牛の姿と、それを見守る酪農家の視点が伝わってきますね。

  • 春は換毛と放牧、夏は暑さ対策、秋は落ち着き、冬は反芻と断熱と、季節ごとに牛の行動が変わる
  • 夏は立って風に当たる時間が増え、水槽が渋滞し、牛どうしが輪になって虫よけをする
  • 冬は反芻の発酵熱で体温を上げ、背中に霜がついても平気なほど寒さに強い
  • 川上さんは餌の量や乳量で季節を感じ、暑さ寒さに敏感な子牛の変化にも注目している