ジェラートとアイスクリームの違い!暑い日に知りたい“冷たい乳製品”の科学
2026-05-21 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
おはようございます。
川上牧場の川上です。
暑くなってくると、急に食べたくなるものがあります。
そうです。
アイスです。
冷凍庫を開けて、カップアイスを見つけた時のあの安心感。
観光地で「牧場ジェラート」と書かれた看板を見つけた時の、ちょっと吸い寄せられる感じ。
あれ、なんなんでしょうね。
牛乳をそのまま飲むのももちろんおいしいんですが、暑い日に食べる冷たい乳製品には、また別の幸せがあります。
そんな中、リスナーさんからこんな質問をいただきました。
「暑くなってきましたが、ジェラートとアイスクリームとの違いを教えてください」
いい質問です。
めちゃくちゃ素朴なんですけど、こういう疑問って意外とちゃんと説明できないんですよね。
なんとなく、ジェラートはおしゃれ。
アイスクリームは濃厚。
ジェラートは果物っぽい。
アイスクリームはミルクっぽい。
そんなイメージはあると思います。
僕も酪農家ですが、急に聞かれたら、
「えーっと……ジェラートはイタリアっぽいやつで、アイスクリームは冷凍庫にあるやつです」
くらいの、かなり雑な説明になってしまいそうです。
でも、調べてみると、ちゃんと違いがあります。
そしてこの違いを知ると、コンビニやスーパー、観光地のジェラート屋さんで冷たいものを選ぶ時に、ちょっと楽しくなります。
今日は酪農家目線で、ジェラートとアイスクリームの違いを、牛乳との関係も含めてお話ししていきます。
まず大きな違いは「乳脂肪」
最初にいちばん大事なところからいきます。
アイスクリームとジェラートの大きな違いは、
乳脂肪の量
です。
日本では、いわゆる「アイス」は成分によって分類されています。
スーパーやコンビニでカップアイスの裏側を見ると、
「種類別 アイスクリーム」
「種類別 アイスミルク」
「種類別 ラクトアイス」
「氷菓」
と書いてあることがあります。
あれ、ちゃんと意味があります。
日本で「アイスクリーム」と表示できるものは、乳固形分が15%以上、そのうち乳脂肪分が8%以上あるものです。
つまり、牛乳や乳製品の成分がしっかり入っているものが、法律上の「アイスクリーム」です。
口に入れた瞬間に、
「おお、濃い」
「ミルク感がある」
「クリームっぽい」
と感じるものが多いのは、この乳脂肪が関係しています。
乳脂肪は、味の丸みやコク、なめらかさに大きく関わります。
酪農家目線で言えば、アイスクリームは、かなり“牛乳のごちそう感”がある食べ物です。
一方で、ジェラートはどうでしょうか。
実は日本では、「ジェラート」という名前そのものに、アイスクリームのような明確な法律上の分類があるわけではありません。
ジェラートはイタリア語で、もともとは「凍ったもの」という意味に近い言葉です。
日本で売られているジェラートは、一般的にはアイスクリームより乳脂肪分が少なめで、牛乳を主体にしながら、果物、ナッツ、チョコレート、抹茶、ピスタチオなど、素材の味を前に出すものが多いです。
つまり、かなりざっくり言うと、
アイスクリームは、乳脂肪のコクを楽しむ冷たい乳製品。
ジェラートは、牛乳を土台にしながら素材の味を楽しむ冷たいデザート。
こんなイメージです。
もちろん、商品によって違いはあります。
ミルク感の強いジェラートもありますし、さっぱりしたアイスクリームもあります。
ただ、大きな方向性としては、アイスクリームは濃厚、ジェラートは素材感、という見方をすると分かりやすいと思います。
食感を決めるのは「空気」
次に面白いのが、空気の量です。
アイスクリームやジェラートは、ただ液体を凍らせているわけではありません。
凍らせながら混ぜています。
この時に、空気が中に入り込みます。
この空気の入り方を「オーバーラン」といいます。
ちょっと専門用語が出ましたが、難しく考えなくて大丈夫です。
要するに、
どれだけ空気を抱き込んでいるか
という話です。
空気が多く入ると、ふわっと軽い食感になります。
空気が少ないと、密度が高く、ねっとりした食感になります。
一般的に、アイスクリームはジェラートより空気を多く含ませることが多いです。
だから口どけが軽く、ふわっとした印象になります。
一方でジェラートは、空気の量が少なめです。
その分、スプーンですくった時にねっとりしていて、口に入れると素材の味がぎゅっと来ます。
同じ「冷たい甘いもの」でも、食べた時の印象が違うのは、乳脂肪だけでなく、この空気の量も関係しています。
これ、牛乳や乳製品の世界ではとても面白いところです。
牛乳そのものは液体です。
でも、空気を含ませたり、脂肪を集めたり、発酵させたり、凍らせたりすると、まったく違う食べ物になります。
バターも、チーズも、ヨーグルトも、アイスクリームも、ジェラートも、もとは牛乳です。
牛乳って、ほんとに変身能力が高いんですよ。
牛乳界のメタモンです。
ちょっと言い過ぎました。
提供温度でも味は変わる
もうひとつ大事なのが、温度です。
アイスクリームは、家庭用の冷凍庫から出すとカチカチになっていることがありますよね。
スプーンが刺さらなくて、ちょっと待つ。
でも待ちすぎると周りだけ溶ける。
あの時間、なかなか難しいです。
一方、ジェラート屋さんで出てくるジェラートは、アイスクリームより少しやわらかく感じることがあります。
これは、提供される温度が関係しています。
ジェラートは、一般的にアイスクリームより少し高めの温度で提供されることが多いです。
温度が高めだと、舌に乗せた時に香りや味を感じやすくなります。
冷たすぎると、人間の舌は味を感じにくくなります。
キンキンに冷えたものを食べた時、最初は「冷たい!」が勝ちますよね。
逆に少しだけ温度が上がると、甘さや香り、ミルク感、果物の風味が立ってきます。
ジェラートが素材の味を感じやすいのは、乳脂肪が控えめで、空気が少なく、温度も少し高めだからです。
つまり、ジェラートは
「素材の香りをどう感じてもらうか」
まで含めて設計されている冷たいデザートなんですね。
これはなかなか奥が深いです。
アイスクリームは「乳脂肪のごちそう」
では、酪農家としてアイスクリームをどう見ているか。
僕の感覚では、アイスクリームは
乳脂肪のごちそう
です。
牛乳の中に含まれる乳脂肪は、牛が草や飼料を食べて、体の中で作り出しているものです。
乳脂肪は、牛乳のコクや香りに関わります。
そしてアイスクリームでは、その乳脂肪がとても大事な役割をします。
口どけ。
濃厚さ。
満足感。
余韻。
アイスクリームを食べた時に、口の中に残る幸せな感じがありますよね。
あれは、砂糖だけでは出ません。
乳脂肪の仕事です。
だから、種類別表示で「アイスクリーム」と書かれているものを食べると、乳製品としての存在感をかなり感じやすいです。
もちろん、アイスミルクやラクトアイスが悪いという話ではありません。
それぞれに役割があります。
軽く食べたい時。
さっぱり食べたい時。
価格を抑えて楽しみたい時。
氷菓のように、暑い日にガリッといきたい時。
全部に良さがあります。
ただ、酪農家を応援したい、牛乳や乳製品の味をしっかり楽しみたい、という時は、ぜひ裏の表示を見てみてください。
「種類別 アイスクリーム」と書いてあるものは、乳成分がしっかり入っています。
これを知っているだけで、アイス売り場の見方が少し変わります。
ジェラートは「牛乳と素材の共演」
一方で、ジェラートは
牛乳と素材の共演
という感じです。
主役が牛乳だけではなく、果物やナッツ、チョコレート、抹茶、ピスタチオなどの素材と一緒に味を作ります。
たとえば、いちごのジェラートなら、いちごの酸味や香りを前に出したい。
ピスタチオなら、ナッツの香ばしさを感じたい。
チョコレートなら、カカオの風味をしっかり出したい。
この時に、乳脂肪が多すぎると、素材の味を包み込みすぎることがあります。
もちろん、それが良い場合もあります。
濃厚なバニラアイスやチョコアイスは、乳脂肪のコクがあるからこそおいしいです。
でも、素材の香りをストレートに出したい時は、ジェラートのような作り方が合うことがあります。
牛乳が前に出すぎず、でも後ろでちゃんと支えている。
これがジェラートの面白さだと思います。
酪農家としては、こういう牛乳の使われ方も嬉しいです。
牛乳は主役にもなれるし、名脇役にもなれる。
アイスクリームでは主役としてどーんと立つ。
ジェラートでは素材を支える土台になる。
どちらも牛乳の魅力です。
暑い日にこそ、裏の表示を見てみてほしい
これから暑くなると、アイスを食べる機会が増えると思います。
その時に、ぜひ一度、商品の裏側を見てみてください。
種類別は何か。
アイスクリームなのか。
アイスミルクなのか。
ラクトアイスなのか。
氷菓なのか。
それだけでも、かなり見方が変わります。
「今日は濃厚なミルク感が欲しいからアイスクリームにしよう」
「今日は暑すぎるから氷菓でさっぱりいこう」
「果物の味を楽しみたいからジェラートにしよう」
「牛乳感もありつつ軽めがいいからアイスミルクにしよう」
こんなふうに選べるようになります。
食べ物って、知るとおいしくなります。
同じアイスでも、
「これは乳脂肪がしっかりあるから濃いんだな」
「これは空気が少ないからねっとりしているんだな」
「これは温度が少し高いから香りが立つんだな」
と思いながら食べると、ちょっと楽しいです。
そして、冷たい乳製品を楽しんだ時に、少しだけ牛のことも思い出してもらえたら嬉しいです。
その牛乳は、どこかの牧場で、毎日牛が食べて、寝て、反芻して、搾乳されて、届けられたものです。
アイスクリームもジェラートも、ただの甘いおやつではなく、牛乳の変身した姿です。
まとめ
今日の話をまとめます。
アイスクリームとジェラートの大きな違いは、乳脂肪、空気の量、提供温度です。
アイスクリームは乳脂肪が多く、ミルクのコクや濃厚さを楽しみやすい冷たい乳製品です。
ジェラートは乳脂肪が控えめで、空気も少なめ。
その分、密度があり、果物やナッツなど素材の味を感じやすい冷たいデザートです。
酪農家目線で言うなら、
アイスクリームは、乳脂肪のごちそう。
ジェラートは、牛乳と素材の共演。
そんな違いです。
どちらが上、どちらが正解、という話ではありません。
暑い日に、濃厚な幸せが欲しければアイスクリーム。
素材の香りやさっぱり感を楽しみたければジェラート。
ガリッと涼みたければ氷菓。
軽く楽しみたければアイスミルクやラクトアイス。
冷たいおやつの世界は、思っているよりずっと広いです。
今年の夏は、ぜひ
「これはアイスクリームかな?ジェラートかな?」
「乳脂肪はどのくらいあるのかな?」
「牛乳はどんな役割をしているのかな?」
そんな目線で食べてみてください。
きっと、いつものアイスが少しだけおいしく感じると思います。
そして、食べたあとはぜひ牛乳も飲んでください。
結局そこに戻ります。
今日も牛乳を飲んでくれて、ありがとうございます。
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