牛乳ではお腹ゴロゴロ…でもシチューは平気?その理由を酪農家が解説!

2026-05-20 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

こんにちは。

川上牧場の川上です。

今回は、リスナーさんからとてもいい質問をいただきました。

「牛乳をそのまま飲むとお腹がゴロゴロするのに、シチューにすると平気なのはなぜですか?」

これ、かなり多くの人が一度は思ったことがあるんじゃないでしょうか。

冷たい牛乳をコップで飲むと、お腹がゴロゴロする。

でも、クリームシチュー、グラタン、ホワイトソース、ミルクスープみたいに料理に入っていると、意外と大丈夫。

「同じ牛乳なのに、なんで?」

「加熱すると何か変わるの?」

「自分のお腹が気まぐれなだけ?」

そう思うのも無理はありません。

酪農家として最初に言っておきたいのは、これは気のせいではないということです。

ちゃんと理由があります。

そしてもう一つ、大事なことがあります。

牛乳を飲んでお腹がゴロゴロするからといって、

「自分は牛乳と相性が悪いんだ」

「乳製品は全部やめた方がいいんだ」

と、すぐに決めつけなくても大丈夫です。

牛乳には、飲み方、食べ方、量、温度、組み合わせによって、体への感じ方が変わることがあります。

今日はその理由を、できるだけわかりやすくお話ししていきます。

お腹ゴロゴロの正体は「乳糖」

牛乳を飲んだあとにお腹がゴロゴロする原因として、よく知られているのが乳糖不耐です。

牛乳には「乳糖」という糖が含まれています。

英語ではラクトースとも呼ばれます。

この乳糖を体の中で分解するには、小腸で働くラクターゼという酵素が必要です。

赤ちゃんの頃は、母乳やミルクから栄養をとるために、このラクターゼがよく働きます。

ところが、大人になるにつれてラクターゼの働きが弱くなる人がいます。

すると、牛乳を飲んだときに乳糖をうまく分解しきれません。

分解されなかった乳糖は、小腸で吸収されずに大腸まで進みます。

そこで腸内細菌によって発酵され、ガスが出たり、水分が腸に引き込まれたりします。

その結果として、

お腹が張る。

ゴロゴロ鳴る。

ガスが出る。

下痢っぽくなる。

お腹が痛くなる。

こういった症状が出ることがあります。

ここで大事なのは、これは「牛乳が悪い」という話ではなく、体の中で乳糖を処理する力に個人差があるという話です。

同じ牛乳を飲んでも、平気な人もいれば、お腹が反応する人もいる。

これは自然なことです。

僕は冷たい牛乳でもわりとゴクゴク飲めるタイプですが、そうではない方もたくさんいます。

だから、牛乳が好きでも「飲み方を考える」ことは大事です。

では、なぜシチューだと平気なことがあるのか?

ここからが本題です。

牛乳をそのまま飲むとお腹がゴロゴロするのに、シチューだと平気。

その理由はいくつかあります。

一つ目は、一気に飲まないからです。

コップ一杯の牛乳は、飲もうと思えば数十秒で飲めます。

冷蔵庫から出した冷たい牛乳を、朝にゴクゴク。

これだと、乳糖が一気に体の中へ入ってきます。

ラクターゼの働きが弱めの人にとっては、これは少し負担になります。

一方で、シチューはどうでしょう。

熱々のシチューを、コップの牛乳みたいに一気飲みする人はあまりいません。

いたら、それはそれで口の中が大事件です。

シチューは、スプーンで少しずつ食べます。

しかも、牛乳だけではなく、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、肉、小麦粉、油脂など、いろいろな食材と一緒に食べます。

つまり、牛乳に含まれる乳糖が、体の中に一気に入るのではなく、少しずつ、ゆっくり入ってくるわけです。

これだけでも、お腹への負担はかなり変わります。

他の食材と一緒だと、腸への流れがゆっくりになる

二つ目の理由は、他の食材と一緒に食べることで、消化のスピードがゆっくりになることです。

シチューには、脂肪分やでんぷん、たんぱく質、食物繊維などが含まれています。

こうしたものがあると、胃から腸へ食べ物が移動するスピードがゆるやかになります。

すると、乳糖も一気に小腸へ流れ込むのではなく、少しずつ届きます。

ラクターゼの働きが少なめの人でも、乳糖がゆっくり来てくれれば、処理が間に合う場合があります。

イメージとしては、搾乳でも一緒です。

一気にドバッと来ると対応が大変ですが、順番に来てくれれば処理しやすい。

牛舎でも、仕事でも、腸の中でも、渋滞はよくありません。

牛乳を単独で飲むとお腹が反応しやすい人でも、料理に混ざっていると平気なことがあるのは、この「スピードの違い」が大きいです。

加熱すると乳糖はなくなるの?

ここで、よくある誤解があります。

「シチューは加熱しているから、乳糖がなくなるんですか?」

これは、少し注意が必要です。

結論から言うと、普通の料理で加熱したくらいでは、乳糖そのものはほとんどなくなりません。

つまり、シチューにしたから乳糖がゼロになるわけではありません。

ホワイトソースにしたから、乳糖が消えてなくなるわけでもありません。

では、なぜ平気になるのか。

それは、加熱そのものよりも、

温かい状態で食べる。

少量ずつ食べる。

他の食材と一緒に食べる。

胃腸への流れがゆっくりになる。

こうした条件が重なるからです。

冷たい牛乳をゴクゴク飲むのと、温かいシチューをゆっくり食べるのでは、体への入り方がまったく違います。

だから、同じ牛乳を使っていても、お腹の反応が変わることがあります。

ヨーグルトやチーズは平気な人がいる理由

牛乳は苦手だけど、ヨーグルトは大丈夫。

牛乳はお腹がゴロゴロするけど、チーズは平気。

こういう方もいます。

これにも理由があります。

ヨーグルトは、発酵の過程で乳酸菌が乳糖の一部を分解しています。

そのため、牛乳よりもお腹にやさしく感じる人がいます。

また、チーズ、とくに熟成タイプのチーズは、製造や熟成の過程で乳糖がかなり少なくなるものがあります。

もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。

ヨーグルトでもお腹が張る人はいますし、チーズでも体に合わない人はいます。

でも、ここで大事なのは、

牛乳がダメだから乳製品が全部ダメ、とは限らない

ということです。

牛乳、ヨーグルト、チーズ、バター、シチュー、グラタン。

同じ乳製品でも、体への感じ方は違います。

だから、自分に合う形を探すことが大切です。

酪農家として「無理して飲んで」とは言いません

ここは、酪農家としてきちんと伝えておきたいところです。

僕は牛乳をたくさん飲んでほしいです。

それは本音です。

でも、誰にでも

「無理してでも牛乳を飲んでください」

とは言いません。

体に合わない人もいます。

乳糖不耐の方もいます。

牛乳アレルギーの方もいます。

苦手な味やにおいがある方もいます。

そこを無視して、

「牛乳は体にいいんだから飲みなさい」

と言ってしまうと、かえって牛乳との距離が遠くなってしまうと思っています。

大事なのは、無理やり飲むことではありません。

自分の体に合う付き合い方を見つけることです。

冷たい牛乳が苦手なら、温めてみる。

一気に飲むとつらいなら、少量にしてみる。

空腹時がつらいなら、食事と一緒にしてみる。

牛乳がきついなら、ヨーグルトやチーズを試してみる。

料理に使う形で楽しんでみる。

牛乳との付き合い方は、一つではありません。

コップでゴクゴク飲むだけが、牛乳の楽しみ方ではないんです。

ただし、アレルギーとは分けて考えてください

ここで一つ、とても大事な注意点があります。

乳糖不耐と牛乳アレルギーは別物です。

乳糖不耐は、乳糖を分解しにくいことで起こる消化の問題です。

一方、牛乳アレルギーは、牛乳に含まれるたんぱく質に対して免疫が反応するものです。

もし牛乳や乳製品をとったあとに、

じんましんが出る。

かゆみが出る。

唇やのどが腫れる。

息苦しくなる。

強い腹痛や嘔吐がある。

少量でも毎回はっきり症状が出る。

こういった場合は、自己判断せず、医療機関に相談してください。

「お腹がゴロゴロするだけだから大丈夫」と決めつけるのは危険な場合もあります。

牛乳と安全に付き合うためには、ここはしっかり分けて考えてほしいです。

シチューは平気でも、食べすぎればゴロゴロすることもある

シチューなら平気な人が多い、とはいえ、食べすぎればお腹が反応することもあります。

シチューにも牛乳は入っています。

乳糖がゼロになったわけではありません。

少量なら大丈夫でも、たくさん食べると乳糖の量が増えます。

さらに、脂肪分や小麦粉も入っているので、人によっては胃腸が重く感じることもあります。

なので、お腹がゴロゴロしやすい方は、まずは少なめから試すのがおすすめです。

「自分はどのくらいなら大丈夫か」

これを知っておくと、牛乳や乳製品を怖がりすぎずに楽しめます。

これからの時期は、シチューの保存にも注意

もう一つ、酪農家というより食品を扱う立場として伝えておきたいことがあります。

シチューやカレーのような料理は、作ったあとそのまま鍋で放置しがちです。

「一回火を通しているから大丈夫」

と思ってしまう気持ち、わかります。

でも、特に気温が高くなる時期や梅雨時期は注意が必要です。

牛乳を使った料理は栄養が豊富です。

人間にとって栄養があるということは、細菌にとっても増えやすい環境になることがあります。

作ったシチューを翌日も食べる場合は、粗熱を取ったら早めに小分けして冷蔵庫へ。

食べるときはしっかり再加熱。

これは本当に大事です。

せっかくおいしいシチューを食べるなら、安全に食べてほしいです。

牛乳は「自分に合う形」で楽しめばいい

今回の質問に戻ります。

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするのに、シチューだと平気なのはなぜか。

理由をまとめると、

牛乳を一気に飲まないから。

他の食材と一緒に食べるから。

胃腸への流れがゆっくりになるから。

温かく、少量ずつ食べるから。

加熱で乳糖が消えるわけではないけれど、体への入り方が変わるから。

こういうことです。

牛乳が苦手な人にとって、これは少し安心できる話かもしれません。

牛乳をそのまま飲めないからといって、乳製品を全部あきらめなくてもいい。

シチューでもいい。

グラタンでもいい。

ヨーグルトでもいい。

チーズでもいい。

少量を料理に使う形でもいい。

牛乳との距離感は、人それぞれでいいと思います。

酪農家としては、牛乳を好きになってもらえたら嬉しいです。

でもそれ以上に、牛乳を「怖いもの」や「体に合わないから完全に避けるもの」と決めつけず、自分に合う形で付き合ってもらえたら嬉しいです。

牛乳は、ただ飲むだけのものではありません。

料理をまろやかにしたり、コクを出したり、家族の食卓を温かくしたりする力があります。

寒い日のシチューに入っている牛乳も、朝のコップ一杯の牛乳も、同じ牛からいただいた大切な恵みです。

お腹と相談しながら、無理なく、おいしく。

それが、いちばん長く続く牛乳との付き合い方なのかなと思います。

今日も牛乳を飲んでくれて、料理に使ってくれて、ありがとうございます。

情報|川上牧場🐮メンバーシップ|川上哲也

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