給食の牛乳を飲めなかった…体格への影響と“成長”の本当の話

2026-05-19 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

おはようございます。

川上牧場の川上です。

いよいよこの時期が来ました。

牛舎では換気扇をフルで回し、細霧装置もフル稼働。

牛の鳴き声も入り、発情している牛もいて、音声配信としてはかなり臨場感たっぷり。

言い方を変えると、聞きにくい配信が、なおさら聞きにくくなる季節です。笑

昨日は気温が31度。

今日も最高気温は29度予報。

人間も牛も、体がまだ暑さに慣れていない時期なので、こういう日は本当に注意が必要です。

牛も暑いと食いが落ちますし、人間も急にだるくなります。

そんな暑い朝に、今日も牛乳で乾杯しながら、リスナーさんからいただいた質問に答えていきたいと思います。

今回の質問はこちらです。

「学校給食で牛乳が出ていた頃、全く飲めませんでした。成長期に牛乳を飲めなかったことで、その後の体格などに影響があるのでしょうか?」

これ、かなり大事な質問だと思います。

たぶん同じように思っている方、多いんじゃないでしょうか。

子どもの頃、給食の牛乳が苦手だった。

匂いがダメだった。

冷たい牛乳を一気に飲むのがつらかった。

お腹がゴロゴロした。

でも周りは飲んでいたから、なんとなく「自分はダメだったのかな」と思ってしまう。

さらに大人になってから、身長や体格、骨の健康の話を聞くと、ふと不安になる。

「あの頃、牛乳を飲めなかったから、今の体格に影響したのかな」

「もっと飲んでいたら、背が伸びたのかな」

「子どもには無理してでも飲ませた方がいいのかな」

今日はこの問いに、酪農家として、そして栄養の話として、できるだけ冷静に答えていきます。

最初に結論から言います。

給食の牛乳を飲めなかったからといって、それだけで身長が伸びなかったり、体格が決まったりするわけではありません。

ここは、まず安心してほしいです。

人の身長や体格は、牛乳だけで決まるほど単純ではありません。

身長には遺伝の影響がかなり大きいです。

両親の体格だけでなく、祖父母や親戚を含めた家系の影響もあります。

兄弟でも身長が違うことがありますし、同じものを食べて育っても体格に差が出ることがあります。

これは当たり前の話で、人間の体はかなり複雑です。

ただし、遺伝だけですべて決まるわけでもありません。

成長期の栄養、睡眠、運動、病気、生活環境。

こうした要素も、子どもの成長には関わります。

その中で牛乳は、成長期にとってかなり効率のいい食品であることは間違いありません。

牛乳には、カルシウムだけでなく、たんぱく質、脂質、リン、ビタミンB群など、成長期に必要な栄養素がまとまって含まれています。

よく「牛乳=カルシウム」と思われがちですが、牛乳の強さはカルシウムだけではありません。

骨を作るにはカルシウムが必要です。

でも、体を作るにはたんぱく質も必要です。

筋肉も、内臓も、血液も、成長にはいろいろな栄養が関わります。

牛乳はその意味で、成長期の子どもにとって、かなりバランスの良い飲み物です。

だから学校給食で牛乳が出ていることには、ちゃんと意味があります。

戦後、日本人の平均身長は大きく伸びました。

それは牛乳だけの力ではありません。

肉、卵、魚、米、野菜、医療、衛生環境、生活水準の向上。

いろいろな要素が重なっています。

でも、その中で学校給食の牛乳が、子どもたちの栄養を底上げする役割を担ってきたことは大きいと思います。

特にカルシウムは、日本人の食生活で不足しやすい栄養素です。

家庭の食事だけでは十分に取れていない子どももいます。

経済的な事情で、家で十分な食事を取れない子もいます。

朝ごはんを食べずに学校へ行く子もいます。

そう考えると、給食で牛乳が出るというのは、単に「牛乳を飲ませたい」という話ではありません。

子どもたちの成長を、社会全体で最低限支える仕組みでもあります。

ここは、酪農家として強く伝えたいところです。

一方で、牛乳を飲めない子に「絶対に飲みなさい」と押しつけるのも違うと思っています。

昔は、給食を残してはいけないという雰囲気が強かったですよね。

僕の世代でもありました。

「作ってくれた人に申し訳ない」

「生産者さんの気持ちを考えなさい」

「全部食べるまで片付けられません」

こういう教育を受けた人も多いと思います。

もちろん、食べ物を大切にする気持ちは大事です。

それは本当に大事です。

でも、体に合わないものを無理やり飲ませることが正解かと言われると、僕はそうは思いません。

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がいます。

乳糖不耐症の可能性もあります。

アレルギーの人もいます。

匂いや味がどうしても苦手な子もいます。

そういう子に対して、ただ根性論で飲ませるのは違います。

牛乳を飲めないなら、別の形で栄養を取ればいい。

ヨーグルトなら大丈夫な子もいます。

チーズなら食べられる子もいます。

小魚、豆腐、納豆、青菜、卵、肉、魚など、他の食品から補う方法もあります。

大切なのは、牛乳を飲ませることそのものではなく、成長に必要な栄養をどう確保するかです。

ここを間違えてはいけないと思います。

では、子どもの頃に牛乳を飲めなかった大人は、どう考えればいいのでしょうか。

まず、自分を責める必要はありません。

「自分は給食の牛乳を残していたから、今こうなったんだ」

「もっと飲んでいればよかった」

そう思う必要はありません。

成長期の体格は、牛乳だけで決まるものではありません。

肉や魚を食べていたか。

卵や大豆製品を食べていたか。

睡眠は取れていたか。

運動していたか。

病気がなかったか。

家庭の食事環境はどうだったか。

いろいろな要素が重なって、今の体があります。

そして骨は、大人になったら終わりではありません。

骨は一度できたらそのまま放置されるものではなく、体の中で常に作り替えられています。

だから、大人になってからでも、骨や筋肉の健康のためにできることはあります。

カルシウムを意識する。

たんぱく質をしっかり取る。

ビタミンDを意識する。

日光を浴びる。

適度に運動する。

睡眠を整える。

こうした積み重ねは、大人になってからでも意味があります。

昔飲めなかった牛乳が、大人になったら飲めるようになったという人もいます。

味覚も変わりますし、食習慣も変わります。

無理にコップ一杯から始めなくてもいいです。

料理に使う。

カフェオレにする。

ヨーグルトを食べる。

チーズを少し足す。

シチューやスープに使う。

牛乳や乳製品との付き合い方は、もっと自由でいいと思います。

そして今、子どもが牛乳を飲めないことで悩んでいるお父さんお母さんに伝えたいことがあります。

牛乳はとても優秀な食品です。

でも、牛乳を飲めない子が悪いわけではありません。

大切なのは、叱って飲ませることではなく、理由を見てあげることです。

味が苦手なのか。

匂いが苦手なのか。

お腹が痛くなるのか。

冷たいものが苦手なのか。

給食の時間の雰囲気がつらいのか。

そこを見ずに「飲みなさい」だけだと、牛乳そのものが嫌な記憶になってしまいます。

これは、酪農家としてはとても悲しいです。

牛乳は本来、体を支える食べ物であり、楽しく味わってもらいたいものです。

苦しい思い出とセットになってほしくはありません。

だから僕は、無理に飲ませるより、まずはその子に合った形を探してほしいと思っています。

飲めるなら牛乳。

牛乳が苦手ならヨーグルト。

それも苦手ならチーズ。

乳製品が合わないなら、他の食品で補う。

そのうえで、牛乳を飲める子には、ぜひ毎日の習慣として続けてほしいです。

特に給食の牛乳は、子どもの成長を支える大事な役割を持っています。

最近は、「給食に牛乳は必要なのか」という議論もあります。

月に一回お茶に変えるとか、和食に牛乳は合わないとか、いろいろな意見があります。

もちろん、議論すること自体は大事です。

でも、そのときに忘れてはいけないのは、給食の牛乳は「好き嫌いの問題」だけではないということです。

家で十分に栄養を取れている子もいれば、そうでない子もいます。

朝ごはんを食べてくる子もいれば、食べられない子もいます。

家庭によって、栄養の差はどうしても出ます。

給食の牛乳は、その差を少しでも埋める役割を持っています。

牛乳を飲まなかった子が、必ず将来困るわけではありません。

でも、社会全体として見ると、給食で牛乳があることによって救われている栄養がある。

ここは、もう少し丁寧に考えてもいいのではないかと思います。

今日の話をまとめます。

牛乳は、成長期にとって非常に優秀な栄養源です。

でも、牛乳を飲めなかったからといって、その人生が失敗だったわけではありません。

身長や体格は、遺伝、栄養、睡眠、運動、生活環境など、いろいろな要素で決まります。

子どもが牛乳を飲めないなら、無理に責めるのではなく、その子に合った栄養の取り方を考える。

大人になってから不安になったなら、今から骨と筋肉を守る生活を始めればいい。

そして、飲める人は、ぜひ牛乳を日々の習慣にしてほしいです。

暑い日は水分補給にもなりますし、たんぱく質やカルシウムも取れます。

朝の一杯でもいい。

お風呂上がりでもいい。

料理に使ってもいい。

牛乳は、ただ背を伸ばすためだけの飲み物ではありません。

子どもの成長を支え、

大人の体を支え、

地域の酪農を支え、

食卓と牧場をつなぐ飲み物です。

給食の牛乳を飲めなかった人も、どうか自分を責めないでください。

そして、今もし牛乳を飲めるなら、今日からまた少しずつ付き合ってもらえたら嬉しいです。

牛乳は、昔の自分を責めるためのものではなく、これからの体を支えるためのものです。

今日も牛乳を飲んでくれて、ありがとうございます。

情報|川上牧場🐮メンバーシップ|川上哲也

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