川上牧場研修【繁殖周期とそれに伴う繁殖数字の見方】

2021-07-30 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

今回は、繁殖周期と繁殖数字の見方をテーマに、川上さんと研修生が繁殖成績の「捉え方」を掘り下げました。分娩間隔も発情発見率も、農場ごとの前提を抜きにしては比べられない、というのが一貫したメッセージです。

この回の要点

  • 分娩間隔・発情発見率・受胎率などの数字は、VWPや乾乳日数の設定しだいで意味が変わる
  • 同じ管理でもVWPの取り方で発情発見率が5割にも100%にもなり、単純比較はできない
  • 農場間で比べるなら、305日計算のように前提がそろう牛群検定の数字を使うのがよい
  • 数字の良し悪しは、その牧場の経営戦略に合っているかで判断する自己評価に近い
  • 比べるなら数字の規模より、地域・規模・獣医・受精方法・餌など環境が近い相手が参考になる

配信の全文(podyの記事より)

搾乳前の休憩に録る、この配信のスタイル

この配信は、川上牧場の川上さんが研修生に酪農を教えるようすを、音声として残しているものです。搾乳前の休憩に、いつもやっている研修生への受け答えをそのまま録音しています。

今回は7月最終日の回で、テーマは繁殖の勉強。これまで学んできた人工授精のテキストの後ろに載っている、牛群検定成績表や育種価の見方といった内容の続きにあたります。

川上 7月も30日で、今日で一番最終日ですね。繁殖のお勉強。

川上さんが今回いちばん気にしているのは、分娩間隔や初回授精日数、VWP、受胎率、妊娠率といった繁殖の数字の「捉え方」です。これらは本当は各農場で全然違う、という点から話が始まります。

これって本当は各農場で全然違って、それを踏まえておかないと話が全然噛み合わない。 ── 川上

川上さんは、前提をそろえないと数字の話は噛み合わないという問題意識をこの回の軸に置いています。自分自身も理解できていないことになってしまうので、改めて勉強しようという流れです。

発情発見率って、どう計算するの?

最初のテーマは発情発見率です。川上さんはインターネットで「分娩間隔」「実空胎日数」などを検索し、丹波屋さんの解説ページを研修生に見せながら説明していきます。

発情発見率 発情が起きたうち、どれだけ人が気づいて授精できたかを示す割合です。見逃しが多いほど低くなります。牛群検定のデータから、農場のおよその値を計算できます。

紹介されている計算式は、平均受精回数を、平均実空胎日数を21で割って1を足した数で割り、100をかけるというものです。実空胎日数は、初回授精から最終授精までの日数を指します。

川上 空胎日数の135から、分娩後に初回した70.7を引いた数字が実空胎日数となります。

この例だと、初回授精が分娩後70.7日、空胎日数が135.6日なので、実空胎日数は64.9日になります。受精回数が2.19であれば、発情発見率は約53.5%と計算されます。

つまり牛群検定を行っていれば、初回授精日、空胎日数、受精回数がわかるので、牛群のおよその発情発見率が計算できる、というわけです。

VWP(任意待機期間)で計算式が変わってしまう

ここで重要になるのが、VWPという数字です。分娩してから初回の授精を何日目に開始するかを決めた期間で、この間に発情が起きても種付けをしません。

VWP(任意待機期間) Voluntary Waiting Periodの略で、分娩後に授精を始めない待機期間のこと。この間に発情があっても意図的に種付けを見送ります。農場ごとに設定日数が異なります。

一般的な牛群検定の標準では、VWPは初産が80日、2産以降が60日と言われています。ただ、この日数を農場が変えると、計算式そのものが変わってしまいます。

川上 発見した回数を数えるのか、種付けした回数を数えるのかで、また農場ごとにブレてきちゃう。

川上さんは、「うちは一回で何でもつく」という言い方も難しいと指摘します。その一回が、どれだけの発情を見逃したうえでの一回なのかがわからないと、正しく比べられないからです。

川上 うちは一回で何でもつくよっていうけど、その一回はどれだけの発情を見逃しての一回だろう。

育成牛の例で見る「発情発見率5割と100%」

次に川上さんは、AI士のテキスト423ページにある繁殖周期の図を使って、発情発見率の見え方を具体的に説明します。家畜改良事業団が作った資料です。

牛は生まれてから約12か月で初回発情が起こります。ただ、体高やフレームができていないと考える農家さんは、ここで種付けをせず、13〜16か月ごろに初回授精を行います。

川上 13か月にならないと、体高やフレームができてなかったりすると思ってる農家さんはそこで種付けしないので外します。

この場合、2回のうち1回目に種付けしていることになるので、発情発見率は50%と計算されます。一方、13〜14か月でVWPを取り、そこで来た発情に毎回種付けしていれば、同じ牛でも発情発見率は100%になります。

これ本当だから発情発見率は、2回のうち1回目に種付けしてるので50パーセントになるわけです、本来ならば。 ── 川上

同じ管理をしていても、VWPの取り方次第で数字は5割にも100%にもなるというのが、この例で川上さんが伝えたい核心です。

分娩間隔は、つける種でも変わってくる

話は分娩間隔に移ります。早期受胎確認をしたあと、妊娠期間はホルスタインで280日、F1や和牛で285日とされています。つまり、何をつけるかで分娩間隔が変わってきます。

F1 乳牛の母牛に和牛(黒毛和種など)の種をつけて生ませた交雑牛のこと。畜産部の収入源になりやすく、分娩前の妊娠期間が乳牛より少し長めになります。

川上さんは、和牛やF1しかつけない農家さんの例を挙げます。その場合はすでに妊娠期間が5日長くなっているので、「あなたのとこ長いですね」という評価はおかしい、という話です。

川上 もうその時点で5日短くなってるわけなんで、あなたのとこ長いですねっていう評価はちょっとおかしいな。

さらに、分娩前60日が乾乳期間、分娩前21日が乾乳後期にあたります。この乾乳期や分娩日が決まると、搾乳日数も決まってくる、という流れが図で示されています。

乾乳日数の違いと「305日計算」

川上さんが強調するのは、乾乳期の日数も農場でバラバラだという点です。川上牧場のように乾乳期を30日にしていると、そこでまた日数が減ります。60日、45日、30日と、農場ごとに前提が違います。

川上 うちは60日でやってます、30日やってますの時点で、もう話が変わってくる。

ただし、牛群検定に入っていると、その数字が統一されます。ここで出てくるのが「305日計算」です。1年である365日から搾乳日数を引いた305日を、1乳期の計算に使います。

305日計算 1年365日から乾乳などの期間を引いた305日を、1頭の1乳期の生産成績とみなす計算方法です。管理が農場ごとに違っても、共通の物差しで比較できるようにするためのものです。

川上 一年の365日から搬入期間を引いた305日が、一般的な一乳期の計算方法に使われる数字ですね。

つまりどんな管理をしていても、305日計算の枠の中では横並びで評価されるため、農場間の比較には牛群検定の数字を使うのがよい、というのが川上さんの考えです。

育成が早いと分娩間隔は長く見える、という落とし穴

牛群検定の繁殖成績には、事故対応などの事情が反映されないという問題もあります。分娩時に事故があって意図的にVWPを延ばしても、検定上は「分娩間隔が長い牛」として出てしまいます。

川上 この牛なんか分娩間隔が長いから発情ちゃんと見てくださいよみたいなこと言われるんだけど、いや、これ分娩の時に事故があったんで、という話。

川上牧場は、初産の分娩を21か月で行います。多くの農家さんが23〜26か月なので、川上牧場は5か月早い計算です。5か月×30日で150日、他より早く回っていることになります。

そのため、川上牧場の初産の分娩間隔は443日と長く見えますが、これは育成段階で21か月と早く分娩しているためです。数字だけを見て「長い」と判断するのは危ういという実例です。

川上 443、すごく長えじゃんって思われるんだけど、育成のところで21か月で分娩してるんで。

受胎率や妊娠率の良し悪しは、自己評価に近い

川上さんは、受胎率や妊娠率が「いいですね」という比較はあまり意味がないと言います。各農場で繁殖方法が違うため、他所と単純に比べられないからです。

受胎率いいですねとか妊娠率いいですねっていうのはあんまり話にならなくて、自己評価なんだよ、これって。 ── 川上

比較するとしても、自分の農場で去年より受胎率や妊娠率がよくなったか、という話し合いが中心になります。他所と比べるなら、前提の数字をしっかりそろえる必要があります。

さらに、最適な分娩間隔も農場によって違います。個体乳量が多い農場なら、分娩間隔が少し伸びても経営的には問題ありません。

川上 個体乳量が多いところなんで、分娩間隔ちょっと伸びてもね、経営的には問題ない。

一方、乳持続性がない牧場では、分娩間隔を延ばすほど乳量が落ち込み、高乳量の牛と低乳量の牛の差が大きくなって管理しにくくなります。だからこそ、自分に最適な分娩間隔を知ることが大事だと話します。

個体乳量が高い農場と低い農場での分娩間隔の考え方

高乳量の農場

分娩間隔が少し伸びても乳量に余裕があり、経営的な問題は出にくい

VS

乳持続性が低い農場

分娩間隔を延ばすほど乳量が落ち、牛ごとの差が広がって管理しにくくなる

家畜改良事業団の目標は380〜420日ほどとされますが、川上さんは、それは目標であって自分の農場の最適な分娩間隔とは違う、と念を押します。

研修生が引っかかった「数字より前にある言葉」

ここからは研修生が、数字の捉え方について自分の考えを語ります。分娩間隔などの数字はまとまって出るけれど、その裏にある「なぜこうしているか」という言葉が残っていないのが気になる、という話です。

研修生 その数字の捉え方っていくらでもできる気がするので、自分的に乳量高いから、こうしてるとか。

研修生は、牧場として人を雇っていてもいなくても、数字の前に「こういう考えでこうしている」という言葉が絶対にいる、と続けます。言葉がないと、数字を奥行きをもって見られないからです。

研修生 そのどの感覚で今高齢で、なんで分娩間隔もっと短くできへんねんとか、そこの部分を言葉でまとめとってもらえると、数字を奥行きありながら見れる。

川上さんは、これに年間分娩頭数という数字で応じます。分娩間隔が短いほど分娩頭数は増え、産まれる頭数が増えるので、乳量が少なくても売上自体は上がる、という視点です。

川上 分娩間隔が短ければ短くなるほど分娩頭数は多くなりますよ。乳量は少なかったとしても。

つまり「何キロ出てる?」という乳量だけで見られがちだけれど、どういう経営戦略なのかというところが大事だ、というわけです。

和牛ETと発情発見率の「数字が下がっても問題ない」ケース

川上さんは、和牛ETの例で数字の見方を補足します。畜産部の収入を上げるため和牛のETをする際、川上牧場は採卵に合わせて発情を同期させます。

和牛ET ETは受精卵移植のこと。乳牛に和牛の受精卵を移植して和牛の子牛を産ませ、子牛販売収入を得る方法です。移植のタイミングを合わせるためホルモン処置で発情を同期させることがあります。

本来21日周期で来る発情を、ホルモン処置で30日ほどに合わせて動かすため、計算上は発情発見率が下がってしまいます。ただ、それで繁殖成績や売上が悪くなるかというと、そうとは限りません。

川上 計算上だと発情があるところを伸ばしてるから、発情発見率の低下につながる。でもそれって繁殖成績が悪くなるか、売り上げが悪くなるかっていうと、うん、っていうところがあって。

研修生は、戦略があって下がっているならいい、戦略がないのに下がっているのはおかしいという点で整理します。数字の良し悪しは、その牧場がやろうとしていることに合っているかどうかで判断すべきだ、という話です。

研修生 本人というか、その牧場の今やろうとしてることに対して合ってるかどうか。思ってないのに下がり続けてたらおかしいし。

「打席に立つ回数」で見る受胎率と受精回数

受胎率や受精回数についても、川上牧場は前提が違います。VWPが短く30日ほどで始めるため、種付けの「打席に立つ回数」が多くなるからです。

川上 VWPが短いから、うちは30日とかでVWPやるから、打席に立つ回数が多いわけですよ。

川上さんは野球にたとえます。普通の農家さんが平均3回ほどで種付けが決まるところ、同じ期間にうちは5回打つので、打率は低くなるけれどチャンスは5回ある、というわけです。

川上 その3回の期間のうち、うちは5回打つようにするから、打率が低くなるんだけど、チャンスは5回あるっていう。

さらに、受精師さんに依頼しているのか自分で自家受精するのかでも話が変わります。受精師さんが1時間かけて来る地域もあり、そうした条件も繁殖のやり方を左右します。

研修生 物理的に遠いからあんまりとか、それもあるかもしれないし。

研修生は、流行っているからそのやり方をする、というのは現実的でないと言います。地域や付き合いといった前提が違うのに、他所のやり方をそのまま真似できないからです。

一人でやれるのか?新規就農をめぐる不安

話は、若い人の新規就農へと広がります。研修生は、繁殖管理を学べば学ぶほど、これを一人で全部やるのは厳しいと感じる、と率直に語ります。

研修生 繁殖管理も一人でできねえ。反旗を翻してるわけじゃないですけど、一人でやるの厳しいよなって思っちゃうんですよね。

研修生が特に重視するのは、牛に直接関わらないように見えて実は関わる、外部との付き合いです。餌の配送ひとつとっても、まとめてドンと持ってこられても置く場所がない、といった現実があります。

研修生 切られへん人たちというか、付き合うことになる人たちのことを計算しとかないと、絶対狂ってくる。

だからこそ、研修生は理想から入るのではなく、現物を見てから決めるほうがいいと考えています。理想を作り込むほど、それに合う土地が極端に少なくなってしまうからです。

研修生 現物見てから、せざるを得ないんじゃないかなとはやっぱり思ってしまう。

研修生は、明日持っていくという言葉を鵜呑みにしないとも言います。台風や事故で遅れる可能性は普通にあり、そこまで織り込んでおかないと1年、3年と続かないのではないか、という懸念です。

研修生 一週間って言われたら一ヶ月かかんねんなみたいな、それぐらいの気持ちがやっぱりいる。

川上さんは、それでも酪農は計算が立ちやすい産業だと応じます。全量出荷・全量買い取りのため、分娩頭数が決まれば年間の売上が決まり、餌代までまとめて計算できるからです。

川上 分娩頭数が決まってくると年間の売り上げが決まってきて、餌代がどれだけかかってみたいなのを全部計算することができる。

若い牛が多い川上牧場の平均産次

続いて、平均産次や経産牛の平均年齢の見方に話が移ります。川上牧場はどんどん種付けして回すスタイルなので、若い牛ばかりになるのが特徴です。

川上 どんどん繁殖でこう追い込んで、どんどん種付けするっていうスタイルだから、若い牛ばっかりだっていう話。

川上牧場の平均産次は2〜3、経産牛の平均年齢は3歳8か月ほどです。普通なら平均産次に比べて年齢が高くなるところ、川上牧場は産次のわりに若いのが特徴だ、と川上さんは説明します。

だからこそ「あなたの農場は何産が多いですか」「平均産次は」という問いも、川上牧場では捉え方が変わってきます。ここでも、数字の背景を知らないと比べられない、という話に戻ります。

川上 だからあなたの農場って何産が多いですか?とか、平均産次なんぼですか?っていう話をよくするんだけど、それもまた僕のところでは捉え方が違ってくる。

比べるなら「数字」より「環境」が近い相手

研修生は、比較の仕方について面白い提案をします。数字が近いから真似する、というマッチングは危険で、むしろ環境が近い相手のほうが盗めるところが多い、という視点です。

研修生 置かれてる数字的環境よりも、置かれてる環境の方がマッチング率がいい。

研修生が挙げるのは、地域や規模、獣医さん、自家受精か外注か、餌を自分で作るかどうかといった条件です。ほぼ同じやり方なのに数字が違えば、そこにこそ真似できるヒントがある、というわけです。

研修生 ほぼ同じやり方やのに、なんでこんなに数字違うの?っていうのが、もっと自分の理想に近づくマッチングに思う。

一方、乳量の規模だけで小規模・中規模・大規模と分けて平均を真似る、という見方はリアルではないと研修生は言います。北海道から牛を買う人と自家育成の人では、そもそも意味が違うからです。

繁殖の数字を比べるときの2つの見方

数字での比較

乳量規模などの数字が近い農場を真似る。前提が違うと意味がずれやすく危険

VS

環境での比較

地域・規模・獣医・受精方法・餌が近い農場を見る。同じ条件なので真似しやすい

「分娩間隔は何日」で教わることの怖さ

川上さんは、教科書から入る学び方の危うさに触れます。農業大学校などで「分娩間隔は何日」と教わってから就農する子が増えているからです。

川上 分娩間隔は何日だよって言われてから農業に飛び込む子が多くなってる。

研修生は、実際の牛の状態を見て話しているわけではない、という前提が抜け落ちてしまう点を怖いと言います。数字が正しいのは、あくまでその状況の牧場だったら、という条件つきだからです。

研修生 正しいんやけど、その状況の牧場だったらねというか。

そのため、少し規模が小さくて設備が古い牧場が牛群検定を見て「これじゃダメだ」と落ち込んでしまうのは違う、と研修生は指摘します。そういう見方は、たいてい教えてもらっていないからです。

研修生 ちょっとボロボロっちい感じのところでやってる牧場の方が、牛群検定見た時に、あ、これじゃダメみたいなことになっちゃうと、違うちゃうかなと思う。

テストでは「目標値は何日から何日ですか」に対して、その部分がちゃんとできていればこうでもいいと答えるとバツになってしまう、という話も出ます。川上さんは、そうじゃないよと伝えていきたいと語ります。

僕はそうじゃないよという。ここの部分がちゃんとやってたらこうでもいいんですよって、そうやって伝えようかなと思ってます。 ── 川上

若い世代と現場のあいだにある「数字の見方の差」

研修生は、数字の前提が変わると答えも変わることを、今回学んだVWPを例に確認します。一つでも要素が変われば答えは変わるので、計算できない部分まで計算しておく必要がある、という話です。

研修生 本当に数字が変わったら答え変わるわけだから、一つでも要素が変わったら答え変わってくるし、ずれていく。

さらに研修生は、理想値だけで頭数を決める議論の限界にも触れます。回るという計算だけなら5頭でも2頭でも成り立つことになってしまい、それは現実的ではない、という指摘です。

研修生 別に5頭でも2頭でも経営が回るっていう計算なんですよっていうことになっちゃ、それは違うやん。難しいやん。

研修生が願うのは、若い世代と現場が対立せず、いい意味で変わっていくことです。触れたら壊れる部分は残しつつ、みんなが手をつけなかったところだけをうまく直せれば、お互いプラスになるという考えです。

研修生 そこの概念だったり、みんな触ってなかった部分もあると思うので、そこら辺のバランス、そこだけ修正したら、全然お互いそのやり方あったんや、めっちゃええやんとなるかもしれへん。

研修生は、若い世代と現場が互いを「アホや」「古くて効率が悪い」と切り捨て合う構図が、業界全体では大きく見えてしまうと懸念します。だからこそ、数字の見方の差は大きいと感じたと締めくくります。

研修生 特に数字の見方の差はすごいデカいかなと思った。

今月押さえた「繁殖が命」というまとめ

最後に川上さんは、酪農経営における繁殖の位置づけをはっきり示します。繁殖しないと何も始まらないので、繁殖が命であり、一番重要なところだ、という言葉で今回の学びを締めます。

繁殖は本当に酪農経営において命なので、繁殖しないと何も始まらない。一番重要なところ。 ── 川上

この回で川上さんが一貫して伝えたのは、繁殖の数字は農場ごとに前提が違うということです。だからこそ一つの数字だけで良し悪しを判断せず、関わる数字と背景をあわせて見る姿勢が大切になります。

まとめ

今回は、繁殖周期と繁殖数字の見方をテーマに、川上さんと研修生が繁殖成績の「捉え方」を掘り下げました。分娩間隔も発情発見率も、農場ごとの前提を抜きにしては比べられない、というのが一貫したメッセージです。

  • 分娩間隔・発情発見率・受胎率などの数字は、VWPや乾乳日数の設定しだいで意味が変わる
  • 同じ管理でもVWPの取り方で発情発見率が5割にも100%にもなり、単純比較はできない
  • 農場間で比べるなら、305日計算のように前提がそろう牛群検定の数字を使うのがよい
  • 数字の良し悪しは、その牧場の経営戦略に合っているかで判断する自己評価に近い
  • 比べるなら数字の規模より、地域・規模・獣医・受精方法・餌など環境が近い相手が参考になる