酪農の未来を救うのは小学生!?衝撃のプレゼン内容とは

2025-03-04 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

小学生が酪農を真剣に考えるプレゼントいう素敵なニュースを紹介しつつ、その伝え方に酪農家として感じた違和感を正直に語った回でした。学びの価値は認めながらも、子どもの不安を煽らない未来を作りたい、という思いが伝わってきます。

この回の要点

  • 岡山の小学生がICTを使い、酪農の担い手不足の解決策をプレゼンした
  • 川上さんは「自分で調べて発表する学び」自体は高く評価している
  • 一方で「輸入が多い」「赤字が多い」という一面的な認識には疑問を示した
  • 子どもの不安を煽って消費につなげる伝え方には、はっきり違和感を表明
  • 川上牧場は学校向けのオンライン授業や牧場体験の受け入れを呼びかけている

配信の全文(podyの記事より)

雨と寒さと分娩予定、川上牧場の一日

配信は毎朝7時。今回もまずは牧場の近況からスタートします。

この日はあいにくの雨。前日の朝は台風かと思うほどの大雨と強風だったそうです。

川上 昨日の朝はすごい大雨で、台風なんじゃねえかぐらい風も雨もすごかったですけども、昼間はそんなに降ってなくて。

雨が続くと、堆肥を圃場に持っていけないという悩みが出てきます。田んぼの作業が始まる月後半までに入れたいものの、乾くのを待つしかない状況です。

さらにこの日は全国的に急な冷え込み。関東でも雪の警報が出ているとのことでした。

川上 皆さんまだ春じゃなかったっていうことなんで、もうちょっともうちょっとですね。

この日の仕事は、籾殻を取りに行き、お昼に営業マンの対応。今週は会議もいくつか控えているそうです。

そして分娩予定の牛さんもいるため、その様子も見つつ過ごす一日だと話されていました。

乳製品メーカー社長も感銘、小学生のICTプレゼン

ここからが今回のメインテーマ。岡山のウェブニュースの紹介です。

記事は「乳製品メーカー社長も感銘。農業酪農の担い手不足解消方法について小学生がICT活用しプレゼン」というもの。

ICT 情報通信技術のこと。パソコンやタブレット、インターネットを使って情報をやり取り・活用する仕組みを指します。教育現場では調べ学習や発表に活用されています。

岡山市の浦安小学校で行われた授業で、探究的な学びを支援しようと、ベネッセコーポレーションとオハヨー乳業が学校と連携して初めて実施したものです。

テーマは「農業や酪農の担い手不足解消のために私たちができること」。5年生32人がタブレットを使い、グループに分かれて解決策をプレゼンしました。

発表では、岡山県産のマスカットと桃を使ったフルーツ牛乳のアイデアも。地産地消になり、牛乳が苦手な人でもおいしく栄養が取れる、という工夫でした。

小学生の酪農プレゼン授業の流れ

連携

ベネッセとオハヨー乳業が学校と組んで実施

↓

学び

5年生32人がタブレットで担い手不足を調査

↓

発表

グループごとに解決策をプレゼン

↓

反響

オハヨー乳業の社長が感銘を受けたとコメント

「私たちの世代で何とかしないと」児童の感想への戸惑い

川上さんがこの記事でいちばん衝撃を受けたのが、児童の感想でした。

川上 日本はお金持ちで大丈夫だと思っていたが、勉強したら輸入が多く、酪農家には赤字が多い。私たちの世代で何とかしないと日本はいけないと思った。

もう一人、男の子の感想も紹介されています。

川上 いつもは牛乳に生産者の思いが詰まっていることを考えていなかったが、今は生産者の思いを考えて最後まで飲むようにしている。

これらの感想を聞いたオハヨー乳業の藤本社長は、次のようにコメントしています。

川上 岡山の酪農のことを子供たちが真剣に考えてくれていることに感銘を受けた。

自分で調べて発表するという学び自体を、川上さんは高く評価しています。

川上 子供たちがいろいろ調べて、自分で思って、それを次の意欲的に勉強できる、考えるきっかけとしてはすごい良い学びになるんじゃないかな。

ただ、そのうえで気になる点もある、と話が続きます。

「輸入が多い」「赤字が多い」は本当に悪いこと?

川上さんが引っかかったのは、児童の「輸入が多く、酪農家には赤字が多い」という認識の部分です。

川上 勉強したら輸入が多く、酪農家には赤字が多いっていうところの認識とかって、誰か教えてあげてほしいなと思います。

輸入が多いということは、日本の需要がそれだけしっかりしている証でもある、という見方を示します。

貿易赤字を問題視する声もあるけれど、赤字は「それだけたくさん買えている」ということ。それは国にとってすごいことだ、という立場です。

酪農家の赤字についても、それは「今のこの時だけ」だと話します。

川上 めちゃくちゃいい時代もありましたし、僕の世代の、おじいさんとか60年ぐらい前はもう腹巻きの中に現金の札は何枚も入れてたみたいな時代もあった。

牛1頭売れば子どもを大学に行かせられる、そんな時代もあったといいます。

一つの記事や現在の状況だけを切り取ると、酪農の見え方は大きく変わってしまう、という指摘です。

不安を煽って牛乳を飲ませる、その伝え方への疑問

川上さんがこの回で最も強く伝えたかったのが、伝え方への違和感です。

川上 子供たちの不安を煽って、追い詰めてる感じがして。それで牛乳飲んでもらうみたいなのに繋げるっていうのはちょっとやべえんじゃねえかな。

感謝の気持ちや、食べ物を粗末にしないことは大事。でも、みんながそこまで考えなくてもいい世の中のほうが幸せではないか、と問いかけます。

何も考えなくても、いつでも牛乳が飲める、お腹いっぱい乳製品が食べられる世の中を作るのが大人の責務じゃないでしょうか。 ── 川上

大変だから助けてほしい、という酪農家の気持ちは分かる。それでも、子どもに向けて不安を煽る形にはしたくない、という思いです。

川上 不安を煽ると消費行動増えますからね。小学生相手だろうと関係なくって、そうやって見られたら嫌です。

リスナーからは「悩んでしまったら行動に結びつかず病みそう」といったコメントも届きました。

川上さんも、1つのニュース記事だけで現場のすべてを判断はできないと前置きしつつ、この感想を取り上げて報道することには危機感を覚えると話します。

子供たちにそういう思いさせたくないなっていうのが、本当にそういうことを思ってしまいますね。 ── 川上

島根の牧場から、学校へのオンライン授業の呼びかけ

批判だけで終わらないのがこの回のいいところ。川上さんは前向きな提案も投げかけます。

自分で調べて発表する、インプットとアウトプットを小学生からできるのは素晴らしいこと。だからこそ、実際に現場に行ってみてほしい、と話します。

川上 岡山から島根県、遠いところもありますけれども、夏休みとか長期休みの時に来てもらってお話できたらいいなと思いますね。

川上牧場では、牧場と学校の教室をオンラインでつなぐ授業もできるそうです。

聞いている学校関係者や保護者に向けて、酪農家とオンラインでつないでみませんかと呼びかけていました。

YouTubeでも配信スタート、明日は高校生も登場

最後にお知らせがいくつか。まず、このポッドキャストがYouTubeでも聞けるようになったそうです。

これまでのSpotifyやApple Podcast、stand.fm、Spoonに加えて、「牛乳のむ?牧場配信」と検索すると出てくるとのこと。

YouTube Musicならバックグラウンド再生もできて、手軽に聞けるようになったそうです。チャンネル登録数も一気に増えたと話されていました。

そして翌日からは、研修に来る高校生と一緒に配信する予定とのこと。「高校生頑張ってね」というコメントを楽しみにしている、と締めくくりました。

まとめ

小学生が酪農を真剣に考えるプレゼントいう素敵なニュースを紹介しつつ、その伝え方に酪農家として感じた違和感を正直に語った回でした。学びの価値は認めながらも、子どもの不安を煽らない未来を作りたい、という思いが伝わってきます。

  • 岡山の小学生がICTを使い、酪農の担い手不足の解決策をプレゼンした
  • 川上さんは「自分で調べて発表する学び」自体は高く評価している
  • 一方で「輸入が多い」「赤字が多い」という一面的な認識には疑問を示した
  • 子どもの不安を煽って消費につなげる伝え方には、はっきり違和感を表明
  • 川上牧場は学校向けのオンライン授業や牧場体験の受け入れを呼びかけている