川上牧場研修 #39【疾病管理(消化器症・起立不能)】

2025-05-17 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

こんにちは、川上牧場の川上です。

普段は研修生の質問に答える形で音声を録音し、研修の記録として残していますが、今回は消化器症と起立不能をテーマに、特に学びのある視点を意識してまとめました。研修生だけでなく、これから酪農に関心のある方にも読んでもらえると嬉しいです。

■ 消化器症の理解と対応

第四胃変位(DA)とは何か?

第四胃変位とは、牛の第四胃が正常な位置からズレる病気です。これは特に分娩直後の牛に多く見られ、移動や環境変化、過肥、サイレージの品質、乾乳管理の不足などが発症の引き金になります。

原因と予防

・移動ストレス:分娩予定の20日前または直前に移動することで、採食低下を防げます。

・過肥:太った牛は飼料摂取量が落ちやすく、ルーメン環境も不安定になるため注意が必要です。

・乾乳期管理:乾乳前期の適切な管理と、後期でのストレス軽減が重要。

・飼料設計:粗飼料70%、濃厚飼料30%のバランスが理想ですが、実際にはルーメンの状態に応じて柔軟な対応が必要です。

観察のポイント

・採食量の急変

・反芻の有無(70%以上の牛が半数しているか)

・排泄物の状態(軟便、泡立ちなど)

・乳成分(PF比=乳タンパク÷乳脂肪比)

■ ルーメンアシドーシスとは

ルーメン内のpHが低下しすぎることで発生する消化器病です。濃厚飼料の過給や、粗飼料不足による唾液の減少が主な原因です。

防止法

・粗飼料をしっかり給与

・濃厚飼料は段階的に増やす

・反芻と休息を重視する飼養環境

■ 起立不能について

主な原因

・乳熱(低カルシウム血症):分娩後48時間以内に多発。筋力低下、食欲不振、昏睡状態に進行することも。

・その他の事故・外傷:乗駕事故や骨折、起立失敗なども含まれます。

乳熱の予防法

・カルシウム添加:分娩前48時間以内に補給する。経口投与や皮下点滴など、方法は様々。

・ビタミンDの活用:カルシウム吸収を助ける。

・D-CADコントロール:ミネラルバランスを意識し、骨からのカルシウム動員を促進。

観察ポイント

・耳が冷たい

・漏乳(自発的に乳が漏れる)

・反芻がない、採食しない

・歩行異常や立ち上がれない

■ 日々の観察と管理が全ての鍵

疾病の多くは、日々の小さな変化の見逃しから深刻化します。

「いつもと違う」と思った時の早期対応が最も重要です。

研修生にも常に伝えているのは、「観察は最大の予防」であるということ。

■ 最後に

今日の内容が、酪農に関わる皆さんの学びになれば嬉しいです。

質問やリクエストはSNSのコメントやDM、質問箱までお気軽に。

これからも本業に支障が出ない範囲で情報発信を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

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