R7年研修生と配信③

2025-08-17 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

https://open.spotify.com/episode/4rZIt1rDziZukhNy3CHYVC?si=cadyi4txTtmoa2mT-M2i6w

R7年研修生と配信③

はい、おはようございます。

本日の記事は、8月15日に収録した配信の内容をもとにお届けします。

今回は、7月から川上牧場で研修を始めたばかりの研修生さんとの会話を中心に、酪農のリアルな現場、特に牛乳の冷却・流通システム、そして乳製品の仕組みについて深掘りしていきます。

酪農業に関わる人、これから関わろうと思っている人、そして

「牛乳ってどこからどう届いてるの?」と疑問に思ったことのあるすべての人に向けた内容です。

1. 牛乳の「冷たさ」はどこで守られてる?バルククーラーの役割

まず研修生さんが疑問に思ったのが、「バルククーラーって何ですか?」という質問でした。

牛乳は搾った後、牧場に設置されているバルククーラーという大型の冷却・貯蔵タンクに貯められます。この設備の最大の役割は、

「出荷するまでに牛乳の温度を10℃以下に保つこと」。これは牛乳の品質を守るために非常に重要で、日本ではこの冷却・流通の仕組みをコールドチェーンと呼び、かなり高い水準で管理されています。

ちなみにこのバルククーラー、電気が止まると牛乳が一気に廃棄対象になってしまうため、停電時は非常に大きなリスクに。北海道で起きた大規模停電の後、発電機を導入する酪農家が増えたという話もあります。

2. 牛乳は毎日収集される。だけど一軒一軒は“ブランド”じゃない

研修生さんがイメージしていたのは

「川上牧場で搾った牛乳が、そのまま川上牛乳として店頭に並ぶ」というものでした。しかし実際には違います。

牛乳の流通は地域単位の集荷によって行われています。出雲市内だけでも26軒の酪農家が存在し、それぞれの牛乳が一台のタンクローリーで集荷され、同じタンク内で混ざります。そして、乳業会社で殺菌・パッケージ処理を経て、「しまねっこの牛乳」などの製品になります。

つまり、1本の牛乳パックには複数の牧場の牛乳が混ざっていることがほとんど。

特別な事情(猛暑や災害など)によって、生産地の牛乳だけでは足りない場合は、他県(例:鳥取県や広島県など)からも補填され、製品化されることもあります。

3. 牛乳の品質はどう守られる?混入のチェックと酪農家の責任

牛乳がタンクローリーに積み込まれる前には、現場で簡易な品質検査が行われます。

・水や洗剤が混ざっていないか(比重チェック)

・抗生物質が含まれていないか

・異常臭や変色はないか

これらに問題があれば、その日の牛乳は廃棄、そしてその損失はすべて酪農家が負担します。つまり、最終消費者の手に渡る前の品質責任は生産者側にあるということです。

4. ご当地牛乳の正体と“味”の正体

「旅行先で牛乳を買って飲み比べるのが好き」という研修生さんのような消費者も多くいます。しかし、災害などの事情で他県の牛乳が混ざっている場合もあります。

それでも「味の違い」を感じるのはなぜか?

それは乳脂肪率や乳タンパク質などの成分によって決まります。牧場ごと、季節ごとに差が出る部分ではありますが、それを調整して「同じ味」にするのが、乳業会社の役割でもあるのです。

5. 川上牧場の誇り。乳脂肪率4.24%という数字

川上牧場では、**乳脂肪率4.24%**という非常に高い数値をキープしています。

・通常は3.5%が平均ライン

・夏場は特に乳脂肪率が下がりやすい

それでも高い数値を維持できている理由は、「品種改良」と「飼料設計」の両輪で取り組んでいるからです。

具体的には:

・消化性の高い粗飼料を中心に設計した給与内容

・乳脂肪率が高い遺伝背景を持つ牛を選定・交配

こうした小さな積み重ねの結果が、乳検成績に表れています。

6. なぜ「バター」に加工されにくいのか?

「出雲産のバターはないんですか?」という問いもありました。

バターは乳脂肪だけを取り出すため、

・1Lの牛乳から取れるバターは約100g程度

・経済的には非効率

そのため、牛乳のまま販売した方が酪農家にはメリットが大きいのです。乳業会社としては、乳飲料やコーヒー牛乳など加工品を作ることで利益を出します。

つまり:

・酪農家→生乳での出荷を希望

・乳業会社→加工品の開発・販売で利益確保

この構図をうまくバランスさせるのが、地域の乳業会社の大事な役割でもあります。

7. 最後に:学ぶべきは「生産」だけじゃない

酪農現場で研修をしていると、どうしても目の前の作業に集中しがちです。しかし、今回のように「牛乳がどう売られて、どう味が整えられているか」を知ることも、酪農家を目指す上での大切な視点です。

生乳の質を高めるだけでなく、その牛乳が社会の中でどう流れて、誰にどう届いているのか。その流れを理解することで、初めて“意味のある酪農”ができるのではないでしょうか。

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それではまた次回。

次の配信もお楽しみに!

牛乳、今日も1杯飲んでいきましょう。

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