🐄黒毛和牛にシマ模様?イグ・ノーベル賞の研究を解説!
2025-09-22 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
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🐄黒毛和牛にシマ模様?イグ・ノーベル賞の研究を解説!
牛の体に白と黒の“シマ模様”を描くと、吸血昆虫が寄ってこなくなる——。
そんな一見「え、本当に?」と思ってしまう研究が、近年大きな注目を集めています。
この研究は、世界の“ユニークな科学”に贈られる イグ・ノーベル賞 を受賞したもの。
日本の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)が、黒毛和牛を使って実験を行い、しっかりと科学的な成果を出しました。
「牛にシマ模様?」
「どうして模様だけで虫が避けられるの?」
「本当に効果はあるの?」
そんな疑問を持つ方のために、この記事では
● 研究の内容
● 効果が生まれる理由(モーションダズル)
● 畜産へのメリット
● 川上牧場での虫対策の実情
● 牛へのやさしい畜産の未来
こうした視点から、一般の消費者の方にも分かりやすく解説していきます。
牛が好きな方、畜産に興味がある方、そして「科学って面白い!」と思いたい方にもおすすめの内容です。
ぜひ牛乳片手に、読み進めてみてください。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250919/k10014926741000.html
■ シマ模様の牛? 研究の発端は「シマウマ」
みなさんはシマウマの体の白黒模様に、どんなイメージを持っていますか?
「敵から身を守るための迷彩」「体温調節」「仲間識別」など、さまざまな説がありますが、近年もっとも注目されているのは…
吸血昆虫を避ける効果がある
というもの。
シマウマは、アフリカの過酷な自然環境で暮らしてきました。
サシバエやアブなどの吸血昆虫は、家畜や野生動物にとって大きなストレスであり、病気を運ぶこともあります。
そこで、「じゃあ牛にもシマ模様を描いたらどうなる?」という発想が生まれたのです。
■ 日本の研究者が実験した「シマウシ」
農研機構の研究チームは、黒毛和牛の体に白いスプレーでストライプを描き、
虫の着地・行動・牛の反応を詳細に調べました。
すると驚きの結果が…
● シマ模様を描いた牛は、何も描かない牛よりハエの付着数が半分以下に!
● 牛がハエを払う首振りや足踏みの回数も大幅に減少!
つまり「模様を描くだけ」で、虫へのストレスが減ったのです。
このユニークで実用的な研究は、2019年にイグ・ノーベル賞を受賞。
その後も国内外で話題になり、SNSでも「シマウシって本当にいるの!?」と盛り上がりました。
■ なぜ模様だけで虫が避けられるのか?
― モーションダズル効果 ―
ここからが科学的に面白いポイントです。
昆虫は動く対象に着地するとき、
「進行方向」 と 「速度」 を視覚情報から判断しています。
ところが、白黒のシマ模様が動くと…
● どの方向に動いているのかが分かりにくい
● 境界線がチラチラして速度が読み取りづらい
● 結果、うまく着地できない
この視覚的な錯覚のことを モーションダズル効果 と呼びます。
つまり、模様は単なる“装飾”ではなく、
動物の動きを錯覚させて虫のアプローチを防ぐ“防御システム”なのです。
野生動物の生態と、視覚心理学と、畜産の実践が結びつく——
科学の面白さが詰まっている部分ですね。
■ 実用的な効果:牛も人もメリットがある
この研究が注目されている理由は、面白さだけではありません。
畜産現場では、夏場の虫問題はとても深刻です。
● 吸血昆虫が多いと…
・牛がストレスを感じる
・エサを食べる量が減る
・乳量に影響が出る
・皮膚炎などのリスクが上がる
・牛舎の作業がしづらくなる
牛にとっても、人にとっても、虫は本当に厄介な存在です。
そのため、現場では
・殺虫剤
・虫除けネット
・トラップ
など様々な対策が行われていますが、
「薬剤に頼りすぎない方法」への需要は年々高まっています。
そんな中で、“模様を描くだけで虫が減る” というアイデアは、
畜産の未来をより持続可能にするヒントとして期待されているのです。
■ 川上牧場でも実際に感じる「虫問題」
ここからは、島根県出雲市にある川上牧場での実体験です。
うちの牧場でも、夏になると牛舎の周りには
アブ・サシバエ・ハエなどの虫がどうしても増えます。
特に放牧をしている農家さんの間では、
黒毛和牛に白いスプレーでラインを描く “簡易版シマウシ” を試している人も多くいます。
■ 現場で聞く声
・体全体に白スプレーで線を入れるだけで明らかに虫が減った
・足踏みが減った
・目の周りのストレスが軽減した
完全にゼロにはできなくても、
“牛のストレスが目に見えて減る”ことは大きなメリットです。
■ 川上牧場の虫対策の実例
・牛舎内の通気改善で風をしっかり流す
・オニヤンマの模型を吊るして虫を寄せつけない工夫
・殺虫剤は必要最低限にし、食品を扱う場所として安全第一
・牛がストレスを感じにくい場所へ移動させる
・牛の体調変化を早めにキャッチして対処
虫との戦いは、「自然との付き合い方」そのもの。
牛が安心して過ごせるよう、日々の工夫の積み重ねが大切になります。
■ ホルスタインには効く? 黒毛和牛だけ?
ここでよく聞かれるのがこの質問。
「ホルスタインは白黒柄だけど、それじゃダメなの?」
答えは…
→ ホルスタインの白黒柄は“ランダム模様”なので、
モーションダズル効果は出にくい
虫除けに効果があるのは、
「縦に入る明確なストライプ」や「はっきりしたパターン」です。
ホルスタインは“まだら模様”なので、
視覚錯覚を起こすには形が不規則すぎるのです。
そのため、ホルスタインでやるなら…
→ 白スプレーで縦ラインを描く必要がある(笑)
黒毛和牛は“黒一色”なので、ラインを描くととても分かりやすく、
実験しやすいというメリットがあるんですね。
■ 科学 × 現場 が畜産を変えていく
シマウシ研究は一見 “面白いネタ” に見えますが、
背景にはとても深い畜産科学があります。
・牛のストレス軽減
・生産性の向上
・殺虫剤依存の減少
・環境負荷の軽減
・牛にも、人にも優しい畜産へ
こうした未来につながる可能性を持っています。
科学は、畜産をより良くするパートナー。
「研究」と「現場」がうまく結びつくことで、
これからも新しい発見が生まれていくはずです。
そして、こうした取り組みを知ることで、
牛乳や牛肉を選ぶときに、ちょっとだけ“背景”を想像してもらえると嬉しいです。
それが、農家としては何よりの励みになります。
■ 川上牧場からのお知らせ
牛と向き合いながら、日々の気づきや学びを発信している
川上牧場のメンバーシップ(Noteメンバーシップ) では、
・現場のリアルな話
・酪農業界の裏側
・未来の畜産を考える企画
・オンライン牧場体験
・ファームエコー(業界向けAIサポートプラン)
など、さまざまな活動を行っています。
また、Instagramでは
#ミライの牛乳 プロジェクト として、
「こんな牛乳や乳製品があったらいいな」をAIアート+NFTで表現し、
売上は子ども食堂や食育活動に充てています。
未来の食を一緒につくる仲間が増えたら嬉しいです。
気になる方は、ぜひ覗いてみてください。
■ まとめ:模様は“遊び”ではなく、未来につながる技術
最後に、今日のポイントを整理します。
✔ 牛にシマ模様を描くと虫が寄りにくくなる
✔ 理由は「モーションダズル効果」
✔ ストレス軽減は畜産の大きな課題
✔ 殺虫剤に頼らない“持続可能な対策”として期待
✔ 川上牧場でも虫問題は日々の課題
シマ模様が、牛の未来を変えるかもしれない——。
そんなちょっとワクワクする研究です。
これからも、科学の視点と現場の実感をつなぎながら、
「農業っておもしろい!」と感じてもらえる話題を届けていきます。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
牛乳、今日もぜひ一杯どうぞ。
また次の記事でお会いしましょう!
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