牛と私たちの未来を決めるのは誰?総裁選を酪農目線で解説
2025-09-24 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
https://open.spotify.com/episode/1mcDOLsAzAxDIe8SOamixL?si=BRygK7JPRHWnux-JScMw_g
おはようございます。
島根県出雲市の川上牧場から、今日もゆったりとした朝の空気とともにお届けします。
9月25日、木曜日。
天気は曇りのち雨。最高気温は32度。
昨日のように蒸し暑さはありつつも、朝晩はすっかり涼しくなってきました。
そんな秋の入り口の牧場では、今日も変わらない仕事が続きます。
液体窒素の充填、配合の受け取り、昼からはディーラーさんと打ち合わせ。
共進会に向けた牛たちの洗い・毛刈りも今日で仕上げ…と、まさに盛りだくさんの日です。
そして今日の配信テーマは、
リスナーさんから届いた質問の中でも、ひときわ大きなテーマ。
「自民党の総裁選を、酪農家目線でどう見ていますか?」
政治の話題は難しい…と思われがちですが、
実は酪農と政治は切っても切り離せない関係にあります。
「飼料価格」「生乳の需給調整」「価格安定制度」「輸出政策」…
これらはすべて、政治が動くことで現場が変わります。
つまり、
総理大臣が誰になるかで、牛たちの未来も私たちの未来も変わる。
この記事では、日々牛と向き合う現場の感覚を軸に、
・過去5年の農政の動き
・総裁選候補の姿勢の違い
・酪農家は何を期待すべきか
を、中立的な立場からわかりやすく解説していきます。
途中には私の日常の話も少し入れながら、
牛乳片手に、ゆったり読んでいただけたらうれしいです。
1|農業政策は「暮らし」と直結している
政治の話でありがちな誤解があります。
「農政って農家の話でしょ?」
「一般の人には関係ないよね?」
いえ、まったくそんなことはありません。
たとえば
・給食の牛乳
・コンビニのカフェラテ
・スーパーのヨーグルト
・バターやチーズの価格
これらが毎日のように変動する裏側には、
農政=政府の判断が深く関わっています。
燃料の値上がりも、
飼料の価格高騰も、
さらには牧場経営の赤字問題も。
そして最終的には、
**「消費者の食卓」**に影響が戻ってくる仕組みです。
だからこそ、
酪農家が総裁選に関心を持つのは当然のこと。
牛を育てる一人として、
そして日本の食を支える一人として、
「誰が未来の農政を担うのか」に目を向ける必要があります。
2|この5年で農政はどう動いた?
AIにも協力してもらいながら、
ここ5年の農政の大きなポイントを整理すると、
次のような流れが見えてきます。
◆ 2020年:「食料農業農村基本法」の改定
食料自給率アップ、スマート農業推進。
ドローン、ロボット、AIを使った省力化が本格化。
◆ 2022年:ウクライナ情勢で飼料が急騰
トウモロコシ・大豆が輸入中心の日本は大打撃。
政府の補填制度が動いたが、「対処療法的」との声も多数。
◆ 輸出政策の強化
和牛、乳製品の輸出額が増加。
ただし、輸出偏重で国内の価格安定が後回しになった側面も。
こうした流れを見ると、
日本の農政は大きく3つの方向性で動いていたことがわかります。
・自給力アップ
・DX(スマート化)
・輸出強化
ただ、残念ながら現場の肌感覚としては、
・飼料価格の高騰で赤字が常態化
・労働力不足が改善しない
・牧草地の維持が困難
・小規模農家は消耗戦に
このような状況が続いています。
だからこそ、次のリーダーは
「机上の理論ではなく、現場の声を政策に落とし込めるか」
が最も大事になってくるのです。
3|総裁選の候補者たちは農政をどう見ている?
AIの分析をもとに、
候補者たちの政策を「酪農に関係する部分」に限って整理すると、
次のように特徴が分かれます。
◆ 全員が共通していること(意外と多い)
・食料安全保障の強化
・国産飼料の増産
・肥料価格高騰への対策
・スマート農業の推進
・若手の担い手確保
・生乳の安定供給の必要性
つまり、
“方向性”はあまり大きく変わらない のです。
ですが、違いは「アプローチの仕方」。
4|注目すべき「違い」はここだ
候補者の違いは、大きく分けると4タイプに分類できます。
① 高市早苗さん:効率化・大規模化を重視する改革派
・農地集約
・大規模化
・思い切った投資
・国としての食料安全保障を最優先
“強い農業をつくる”という意味ではロジカル。
ただし、小規模農家には厳しい一面も。
② 小泉進次郎さん:現場目線の底上げ型
・家族経営の農家も保護
・現場の声を重視
・生産者が選択しやすい制度改革
「守るべき農家は守る」タイプ。
小規模や中規模の酪農家は恩恵が大きい。
③ 小林史明さん:制度改革・マーケットの改善派
・価格形成の仕組み改善
・流通改革
・働き手確保の制度見直し
“仕組み”のアップデートを重視するタイプ。
④ 茂木敏充さん:従来型の安定路線
・米中心の農政に近い立ち位置
・新しい施策より現状維持の傾向
・生乳増産には前向き
大きな改革は少ないが、安定志向。
候補者により方向性は異なりますが、
酪農家から見れば、それぞれにメリット・デメリットがあるのが正直なところです。
5|酪農家として何が一番「期待」なのか
総裁選は「名前の人気」ではなく、
“誰の政策が現場に届くか” で判断すべきだと私は思っています。
そして酪農家として、
私が特に期待したい政策は次の3つ。
① 短期補填ではなく、中長期的な制度改革
毎年のように起こる赤字問題に
「補填で埋めるだけ」の対処では限界がある。
必要なのは、
・価格形成の見直し
・自給飼料率の底上げ
・牧草地の維持
・働き手を確保する仕組み
といった、根本的な改善です。
② 牛乳需要を国内で安定させる政策
輸出はもちろん大事。
でも日本人の食生活が変わらなければ生乳の需給は安定しません。
給食、飲用、加工乳製品など、
「国内消費の強化」もセットで考えてほしい。
③ 現場の声を政策決定に反映する仕組み
政治家の発言は立派でも、
“現場の課題を理解しているか”とは別問題です。
牧場に足を運び、
生産者の声を聞き、
机上ではなく現実を見た政策を作ってほしい。
これらが整って初めて、
酪農は「持続可能な未来」に向けて進むことができます。
6|「私は誰に期待する?」という質問への答え
配信にもありましたが、
「川上さん自身は誰に期待しますか?」という質問をよくいただきます。
これは政治的な立場ではなく、
**“酪農の未来にとって誰が動けるか”**という意味での話です。
私は、
・改革を進めようとする人
・現場の声を聞こうとする人
・行動で示そうとする人
この3つの軸で見ています。
言葉ではどうとでも言える。
だからこそ 行動で示せる人 に期待したい。
7|総裁選はゴールではなくスタート
誰が総裁になろうと、
その後の政権運営で本当の実力が問われます。
今の日本は、
・少子化
・食料自給率の低下
・農家の高齢化
・外国依存の飼料
という多くの課題を抱えています。
酪農はその最前線。
だからこそ、
「総裁選をきっかけに農政を見直す」
そんな機運が社会全体に広がることを願っています。
8|最後に:川上牧場からのお知らせ
この記事の最後に、日頃の活動を少しだけ。
川上牧場では、
・オンライン牧場体験
・子ども食堂への牛乳支援
・AIアートNFT「ミライの牛乳」
・Kindle本「酪農未経験者のために」
など、酪農の未来をつくる挑戦を続けています。
もしこの記事が少しでも学びになったら、
フォローや記事スキで応援していただけると励みになります。
おわりに
牛は政治の話をしません。
ただ、牛を取り巻く環境は政治で大きく変わります。
酪農は「天気」と「政治」で未来が変わる世界です。
だからこそ、私たち一人ひとりが
“食の未来に関心を持つこと”
そこからすべてが始まるのではないかと思っています。
今日もあなたの食卓に、おいしい牛乳が届きますように。
そして日本の酪農が、持続可能な未来へ進みますように。
それでは、いってらっしゃい。
みんな、牛乳飲んでね。
バイバーイ。
https://note.com/kawakamifarm/membership/boards
https://note.com/kawakamifarm/n/n2c2f4763349b
https://note.com/kawakamifarm/n/n787b52334c89
🐄📚『川上牧場研修〜牛群検定の見方編〜』Kindleで絶賛発売中!📘
全ての酪農に興味がある方へ🐮数字で牛の声を聞こう!👇
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FBQWGSK6
https://lit.link/kawakamifarm