R7年研修生と配信 #27
2025-11-15 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
https://youtu.be/7d04UmEqVvI?si=eePQX62lD-Au3urh
10月29日収録。
この日も、R7年研修生と一緒に牛舎での作業を終えたあと、腰を落ち着けて「今、一次産業の現場で何が起きているのか」について話をしました。
今回のテーマは、第1次産業における外国人労働者の存在です。
結論から言えば、もうこの話題は「使う・使わない」の段階ではありません。
使わなければ現場が回らないところまで来ている、それが今の現実です。
■ 外国人労働者なしでは成り立たない現場
大規模な酪農場や牧場を見学・視察すると、真っ先に気づくことがあります。
それは、働いている人の多くが外国人であるということです。
日本人従業員だけで100%回している牧場も、もちろん存在します。
しかし、数としては圧倒的に少数派です。
特に人手を多く必要とする現場では、外国人労働者の存在が前提になっています。
酪農や農業の現場は、どうしても力仕事が多くなります。
細かい日本語を完璧に理解できなくても、
「これをやってほしい」「次はこれ」という最低限の単語と指示が伝われば、仕事自体は成立します。
そのため、日本語能力よりも、体力・経験・やる気が重視される場面が多いのも事実です。
■ 派遣・エージェントという仕組み
外国人労働者を受け入れる仕組み自体は、すでに長い歴史があります。
国の制度や補助金、支援金も整備されており、
それらを活用して人材を手配する派遣会社・エージェントが確立されています。
多くの場合、
・現地で畜産や農業の基礎を学んだ人材
・ある程度の作業用日本語を身につけた人材
が、日本に来る仕組みになっています。
ただし、誤解してはいけないのは、
外国人労働者=安い労働力ではないという点です。
最低賃金以上の賃金は当然必要ですし、
住居の確保、生活手続き、買い物の送迎、免許を持っていない場合のサポートなど、
受け入れる側の負担は決して小さくありません。
「楽になるから外国人を使う」という発想で始めると、確実に失敗します。
■ 島根とブラジル人労働者の現状
島根県、とくに出雲市周辺では、ブラジル人の方が非常に多く暮らしています。
ここ数年でその数は一気に増え、4000人近くに達しています。
ただし、意外なことに、
島根県・出雲市で酪農に従事しているブラジル人はほとんどいません。
これは大きな“もったいなさ”だと感じています。
というのも、ブラジルには農業・畜産の経験者が非常に多いからです。
もし、
・農業・酪農経験のある外国人
・日本で働きたい意思のある人
・それを適切にマッチングする仕組み
これらが地域に根付けば、大きなビジネスチャンスにもなります。
実際、都会では外国人向けのキャリアエージェントや農業人材マッチングは増えていますが、
地方ではほとんど存在しません。
理由は単純で、薄利多売になりやすく、収益化が難しいからです。
それでも、この分野には確実にニーズがあります。
■ 良いエージェント、悪いエージェント
外国人労働者を巡る世界には、残念ながら問題のある派遣会社も存在します。
基本的なビジネスモデルは、
「人を紹介した際の手数料」です。
つまり、数を送れば送るほど儲かる仕組みになりやすい。
その結果、
・誰でもいいから送り込む
・現場とのミスマッチを無視する
・労働者の人生を軽く扱う
こうしたケースも少なくありません。
本当にしっかりした農家や法人ほど、
現地に足を運び、教育現場や雰囲気を自分の目で確認しています。
ベトナム、フィリピン、タイなど、実際に行く人もいます。
時間もお金もかかりますが、
長期的に見れば、そのほうが確実です。
■ 文化と宗教を理解しなければうまくいかない
外国人労働者を受け入れるうえで、
技術以上に大切なのが、文化と宗教への理解です。
たとえばブラジルはキリスト教圏です。
・クリスマスは家族と過ごす
・誕生日は大切な日
・ワールドカップで自国が勝てば休む
これは「わがまま」ではなく、文化です。
日本人は「どこに行っても馴染める民族」と言われます。
相手の文化を尊重し、自分を合わせることに慣れているからです。
一方で、海外では
「自分の文化が基準」という考え方が普通の国も多い。
この違いを理解せずに、
「日本なんだから日本式でやれ」
と押し付けると、必ずトラブルになります。
■ 言葉よりも大切なもの
「言葉が通じなくて大丈夫なのか?」
これはよく聞かれる質問です。
正直に言えば、
ボディランゲージと翻訳アプリで、ある程度は何とかなります。
それ以上に大切なのは、
・困っている人を助けたい
・一緒に働こうという姿勢
・利用しよう、騙そうとしないこと
結局は、人柄とコミュニケーションです。
外国人だから使ってやろう、
外国人だから安く使おう、
そう考えた瞬間に、関係は破綻します。
■ 日本で働くということの裏側
正直に言ってしまえば、
今の外国人労働者受け入れシステムには、かなり厳しい側面もあります。
現地では、
「日本は安全で、豊かで、たくさん稼げる」
という広告が溢れています。
しかし実際には、
・給料は最初から固定
・そこから住居費、車代、生活費が引かれる
・中間業者が利益を抜く
こうした構造になっているケースも多い。
それでも、外国人労働者が日本に来る理由ははっきりしています。
治安が良く、ご飯が美味しい。
これは、世界的に見ても大きな価値です。
■ 子どもたちの問題
とくに心が痛むのが、子どもの問題です。
日本で暮らし、日本語しか知らず、日本で育った子どもが、
「制度上、日本にいられません」と言われるケースがあります。
大人の事情で移動し、
大人の制度で線を引かれる。
これは本当に難しく、重い問題です。
簡単な答えはありませんが、
少なくとも「現場で働いている人間」として、
この現実から目を背けることはできません。
■ これからの一次産業と人手不足
結局のところ、
人手不足はこれからさらに深刻になります。
日本人は減り、若者は都市へ、あるいは海外へ出ていく。
それでも、牛は生きていて、作物は育てなければならない。
外国人労働者を使わなければ回らない時代は、
すでに始まっています。
だからこそ、
・どう受け入れるのか
・どう共に働くのか
・どう共に生きるのか
この視点が、これからの一次産業には欠かせないのだと思います。
今日はそんな話を、研修生と一緒にじっくり語りました。
簡単な答えはありませんが、
現場で考え続けること自体が、大切な一歩だと感じています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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