そのバター、白い?黄色い?ミルクと個体識別の話
2025-05-09 配信|川上牧場 酪農データバンク
配信の全文
こんにちは、川上牧場の川上です。
日々、牛たちと向き合うなかで感じる素朴な疑問。
それはきっと、日常の中でふとした瞬間に誰もが抱く感覚なのかもしれません。
ある日、音声配信にこんなレターが届きました。
「お酒を飲もうと冷蔵庫を開けたら、おかずになるものがバターしかなかったんです。
そのとき気づいたんですが、“あれ? このバター、なんか白くない?”
バターってもっと黄色いイメージがあったんですけど…。
それと、焼肉屋さんで“この牛のお肉です”って個体識別番号が書いてあるけど、牛乳ってその情報ないですよね?」
今回はこの2つの疑問にお答えしながら、
**バターの色の理由と、牛乳のトレーサビリティ**についてお話ししたいと思います。
バターが白い?黄色い?──違いを生むのは「餌」
バターの色が変わる理由。それはシンプルに「牛の食べたもの」です。
牛の餌に含まれる「β-カロテン」という天然の色素(カロテン類)は、脂肪に溶け込みやすい性質を持っています。
つまり、牛が青草や乾草などを多く食べている時期には、その乳脂肪にカロテンが多く含まれ、バターが黄色っぽくなるのです。
逆に、**TMR(完全混合飼料)**と呼ばれる、穀物や大豆かすを主に混ぜた飼料を食べていると、カロテンが少なく、白っぽいバターになります。
たとえば北海道では、夏は放牧して青草を食べさせ、冬は牧草のロールやサイレージ(発酵飼料)を与えるスタイルが一般的。
そのため、同じ牧場でも季節によってバターの色が変わることがあるんです。
なお、市販のバターには色のばらつきを抑えるために、微量のβ-カロテンや「アナトー色素」といった天然着色料を加えることがあります。
私たちが「バターといえばこの色だよね」と感じる、均一な見た目を保つための工夫なんですね。
牛乳には「個体識別番号」はついているの?
続いて、牛乳と個体識別のお話です。
まず結論からお伝えすると、牛乳には“個体(1頭ごと)”の識別番号は基本的に表示されていません。
ですが、これは「管理されていない」という意味ではありません。
日本では「集乳(しゅうにゅう)」と呼ばれる、牧場から乳業メーカーに牛乳を集める工程から、処理・流通・販売まで、すべての段階で記録を取るトレーサビリティシステムが導入されています。
つまり、“いつ・どこの牧場の牛乳がどこに運ばれ、何に加工されたか”が分かる仕組みがあるのです。
ただし、牛乳パックの裏に「この牛の牛乳です」と書かれていないのは、複数の牧場の牛乳をブレンドして品質を安定させるという理由から。
季節や搾乳のタイミングによって乳成分が異なるため、毎日同じ味・栄養価になるように調整されています。
“顔が見える牛乳”もある──6次産業化の取り組み
とはいえ、近年では農家が自ら生産・加工・販売まで行う「6次産業化」が進んでおり、
“○○牧場の牛乳”として販売される製品も増えています。
これらの製品は、ラベルに生産者の顔写真やSNSのリンクがついていたり、
牧場名が明記されていたりと、消費者が“誰の牛乳か”を知ることができるよう工夫されています。
また、ジェラートやヨーグルト、プリンなどに加工して「○○ちゃん(牛の名前)からとれたミルク」としてブランド化する例もあります。
まさに、顔の見える牛乳ですね。
日常の中の“違和感”こそ、最高の学び
今回のような疑問、「あれ?いつもと違う」「なんでこうなるの?」という気づきは、
消費者と生産者の距離を縮めるきっかけになります。
食品表示だけではわかりにくい乳製品の背景も、
こうして声を届けていただけることで、私たち生産者側も、より丁寧に伝えることができます。
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まとめ
・バターの色は牛の食べた餌(特にβ-カロテンの含有量)で決まる
・牛乳は個体単位ではなく牧場単位でトレーサビリティが管理されている
・6次産業化が進めば“この牛の牛乳”が届く日も近いかも?
普段何気なく口にする乳製品にも、実は豊かな物語と背景があるんです。
「これ、なんでだろう?」と思ったら、ぜひコメントやレターで教えてくださいね。
今日も牛乳で、かんぱーい!
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