R7年研修生と配信 #10

2025-09-03 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

https://open.spotify.com/episode/5dDCAjxZMxc7XJ9plodTe2?si=5gLvYEBgSi299xud3CZU-A

こんにちは、川上牧場の川上です。

今回も研修生との音声配信を記事にまとめました。

第10回目となる今回は、真夏の8月30日、出雲の牧場で実際に行われた研修風景をそのままお届けします。

テーマは「子牛の哺育管理」。

日々の営農のリアルなやりとり、現場の感覚、最新設備の導入背景まで含めて記録していきます。

酪農に関心ある方、研修を考えている方、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

子牛の哺乳量ってどれくらい?

研修生がまず抱いた疑問は

「子牛は1回にどれくらい牛乳を飲むの?」

というごく基本的なもの。

ペットボトル(1L)を基準に考えると、最初は2Lくらいかと思っていた様子。でも実際に使っている哺乳瓶は1回で3L程度入ります。

うちでは1リットルの水に対して約150gの粉ミルク(乾物)を溶かしています。つまり3リットル飲めば450gの乾物を1回で摂取している計算です。

これを朝夕の2回で合計6リットル=900g程度の乾物ということになります。

哺乳ロボットの設定と考え方

現在、うちでは哺乳ロボットを導入しており、タグで管理された個体が1日に何回も自由に飲みに行ける設定になっています。

肉用牛とホルスタインでの違い

・**肉用牛(F1など)**は出荷後の事故防止のためにも、胃への負担を抑えたい→最大でも7L程度に設定。

・ホルスタインは生後2週間は無制限で飲ませてます。

この2週間に免疫力と基礎体力をしっかりつけるため、

**添加剤(ビタミン剤・鉄剤)**もふんだんに投入。1日10L近く飲む子もいるんです。

ミルク濃度と給与のコントロール

60日を超えると、少しずつ給与量を減らしつつ、濃度を上げていきます。これは自然界での乳成分の変化を再現した設定です。

母牛の乳も産後直後は濃く、だんだんと量が増えるにつれ薄くなり、再び濃くなるサイクルがあります。それを哺乳ロボットでも再現しています。

離乳のタイミング

一般的に体重が2倍になったときが離乳の目安とされています。

うちでは約**90日(3ヶ月)**を目安に設定。

昔は40日で離乳していたこともありますが、今はロボットの導入で管理がしやすくなったため、少し長めに設定。

また、配合飼料(とうもろこし中心)を1日1kg以上食べられるようになったら離乳可能という目安も使います。

食道溝反射としっぽの関係

研修生が驚いていたのが「子牛が哺乳中に尻尾をフリフリする理由」。

これは実は喜んでるわけではなく、反射行動なんです。

ミルクが第一胃(草用)に入ると消化できないため、第四胃(ミルク用)にバイパスするための食道溝反射という生理現象。その時、胃の動きに連動して尻尾が動くんです。

水は第一胃に入るけど、ミルクは第四胃へ。

これを理解していると、給餌時の反応から健康状態も推測できるようになります。

牛の睡眠と乳量の関係

牛は1日に4時間程度しか寝ないとされていますが、実際は5分〜15分ずつ細切れの休息を繰り返します。

でも、横になって寝ている時間が長いほど、乳量は増えるとされており、その理由は「乳房に送る血液量」が関係しています。牛乳1Lを生産するのに必要な血液量はなんと400L。

つまり、1日30Lの乳を出すには12,000Lもの血液を循環させる必要があります。立っていると下肢に血液が溜まりやすく、乳房への供給効率が落ちるため、寝ている時間が多い=高泌乳牛と言えます。

牛の感情と行動

「牛は嬉しいと尻尾を振るの?」という質問もありましたが、

**嬉しい時は尻尾ではなく“飛び跳ねる”**のが特徴。

特に、ベッドの入れ替え時や好きな餌(たとえば酒粕)をたまにあげた時には、大型牛が700kgの巨体でピョンピョン跳ねます。これが「嬉しい」というサイン。

虫と牛、そして換気

夏になると増えるのが羽虫(ハエなど)。

これが牛のストレスの元になるため、9月上旬に駆虫薬を塗布しています。

風が吹いていれば虫は寄りづらい。だから牛舎の換気設計・風の流れの管理がとても大事。

牛が尻尾をよく振っている=虫が多い=環境に改善の余地がある、という視点も酪農では重要です。

牛舎と発育、設計の知恵

川上牧場では、牛舎の構造と牛の身体的な成長を見ながら、管理の目安にしています。

・哺乳ロボットの入り口とお尻の高さ → 離乳の目安

・スタンチョン(餌を食べる柵)の上部の位置 → 種付けの時期の目安

体重計がなくても、視覚的な成長の評価で日々の運営をしています。

最後に:研修生との対話が生む“気づき”

今回の配信では、研修生の素朴な疑問からたくさんの学びが引き出されました。

・子牛のミルクの量は?

・離乳はどう判断する?

・牛のしっぽが動くのはなぜ?

・虫が多い時期の対処法は?

酪農は“感覚”と“理屈”の融合。

現場で毎日牛と向き合っているからこそ、答えが見えてくることばかりです。

質問はいつでも募集中!

そして、こうした学びをさらに深めたい方は、川上牧場のメンバーシップにもぜひご参加ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました!

次回も「R7年研修生と配信」シリーズ、お楽しみに!

牛乳で乾杯!

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