R7年研修生と配信 #11

2025-09-04 配信|川上牧場 酪農データバンク

配信の全文

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おはようございます!

2025年8月31日、今日も川上牧場では研修生と一緒にお勉強していきます。今回は、酪農の現場で避けては通れない

「乳房炎(にゅうぼうえん)」

について、実際の会話形式で進めていった内容を元に、Note記事としてまとめました。

現場で起こるリアルな話から、予防のための工夫、技術的な視点まで、盛りだくさんの内容です。酪農に興味がある方、新規就農を目指す方、学生の方、そして日々頑張る酪農家さんにも読んでいただけたら嬉しいです。

乳房炎、見たことありますか?

まずは基本の確認から。研修生に質問。

「乳房炎、なってる牛見たことある?」

研修生曰く、乳房が膨らんで張り上がり、触ると牛が嫌がる様子が印象的だったそうです。実際には、研修生が来てから新たに発症したケースはなし。それも日々の衛生管理の成果でしょう。

牛群検定では体細胞数が上下することもありますが、これは夏の暑さなどのストレスが免疫力に影響するからです。

原因と対策:菌だけじゃない

乳房炎の主な原因は「乳房内への細菌感染」です。

菌の侵入を防ぐために、以下のような日常管理を徹底しています:

・ベッドの清掃・乾燥保持

・作乳後のティートディップ(消毒)

・餌に含まれるビタミン剤の強化(夏季免疫低下対策)

また、傷やかさぶたがある牛も感染リスクが高いため、蹄の手入れなどを通して常に観察と予防に努めています。

「搾乳手技」こそ最大の予防策

乳房炎の9割以上は搾乳に起因すると言われています。

だからこそ、作業手順とタイミングがとても重要です。

・前絞りをしてから1〜2分以内にミルカー装着が理想

・牛が「乳を出したい」と思うホルモン(オキシトシン)が出るのを待つ

・早すぎる装着=ホルモンが出る前に無理やり搾る → 乳頭への負担が大

さらに、

・ミルカーの整備も大事(半年ごとに交換・1本1万5000円程度)

・ゴムが硬化してくると、搾れなくなる&乳頭へのダメージ増

川上牧場ではこのあたりも徹底しています。

牛の構造から考える負担

ここで少し話が逸れて、牛の身体構造についても一緒に学びました。

・牛の体重は600〜700kg。

・足1本あたり150kg程度の重みを支える。

・しかも「つま先立ち」状態。

この構造の中で立ったり座ったりを繰り返すわけですから、牛にとっての負担は相当なもの。だからこそ、

・ゴムマット敷設

・滑り防止のもみがら敷設

・膝の負担を減らす構造の検討

など、作業環境と牛の快適性は密接につながっています。

研修生からの鋭い質問たち

乳房炎の話の合間にも、いくつか鋭い質問が飛んできました。

Q1. 「牛って自分で乳房を踏んじゃうんですか?」

はい、あります。特に高齢の牛や、乳房が垂れ気味になってきた牛は、自分で踏んでしまうケースがあり、それが原因で炎症や裂傷、最悪切除が必要になることも。

Q2. 「乳房炎になったら搾らなくていいんですか?」

いいえ、搾る必要があります。搾らないと内部に溜まった炎症物質が悪化してしまいます。もちろん前搾りで状態を確認し、異常がなければ他の乳頭からも搾乳は可能です。

Q3. 「獣医さんは牛以外も診れるんですか?」

獣医師は「大動物」「小動物」に分かれます。牛や豚などは大動物、犬や猫は小動物。

最近では7〜8割が女性獣医さんが多くなっています。

人間の医師より年収は劣ることも多く、なり手不足が深刻で、オンライン診療も進んでいます。

技術と人手不足の間で

酪農の世界でも「遠隔診療」が導入されつつあります。獣医さんの数が減っている中で、

・AIによる初期診断

・カメラやセンサーによる状態監視

・データ共有による連携

といった仕組みが、実際に役立ってきています。

川上牧場でも、現場での対応力をつけるために研修生にも治療や観察のコツを教えています。

ミルカーと機械化の話

今回、研修生が驚いていたのが

「自動離脱機能付きミルカー」や「キャリロボ(自走ミルカー)」の話。

・搾り終わったら自動で外れるミルカー

・牛舎内を自動で次の牛まで移動するロボット

夢のようですが、すでに現場導入も始まっています。機械化が進めば、体格の小さな女性でも作業の負担はグッと減ります。

牛乳の未来は、日々の積み重ねから

最後に研修生と一緒に確認したのは、

「乳房炎の予防は、毎日の作業の積み重ねでしかない」ということ。

・拭く、観察する、搾る、それを一定の手順で丁寧に繰り返す

・牛の変化を見逃さず、記録と感覚の両面で判断する

・機械のメンテナンスを怠らない

この地味な“技術”こそ、牛の健康と乳質を守る基盤なのです。

おわりに:変な生き物だからこそ、愛しい

「牛って、変な動物ですよね」

そう言った研修生の一言が、なんだか印象的でした。700kgの巨体なのに、つま先立ちで生きている。ひとつの乳頭が壊れただけで、生涯の乳量にも差が出る。

でも、だからこそ毎日のケアに意味があり、酪農には“人の手”が欠かせない。

川上牧場では、これからも牛と、そして未来の酪農家たちと一緒に、こんな日々を丁寧に積み重ねていきたいと思います。

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それではまた、次回の配信でお会いしましょう。

みんな、牛乳飲んでね!

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