日曜日恒例コメント返し!牛乳は“子牛から奪っている”のか?『本来誰のもの?』

2026-09-06 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

台風の風の中で届いた日曜のコメント返しは、給食の牛乳離れから未来の酪農、そして「牛乳は本来誰のものか」まで幅広く展開しました。川上さんは押し付けを避けつつ、事実と考え方を丁寧に分けて答えています。

この回の要点

  • 給食で牛乳を飲めない子が増えており、川上さんは無理強いに反対しつつ長期的な栄養面も伝えている
  • 地下飼育やゼブーなど、土地・気候・電気の制約を見据えた未来の酪農の話題が出た
  • 自動給餌機や搾乳機は「もう一人の働き手」であり、壊れたら酪農が止まる命綱だと語られた
  • 牛が1日に出す約30リットルのうち、子牛が飲む約15リットルを超えた差を人間が得ているという説明で、「奪っている」という見方に応じた
  • 品種改良や家畜化を踏まえ、「本来誰のもの」という問いには一つの答えを押し付けない姿勢を示した

配信の全文(podyの記事より)

給食で牛乳を飲めない子が増えている

日曜恒例のコメント返し回です。台風の影響で風が強く、いつもより聞き取りにくい中での配信になりました。今回は1週間分のコメントに川上さんがまったり答えていきます。

乾杯の前に、川上さんが日本農業新聞の記事を取り上げます。学校給食で牛乳を飲めない子が増えているという内容で、保護者から「子供が苦しんでいるからやめさせてほしい」という声が多くなってきているそうです。

学校給食法 学校給食の実施について定めた法律です。給食は子供の栄養状態を満たすことなどを目的として提供されており、好き嫌いだけの問題ではないという前提があります。

酪農家としては悲しいことだと話しつつ、川上さんは無理に飲ませることには反対の立場です。牛乳が飲めなくても、チーズやヨーグルト、アイスクリームなど、乳製品はいろいろなところで使われていると付け加えます。

川上 無理して飲んで欲しくないと思いながら、子供たちにこれ(給食の牛乳の話)の声が届いていただけたら嬉しいなと思います。

一方で、長期的な視点も添えます。今の高齢者が元気なのは、子供の頃に牛乳や乳製品で骨貯金をしていた世代だからという面があり、牛乳には脳卒中や大腸がんになりにくくなるといった研究も出てきているそうです。

そのうえで川上さんは、嫌いな子に無理やり飲ませることは本当にしてほしくないと繰り返します。給食の10分前に学校と牧場をつないで牛乳の話をすることもできるとして、保護者やPTAの活用を呼びかけました。

子牛の哺乳と、忙しい分娩の日々

ここからはお便りコーナーです。まずはXのメープルさんから、子牛の哺乳ロボットの話に来たコメントです。先週、子牛がなかなか哺乳ロボットを覚えないという話をしていましたが、だいぶ覚えてくれたそうです。

ただ黒毛和牛は覚えが悪いようで、川上さんは「ちびちび哺乳」用の哺乳乳首を新しく買ったと話します。普通の哺乳瓶とは乳首の形が違い、哺乳ロボットも改造して対応できるようにしているとのことです。

黒毛和牛 日本の代表的な肉用牛の品種です。ホルスタインなどの乳用牛とは体質や性質が異なり、この回では哺乳ロボットの覚えが悪いというエピソードで登場します。

続いて、黒毛和牛が生まれた写真への「連続で助産でしたか?」というコメントに答えます。この日は朝5時に起きて夜9時半まで仕事をしたそうで、腕がパンパンになった様子を語りました。

川上 陣痛が弱かったんで、ちょっと早めに手助けして出しましたけど、もう腕がパンパンでしたね。

大変ではあるものの、乳量が増え、子牛も親牛も元気だと嬉しそうに話します。夏場は陣痛が弱くなりがちで分娩の手助けが増える、という季節ならではの事情も見えてきます。

地下で牛は飼えるのか、未来の酪農をシミュレーション

Instagramのゆじせやさんからは、「地下で牛を飼うとしたら」というスライド投稿にコメントが来ました。SFのように地下や宇宙での飼育を想像してみる企画です。

ゆじせやさんは、地下ならしっかり排水できるが、さらに下への排水管理と日光が大切だと指摘します。川上さんも、広い放牧地でのびのび、という未来だけとは限らないと応じます。

土地の問題や地球温暖化による砂漠化、臭い、消費者の理解などを踏まえると、地下での飼育が出てくる可能性もあると話します。そのうえで、一番大事なのは日光、そして電気だと整理しました。

核融合 原子核どうしを融合させて大きなエネルギーを取り出す発電技術の一つです。実用化されれば電力の悩みが大きく減ると期待されており、この回では地下飼育の前提となる電気問題の解決策として触れられています。

電気の悩みが解決すれば地下飼育も現実味を帯びる、という流れで、川上さんはイーロンマスクが進める宇宙にソーラーパネルを飛ばす構想なども例に挙げていました。

ゼブーという牛と、酪農を支える次の品種

noteのよしだまさんからは、「一番好きな牛の品種は?」という質問への回答に対してコメントが来ました。ゼブーという牛を初めて知った、ブラジルの食文化も興味深い、という内容です。

川上さんが一番好きなのはホルスタインですが、今一番興味があるのがゼブーです。ブラジルなど熱帯地域で飼われ、暑さと感染症に強く、粗悪な餌でもいい肉ができるという特徴があります。

ゼブー インドや熱帯地域で飼われてきた牛の系統で、肩にこぶがあるのが特徴です。暑さや感染症に強く、粗悪な餌でも育つため、温暖化が進む中で注目されています。

品種改良が加速度的に進んでいることもあり、川上さんはゼブーがホルスタインに次いで酪農畜産を支えるのではと期待します。日本で飼ってみたい、メンバーシップでみんなで飼おう、と冗談めかして呼びかけました。

牛はうつ病になる?ストレスと採食の関係

YouTubeのメイプルさんからは、牛のストレスとオキシトシンをテーマにした配信にコメントが来ました。牛舎移動直後にずっと鳴くのはストレスや恐怖だろうけれど、お腹が空けば餌を食べるので人間のうつ病とは違うのでは、という内容です。

メイプル むしろ環境に慣れるまでは落ち着かなくて動いているせいか、(デバイスの記録では)採食時間が増えていることの方が多いですね。

メイプルさんはユーモーションという牛の動きを観察するデバイスを使っているそうです。川上さんは、ストレスでやけ食いしてしまう人がいるように、牛にも似たことが起きているのではと面白がります。

ユーモーション 牛の首などに装着し、動きや採食・反すうの時間を記録するモニタリングデバイスです。牛の体調や発情、ストレスの兆候を数値で把握するのに使われます。

自動給餌機は「もう一人の働き手」

同じくメイプルさんから、酪農家が本気で欲しい設備の話に来たコメントです。自動給餌機は贅沢品ではなく、機械を買うというより、もう一人の働き手を雇う感覚だと述べています。

メイプル 本当に機械を買うというより、もう一人の働き手を雇う感覚ですよね。

メイプルさんは、デラバルがアニマルウェルフェアの影響でつなぎ牛舎向け製品の製造販売を終了したことにも触れ、タイミーの求人動画から古い機械が使われていることを知った、壊れたら終わりですよね、と書き添えました。

川上 壊れたら終わりって言わないで。もうだからもう買い替えるしかないですよね、その時はね。

川上さんは、自動給餌機も搾乳機も壊れたらその時点で酪農終了だと語り、その時はクラファンをするので応援してほしいと半ば本気で呼びかけました。設備が牧場の命綱であることが伝わります。

酪農にはまだ夢がある、でも数は減っている

続くコメントは、牛乳由来の医薬品の研究に関する配信へのものです。「酪農家はまだ夢がある生産資源を生産している」という感想に、川上さんは酪農の伸びしろを改めて語ります。

ただし、牛乳はいらない、他のものを食べればいいと言ってしまえば、その可能性もなくなってしまうと危機感を示します。1日に一定のペースで酪農家が減り続けている現状があるからです。

もう日本に酪農がなくなってしまう、そんなことになってしまったら、本当に海外からまで輸入しなきゃいけなくなったりしまいますよ。 ── 川上

牛乳が病気を治すことに活躍する可能性もまだ未知数だとして、川上さんはこの配信を聞いてほしいと訴えます。酪農の存続そのものが、未来の可能性とつながっているという主張です。

品種改良された食べ物は「本来誰のもの」か

メイプルさんからは、「生乳は本来子牛のもの?」という配信にもコメントが来ました。北欧では乳糖不耐症の割合が国民の約5パーセントらしく、長い歴史の中で牛が人間を変化させてきたとも言える、という視点です。

乳糖不耐症 牛乳に含まれる乳糖をうまく消化できず、お腹がゴロゴロしたり下したりする体質です。地域や民族によって割合が大きく異なり、牛乳を飲む文化が長い地域ほど少ない傾向があるとされます。

川上さんはこれを受けて、今食べている食べ物の多くは品種改良されたものだと強調します。バナナやトマト、ナス、キャベツの原種を見ると、とても同じものとは思えないと語ります。

川上 今それは人間が食べるものじゃないぜって言って食べるのはどうなのかなって思いますよ。

そのうえで、いろんな考え方があるので否定はしないけれど、押し付けないでほしいと川上さんは述べます。食べたい人は食べればいいし、食べたくない人は食べなければいい、という姿勢です。

海外の牛乳でお腹を壊す理由へのコメント

TikTokのたこ焼きさんからは、「アメリカの4リットル牛乳がお腹で緩くなる理由」という動画に「そんなことないな」というコメントが来ました。たこ焼きさんはアメリカ在住のようです。

この配信では、海外で牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするのに日本ではしにくい、という話をしていました。川上さんは、体質や環境、牛乳のメーカーや加工の仕方によって差があり、一概には言えないと補足します。

自身は海外に行ったことがないため、海外在住の人からの情報がありがたいと川上さんは呼びかけます。実体験からの声が、配信の内容を補ってくれる場面です。

「生乳100%」の表示から見る乳製品の奥深さ

TikTokのハチさんからは、生乳の表示に関するスライド投稿に「乳製品の奥深さを感じる」というコメントが来ました。裏の表示表をしっかり見ると牛乳や乳製品が面白くなる、という内容の投稿です。

川上さんは、値段やパッケージだけでなく成分表示を見てほしいと話し、特にアイスクリームは分かりやすいと勧めます。秋の新フレーバーが出るこの時期に見比べてみるのも面白そうです。

さらに、川上牧場の生乳を使ってジェラートショップが商品を開発中だという情報も明かしました。詳しい情報は公式LINEで伝えるとのことです。

牛乳は“子牛から奪っている”のか

最後は、Threadsのカットミローズさんからのコメントです。「牛乳は本来子牛のもの」という配信への意見で、この回の中心的な論点になります。

コメントの要旨は、果実や種子は動物に食べられて運ばれることで繁栄するが、牛はそうではなく、その言説は強引で、子牛から奪っていい理由にはならない、というものでした。

カットミローズ その言説はかなり強引すぎますし、本来の受益者である子牛から奪っていいという理由にはなり得てないと思います。

これに対し川上さんは、そもそも「子牛から奪っている」という内容で配信をしているわけではないと説明します。ここが受け止め方のすれ違っている点です。

川上さんによれば、子牛が最大限飲める状況にしても1日平均で15リットルほど、今の牛が出す量は1日30リットルほどだといいます。その差の15リットルを人間がいただいている、という考え方です。

この差額の15リットルを人間がいただいている、飲んでいるということなんで、奪っているという形ではないということですね。 ── 川上

さらに川上さんは家畜化そのものにも触れます。キツネなどを長く飼うと、耳の先が丸くなり顔が穏やかになるといった変化が起こり、動物側も飼われるために進化してきた面があると説明します。

家畜化 野生の動物を人間が長期間にわたって飼い、選抜を重ねて人間と暮らせるように変えていく過程です。見た目や性質が穏やかに変化することが知られており、キツネを使った研究が有名です。

長い時間をかけた家畜化を「生物学的におかしい」と元に戻すのは、これまでの成果を全部ひっくり返すことになる、と川上さんは考えます。そのおかげで人間の食生活や生活が豊かになっている面があるからです。

最後に川上さんは、コメントにあった「現代社会に組み込まれた構造」という表現に触れ、スマホでアプリを使って返信している時点でその構造の中にいるのでは、と穏やかに問い返しました。

まとめ

台風の風の中で届いた日曜のコメント返しは、給食の牛乳離れから未来の酪農、そして「牛乳は本来誰のものか」まで幅広く展開しました。川上さんは押し付けを避けつつ、事実と考え方を丁寧に分けて答えています。

  • 給食で牛乳を飲めない子が増えており、川上さんは無理強いに反対しつつ長期的な栄養面も伝えている
  • 地下飼育やゼブーなど、土地・気候・電気の制約を見据えた未来の酪農の話題が出た
  • 自動給餌機や搾乳機は「もう一人の働き手」であり、壊れたら酪農が止まる命綱だと語られた
  • 牛が1日に出す約30リットルのうち、子牛が飲む約15リットルを超えた差を人間が得ているという説明で、「奪っている」という見方に応じた
  • 品種改良や家畜化を踏まえ、「本来誰のもの」という問いには一つの答えを押し付けない姿勢を示した