なぜバターだけ値上がるの?──牛乳と乳脂肪の“仕組み”を完全解説
2025-11-13 配信|川上牧場 酪農データバンク
#バター #乳脂肪 #副産物 #需給バランス #脱脂粉乳 #価格制度
要約
「牛乳は価格が安定しているのにバターばかり値上がりするのはなぜ?」というスプーンからの質問に川上牧場が答える回。飲用牛乳は生活必需品として価格を安定させる仕組みが国レベルで働くが、バターは牛乳を作った後に余る乳脂肪から作られる副産物。生クリームや洋菓子で乳脂肪需要が増える一方、国内生産量は減り、慢性的な脂肪不足が価格を押し上げる。バター1キロに牛乳20〜25リットルが必要で、工場ラインの制約や在庫変動、輸入バターの影響も大きい。脱脂粉乳の余剰やポンドバターなど流通の裏側にも触れ、需給をリアルタイムに可視化する仕組みづくりを提案する。
要点
- 飲用牛乳は生活必需品に近く、価格変動を抑え在庫を切らさない仕組みが国レベルで働くため安定して見える。
- バターは飲用牛乳を作った後に余った乳脂肪を集めて作る副産物で、メイン商品ではない。
- 生クリーム・洋菓子・パン・外食で乳脂肪需要が増える一方、国内生乳生産量は減り慢性的な脂肪不足に陥っている。
- バター1キロを作るのに牛乳20〜25リットルが必要で、飲用が優先されるためバターに回る脂肪が不足しやすい。
- バターは在庫が少し減るだけで価格が乱高下し、製造ラインの増設に数十億〜百億円規模の投資が要るなど供給が硬直的。
- バター製造では脱脂粉乳が大量に発生し在庫が積み上がりやすく、餌に回すと酪農家の手取りが下がる副作用もある。
こんな質問に答えています
- 牛乳は値段が安定しているのに、なぜバターだけ値上がりするのですか?
- 飲用牛乳は生活必需品に近く価格を安定させる仕組みが働きますが、バターは牛乳を作った後に余る乳脂肪から作る副産物だからです。乳脂肪の需要が増える一方で国内生産は減っており、慢性的な脂肪不足が価格を押し上げます。
- 牛乳をたくさん絞ればバター不足は解消しませんか?
- 簡単ではありません。バター1キロに牛乳20〜25リットルが必要なうえ、日本では飲用向けが優先されます。飲む人が減っているのに乳脂肪だけは欲しいというアンバランスな構造が続いているためです。
- バターを作った後に残る液体はどうしているのですか?
- 脂肪を取り除いた脱脂粉乳になります。粉末にしてヨーグルトや加工品に使われますが、牛乳1リットルからバターは40グラム程度しか取れず残りは大量の脱脂粉乳になり、在庫が積み上がりやすいです。餌に回すと酪農家の手取りが下がる問題もあります。
- 無塩バターの方が有塩バターより高いのはなぜですか?
- 塩を加えると水分が抜けて歩留まりが良くなり、保存性も上がって賞味期間が長くなるため流通しやすく、有塩バターは比較的安くなります。無塩バターは賞味期間が短いぶん価格が上がりやすいのです。
配信の全文
こちらは、島根県出雲市にある、小さな牧場から配信しています。
スーパーやコンビニ、皆さんがいつでもどこでも買うことができる牛乳。
普段飲んでいる牛乳の魅力や、楽能の魅力を楽能家がお話しする放送となっております。
牧場の日常や牛の鳴き声を聞きながら、お手元に牛乳、ホットミルクを準備して聞いていただくと、より美味しい牛乳を味わうことができると思います。
牛乳のむ牧場配信始まりです。牛乳で乾杯!
おはようございます。今日が11月14日の金曜日です。今日の天気は晴れです。最高気温は19℃です。午後から雨が降ります。
今日のお仕事は、明日の土曜日にミルクフェスイントヨスに行きます。出張に行かないといけないので、午前中のうちに全ての仕事を片付けていきます。
昨日、牛(子牛)が生まれました。牛の購入や、ワクチンや、出生届出しなどをやらないといけないです。ヘルパーさんが来て引き継ぎの打ち合わせをするので、それの対応をしています。ロールを運んだり、退避を運んだり、退避者のスペースを空けたり、そういうことをやってバタバタしようと思っています。
今週は毎週恒例の生態(整体)の日です。身体を鍛えて、ミルクフェスイントヨスに向かいます。
今日の配信は、またリスナーの皆さんから質問が来ました。今日の質問は、バターについてです。
牛乳の値段ってあまり変わらない気がするけど、バターってめっちゃ値上がりとかしてるじゃないですか。そんな質問が来ているので、その質問にお答えしていこうと思います。
今日も10分、15分くらいの配信していこうと思いますので、牛乳を飲みながら最後まで聞いていただけたらと思います。よろしくお願いします。
では、今日も皆さんと一緒に牛乳で乾杯していこうと思います。
その前にお知らせです。川上牧場ノートというブログとか記事を書いたりするアプリで、メンバーシップを行っております。このメンバーシップのプランの中に、楽能業界向けのプラン、名付けてファームエコーというプランを作りました。楽能業界にある問題、悩み、課題をヒアリングシートに記入していただくだけで、あっという間にAIと川上がタッグを組んで解決していきます。
あとインスタグラムの方で貼っております、ハッシュタグ未来の牛乳と称しまして、皆さんのこんな牛乳あったらいいな、こんな牛製品食べてみたいなというものを、AIアートを使ってNFTにして販売しております。こちらのNFTの売上は川上が子供食堂に牛乳を支援したりだとか、小中高の食育活動に参加した際の活動費に当てさせていただこうと思っております。
ということで、今日も皆さんと一緒に牛乳で乾杯していきます。乾杯!いただきます。美味しい!
今日も牛乳飲んでいただいてありがとうございます。
川上牧場は、牛乳だけではなく、乳牛に黒毛和牛の受精卵を移植して、代理母出産みたいな感じで黒毛和牛を増産するような取り組みです。今は一般的なラグ農家さんでもどんどん増えてきてはいるんですけれども、それを自家育成というか、自分のところで牧場で和牛を育ててみたいなことをやっています。なんと、今ランキングの方でも上位の島根県の州牛、秋の富士っていう牛がいるんですけど、それの孫がちゃんと生まれたということで、めちゃめちゃ嬉しいです。めっちゃデカかった!
今、子牛が大きくて、難産になる牛が多いんで、それを回避するための牛と思って作っていっているところなんですけど、ちょっとデカかったです。
ということで、今日も皆さんからの質問に答えるお便りのコーナーをやっていこうかなと思います。
今日の質問はスプーンという配信アプリから来ておりますスプーンネームハーヴィーさんからの初コメでございますね。ありがとうございます。初質問。
質問です。牛乳は割と価格が安定しているイメージですが、バターがよく値上がりしているのはなぜなのでしょうか?という質問が来ております。
ありがとうございます。そうですね。実際、酪農家のところですね、加工牛乳化って言うんですけども、また後でお話ししますけども、値段が上がっているんですよ。酪農家から引き取る、酪農家から買い取る値段も上がっているということで、それが価格に反映している部分もありますけれども、じゃあこの価格ってどういう風に決まっているのかなっていうところを詳しく調べてきましたので、お伝えしていこうかなと思います。
まず、牛乳は安定しているように見える理由ですね。日本の飲用牛乳、そのまま飲む牛乳のことですね。毎日スーパーに並んで当たり前の食品ですね。そのため、価格変動を抑える、在庫を切らさないという方針が国レベルで強く働きます。飲む牛乳は生活必需品に近いので、価格が乱高化しないように仕組みが作られているというところが理由じゃないかなというところですね。
一方、バターは余った脂肪で作られる食品です。ここが一番の大事なポイントです。牛乳というのは、水、乳糖、タンパク質、乳脂肪がセットになった原料です。そして日本の乳業は最優先で、飲用牛乳、成分無調整牛乳を最優先で作るのが乳業の目的ですね。バターはどう作られるかというと、飲用牛乳を作った後の余った乳脂肪を集めて作られます。つまりバターはメインの商品ではなく、副産物から作られる。これが全ての根っこにあります。
牛乳の生産量は年々減っています。一方で生クリーム、洋菓子、パン、外食の需要は増えています。つまり乳脂肪の需要は増える中、国内生産量は減っているというようなギャップがあります。ずっと脂肪が足りない状態ですね。バターは乳脂肪の塊ですから、不足イコール価格上昇という構造が生まれていきます。
じゃあ牛乳をいっぱい絞ればいいじゃん、と思うかもしれませんね。でもそこに落とし穴があります。牛乳を1リットル絞るときに乳脂肪の割合は3.5%から4%程度。皆さんが買っている牛乳の裏の表示表を見てみてください。つまりバター1キロを作るのに、牛乳が20リットルから25リットルも必要なんです。
だけど日本では、飲用向けの牛乳が優先されます。つまり飲む人が減っているのに、乳脂肪、バターだけは欲しいというアンバランスな構造が続いているのです。
さらに価格の仕組みの違いがバターの高騰を生んでいきます。牛乳は飲用向けは価格を急に上げられません。制度で安定させている部分があります。牛乳は毎日作って毎日売られる商品です。一方、バターは在庫が少しでも減ると価格が乱高化します。輸入品は限定的になっています。需要の変動が直撃するという側面もあります。製造ラインを自由に増やせない乳業工場の枠が決まっている。バターを作れる乳業工場が限られているということですね。つまり牛乳は安定供給の商品で、バターは不足するたびに価格が変動する商品となっています。
では、なんで慢性的に不足が続くのかという理由が3つあります。1、日本は乳脂肪を増やしにくい家畜使用構造となっています。夏の暑さが長いという、今年も5月から10月までずっと暑かったです。あとは、飼料を輸入しているという部分もあります。素脂量(粗飼料)不足。乳脂肪を上げるためには草が豊富に必要ですので、ここら辺が不足している。牛の乳脂肪率が落ちやすいという部分があります。第2、工場の処理能力が上限に近いということです。乳業工場は急に脂肪だけ倍作れない状態です。バターのラインを増設するには、数十億から百億円規模の投資が必要で、すぐにはできない。第3、消費動向の変化が激しい。パン、スイーツ、外食のクリーム、これらが一気に伸びたが、生産は追いつかない。皆さんがテレビを見て、美味しそうって言ってすぐ買っちゃったりとか、もう飽きたわって言って買わなくなったりとか、こういうところに影響を受けやすいというところですね。
結論を一言で言うと、牛乳は優先して安定供給する商品です。バターは牛乳が余った、脂肪分が余った時にだけ作れる商品です。日本はそもそも脂肪が足りていない国というところがあります。だから牛乳は安定していて、でもバターは値上がりが起きるという現象が起きてきますということですね。
ではここから未来の話ですね。こういう需要と供給のギャップどうすればいいのか。ここら辺を毎度毎度川上牧場の配信を聞いている方、需要と供給のバランスがリアルタイムに共有されてないというところが難しかったりしますよね。ここら辺をAIを使ったりWeb3を使ったりして、需要と供給のバランス、消費と生産のバランスをリアルタイムに観察するシステム、川上牧場のメタグリ研究所と一緒に作りました。これをやっていきたいなと思っているんですよね。皆さんが普通に牛乳パックの裏の表示表とか、あとはゲームとかで遊びながら消費の動向をリアルタイムに教えていただくと、それが生産現場にも繋がるというようなシステムを作ってみたりしています。これもクラウドファンディングしようか、それともグループで投資を集めようかみたいなことを今一緒に考えているんですけども、なかなか既得権益構造を変えるというのは難しくて、そこら辺も消費者の理解が必要なので、また応援していただけたらと思います。
このバターっていうのも海外から日本の市場を見てみると、牛乳製品を食べて、食品が豊かである程度人口があるということで、日本の消費者にバターを食べてほしい、うちのバターを輸出したいという国は結構いっぱいあって、海外から輸入しているバター、年末とかに緊急的に輸入額を増やしましたみたいなのがあったりしますけど、海外からバターを輸入すれば輸入するほど、日本のバターの市場が圧迫されていくので、海外のバターは加工向け、ポンドバターって一般的に言われるんですけど、20キロぐらいの大きい業務用向けのバターが輸入されています。国産のバター、みなさんがスーパーとかで買われるバターは国内で作られているバターが多いですね。なのでみなさんもポンドバターを家庭で貯蔵できるようなシステムを作っていただくと、これもバランスがとれますね。ポンドバターはどうやって買えるのかと言ったら、ポンドバターで検索すると買えます。ですけど、これを消費者の皆さんがたくさん買ってしまうと海外からの輸入の意欲が増えてしまいますので、海外からどんどん加工のバターが入ってくると国内の楽能化の牛乳の価格が落ちてしまうという側面もありまして、ここらへん本当に難しいというところがありますね。
【質問】そういやいつの頃からか、Twitterで昔は牛丼がいくらでとか、開戸的なポストを目にしますね。いや物価が上がってんすよね。また円安走ってるじゃないですか。なのでポンドバターっていうのもまた価格が上がってますよね。国内でやっぱりある程度一定数安定して作っていくという基盤はやっていかなきゃいけないんですけど、海外から輸入しようが楽じゃん、安いじゃんってなった時に、何か問題があった時に価格が跳ね上がるということがありますね。安定が難しいというところがあったりします。
【質問】バターを作るために脂肪を抜いた後の液体はどうしているんでしょうね。いい質問が来ますね。バターを作る時に絶対だし粉乳(脱脂粉乳)が出るんですよね。脂肪を取り除いたお乳が出るわけですよ。だし粉乳を粉末にして、ヨーグルトにしたりとか、いろいろ加工品にしたりとかね。するんですけど、牛乳1リットルに対してバターが大体40グラム、取れて40グラムですよね。それ以外は全部だし粉乳になるわけです。だし粉乳はどんどん増えてしまうわけですね。なので、だし粉乳を食べてよっていうようなことを言って、だし粉乳の在庫が積み上がってますよって言って、最近は牛の餌にちょっと変えるのをやっていきましょうよみたいなことをしてるんですけど、またここもだし粉乳を餌にしてしまうと一般的に食品として売られたやつより安くなってしまうので、楽能家さんの手取りが下がってしまうというこういう側面がありますね。
【質問】スーパーで見かけるバターは無塩バターの方が高いのはなぜでしょう?塩分を足した方が高くなると思うのですが、という質問が来ますね。こちらも過去の配信で無塩バターと有塩バターの説明もしてるので聞いていただけたらと思うんですけど、脂肪分じゃない水分を取り除くために塩分を足した方がぶどまりが良くなるっていう部分があります。あとは保存性が良くなるというところで、賞味期間が長くなるのでその分在庫がしやすい、流通がしやすいということで、有塩バターの方がちょっと価格が安かったりしますね。無塩バターの方は賞味期間が短いみたいなところがあったりします。保存性化、確かにありがとうございます。納得していただけましたでしょうか。
毎日毎日聞いていただくと、いつも飲んでる牛乳製品が美味しく感じられる配信をやってきますので、ぜひ皆さんコメント質問同士としていただけたらと思います。
とうとう来ました。明日豊洲で行われますミルクフェスin豊洲。全国の楽能業界の皆さんが、楽能家も集まります。牛も来ます。午前中の10時からですね夕方の16時まで、全国の牛乳を飲み比べしたりとか、ヨーグルトを食べ比べしたりとか、そういうのもできます。そして15時半から川上牧場がステージに立ちまして、皆さん子供たちの前で紙芝居を読むというステージがありますので、ぜひお時間ある方はご都合を合う方は来ていただけたら嬉しいなと思います。youtube見ましたと声かけていただけた方にはプレゼントも準備しておりますので、川上個人的にね、ぜひ怖くない感じで話しかけていただけたら嬉しいなと思います。
ということで川上牧場初のKindle本、楽能未経験者のために絶賛発売中でございます。Kindle Unlimitedに登録していただくと500万冊以上が読み放題という中のその1冊が川上牧場の書籍になっておりますので、ぜひこちらも読んでいただけたらと思います。
ということでお仕事の方、学校の方、行ってらっしゃい。みんな牛乳飲んでね。バイバーイ。
川上牧場ではリスナーの皆様からのお便り、ご感想を募集しております。
最後まで配信を聞いていただいてありがとうございます。次回の配信もぜひお楽しみに。