【質問に答えます!】顔面ミルク対策&トウモロコシが無くなったら?🥛⚠️

2025-02-27 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

この回は、酪農未経験のリスナーの搾乳の悩みと、「もしトウモロコシが無くなったら」というユニークな問いに、酪農家の川上さんが具体的に答える内容でした。どちらの質問にも、現場の工夫と酪農のリアルがつまっています。

この回の要点

  • 搾乳で顔にミルクが飛ぶのは、パーラーの高さや牛の乳頭配置、ベッド管理が関係し、最後は慣れも大きい
  • 前しぼり用の専用カップを使えば、顔にかかりにくくできる
  • 今の近代的な酪農では、1頭が1日4万kcalを必要とし、高エネルギーのトウモロコシが支えている
  • トウモロコシが無くなっても、牧草主体や大豆粕・おから・WCS・酒粕などに切り替えて酪農は続けられる
  • ただし、その場合は牛乳の生産量やコストがかなり厳しくなると考えられる

配信の全文(podyの記事より)

今日の牧場は3日連続の晴れ、どんな1日?

配信は、島根県出雲市にある小さな牧場からお届けしています。この日は2月27日の木曜日で、天気は晴れ。3日連続の晴れで最高気温は12度と、動きたくなるような陽気だったそうです。

川上さんはこの日、12時からZOOMのミーティングを予定していて、それまでに作業を終わらせたいと話していました。

先週の寒波で雪解けが多く、堆肥が動かせなかったので、それを動かしたり、液体窒素を入れに行ったりする作業があったそうです。

さらに午後1時からは、川上さんが参加しているJBCN ── 遺伝子組み換え作物に関するネットワーク。番組内では遺伝子培養作物ネットワークと説明されている。海外依存のエネルギーや食料の安定につなげようという活動をしているとされるのセミナーを見る予定だと話していました。

牛乳で乾杯とNFT、番組の楽しみ方

この番組では、毎回「牛乳で乾杯」をするのが恒例です。その前に、いくつかお知らせがありました。

1つ目は、川上牧場のオープニングでも流れている「もう牛乳で乾杯」という曲が、北海道の地上波ラジオで流れたというもの。radikoというアプリで1週間アーカイブが残っているので、聴いてみてほしいと話していました。

川上 川上がですね、ほんのちょこっとね、声が乗ってますんで、ここだ!ってところで聞いてもらえたらうれしいなと思います。

この曲はSpotifyやApple Musicなどでも「もう牛乳で乾杯」と検索すると聴けるそうです。

もう1つは、Instagramでやっている「#未来の牛乳」という取り組みです。こんな牛乳や乳製品があったらいいなというアイデアを、AIアートを使ってNFTにしているとのこと。

NFT デジタルデータに「本物であること」を示す証明をつけたもの。ここでは、AIで作った未来の牛乳のアートに証明をつけて販売し、その売上を活動費にあてる仕組みとして紹介されています。

このNFTの売上は、子供食堂への牛乳支援や、小中高での食育活動に参加した際の活動費にあてるそうです。皆さんのご支援が、子どもたちの未来の牛乳を作っていくという特別なNFTだと話していました。

そして、いつものように牛乳で乾杯。

川上 おいし~い。今日も牛乳飲んでいただいてありがとうございまーす。

搾乳で顔にミルクが飛ぶ、飛ばさないコツは?

ここからはお便りのコーナーです。最初はライトさんという方の質問。ライトさんは最近、酪農未経験から牧場で働き始めたそうです。

質問(ライトさん) 搾乳のとき、機械をつける前に自分の手で絞るのですが、乳首の入り口が自分の方に向いていて、顔に盛大にかけてしまいました。自分の方に飛ばないコツはありますか?

川上さんはまず、牛乳を搾る部屋であるパーラー ── 牛を入れて搾乳を行う専用の部屋。牛の入り方によって、斜めに入るヘリンボーン、タンデム、パラレルなどのタイプがあると説明されているについて説明します。パーラーは酪農家ごとに形が違い、搾り方も変わってくるそうです。

1つ目のポイントは、パーラーの高さ。パーラーを設置するとき、誰がメインで搾乳するかで高さを合わせるため、搾る人の身長に合わない高さだと、顔にかかりやすくなると話しています。

川上 乳搾りする時に顔にかかる高さだったりとかすると、もう頻繁に顔がかかっちゃうんじゃないかなっていうのが予測されたりしますね。

次の対策は、前しぼり用のカップを使うこと。前しぼりは、機械をつける前に手で乳首を絞ってマッサージしたり、病気じゃないかチェックしたりする作業です。

このとき専用のカップに牛乳を取れば、顔にはかからないのではないか、と川上さん。経営主さんに「こういうのがありますよ」と伝えて買ってもらうのが1つの手だと話していました。

そのほかにも、いくつかの対策があげられました。

・乳頭配置がいい牛に改良してもらうよう経営主に頼む

・牛のベッド管理をよくして、乳首にフンがこびりつかないようにする

・最終的には慣れで、向こう側にシュッと絞れば飛んでいかない

川上 結局のところ慣れです。向こうの方にぎゅっとシュッっとやると飛んで行かない。

初心者には少し厳しいかもしれないけれど、こうした方法があると紹介したうえで、実際に試した結果や、酪農関係者の「あるある」なコメントも待っていると呼びかけていました。

もし世界からトウモロコシが無くなったら酪農はできる?

2つ目はレイニーさんからの質問です。

質問(レイニーさん) もし世界からトウモロコシが無くなったら、酪農はできますか?

川上さんは「考えたことがなかった」「面白い質問」と受け止めつつ、丁寧に答えていきます。

まず前提として、山地酪農や放牧酪農のように、トウモロコシをまったく使わずに酪農をしている人もいるそうです。世界各国でもトウモロコシなしで牛を飼っているところがあります。

そのうえで川上さんは、今の近代的な、1頭あたり年間で万キロの牛乳を出すような牛を、トウモロコシなしで飼うにはどうするか、という角度で考えていきました。

トウモロコシの何がいいかというと、澱粉 ── でんぷん。米やイモなどにも含まれる、エネルギー源になる成分。トウモロコシは澱粉が多く、エネルギーがとても高いと説明されているが多くてエネルギーがとても高い点です。

1日に30キロの牛乳を出す牛の、1日の要求カロリーは4万kcalと言われているそうです。これを維持するには、トウモロコシくらい高エネルギーのものが必要になります。

川上 4万kcalがないと牛が飼えないですよ。それを維持するためには、やはりトウモロコシぐらい高エネルギーのものがないとやっていけないんじゃないかな。

このトウモロコシは、日本国内ではほとんど作られておらず、アメリカやブラジルから輸入しているのが日本の酪農のスタイルだといいます。

では、川上牧場のようなやり方でトウモロコシがなくなったらどうするか。川上さんは、牧草主体の経営スタイルに変えるしかないだろうと話します。

具体的には、チモシーやアルファルファといった高成分の牧草を増やす方向。ただし購入すると高く、乳量も落ちてしまうという難しさがあります。

そこで、大豆粕やおからのようにタンパク質とエネルギーがあるものを使う案も出ました。近くの醤油会社などから食品残渣としてもらっているものを増やす、という考え方です。

さらに、澱粉が多いWCS ── お米を使った飼料。ここでは、トウモロコシほどではないものの澱粉が多い飼料として紹介されているの量を増やしたり、ビールかすや酒粕でエネルギーを補ったりする方法もあげていました。

川上さんの結論は、トウモロコシが消えても、酪農業界はそれに合わせた牛の飼養管理に変わっていくだけだというもの。ただし牛乳の生産量やコストは、かなり厳しくなるだろうと話していました。

トウモロコシが世界から消えてしまったら、酪農業界はそれに合わせた牛の飼養管理に変わっていくだけ。 ── 川上

災害や干ばつ、大量発生した害虫でトウモロコシが全滅した地域が実際にあることにも触れ、そうした事態がもっと増えれば、トウモロコシが無くなる世界線もあるかもしれないと語っていました。

ヘリンボーンって何?県職員の研修生も登場

コメントへの返しの中で、川上さんはいくつかの補足をしています。まず、先ほど触れたJBCNは「セミナー」ではなく所属している団体の名前だと訂正しました。

JBCNは、日本では作れない遺伝子組み換えのトウモロコシやお米を作って食料の安定につなげたり、遺伝子組み換え作物からバイオエタノールを取って海外依存のエネルギーを変えていこうとしたりするネットワークだそうです。この日はそのネットワークが主催ではないものの、参加するセミナーがあると説明していました。

また、川上牧場のパーラーはヘリンボーンではないとのこと。

川上 ヘリンボーンってサンマの骨だかイワシの骨っていう意味があって、斜めに入る形のやつですね。

最後に、今は県職員の新人研修を受け入れていることも紹介されました。1つ前の配信で研修生と話しているので、それを聴いて「頑張れ」や、なぜ県職員になったのかといった質問をコメントで送ってほしいと呼びかけて、この日の配信を締めくくっています。

まとめ

この回は、酪農未経験のリスナーの搾乳の悩みと、「もしトウモロコシが無くなったら」というユニークな問いに、酪農家の川上さんが具体的に答える内容でした。どちらの質問にも、現場の工夫と酪農のリアルがつまっています。

  • 搾乳で顔にミルクが飛ぶのは、パーラーの高さや牛の乳頭配置、ベッド管理が関係し、最後は慣れも大きい
  • 前しぼり用の専用カップを使えば、顔にかかりにくくできる
  • 今の近代的な酪農では、1頭が1日4万kcalを必要とし、高エネルギーのトウモロコシが支えている
  • トウモロコシが無くなっても、牧草主体や大豆粕・おから・WCS・酒粕などに切り替えて酪農は続けられる
  • ただし、その場合は牛乳の生産量やコストがかなり厳しくなると考えられる