急成長するインド市場で日本の乳製品が輝く!
2025-01-22 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
今回の配信は、成田ゆめ牧場のインド進出ニュースを入り口に、日本の乳製品の品質、海外展開の意味、そして消費者が本当に望むものまでを、川上さんが自身の体験を交えて幅広く語る回になりました。
この回の要点
- 成田ゆめ牧場は、乳製品需要が高まるインドで現地生産・農家支援・社会貢献の3本柱で進出を目指している
- 日本の牛乳やチーズは品質が高く、海外でも評価されており、川上さんはその手応えを感じている
- インドは政策転換をきっかけに牛乳の生産量が世界一位規模に伸びており、近代的な酪農と昔ながらの酪農が混在している
- アメリカのTPP離脱の一方で、日本はインドやグローバルサウスとの貿易ルートを築きつつある
- 国産か海外産かではなく、消費者が本当に望むのは乳製品の安定供給ではないか、と川上さんは問いかけている
配信の全文(podyの記事より)
今日の牧場は採卵からスタート
配信は、川上牧場のある島根県出雲市の朝の様子から始まります。この日は1月22日の水曜日、天気は晴れで、最高気温は12度くらいになりそうとのことでした。
川上さんのこの日の仕事は盛りだくさんです。2か月ほど前に分娩した和牛から採卵をおこなう予定で、有名な種を使って何個取れるかを楽しみにしていました。
そのほかにも繁殖検診、堆肥を運ぶ作業、籾殻を取りに行く用事があり、昼間には確定申告の準備も少しずつ進めるという、バタバタした一日になりそうだと話します。
採卵 牛の受精卵を体内から採取する技術のこと。優れた母牛から複数の受精卵を取り出し、別の牛に移植することで、良い血統の子牛を効率よく増やせます。
noteのメンバーシップと未来の牛乳の取り組み
乾杯の前に、川上さんから2つのお知らせがありました。1つ目は、ブログなどを書けるアプリnoteでやっている「川上牧場メンバーシップ」です。
このメンバーシップは、川上牧場を継続的に応援したい人や、牧場と一緒に新しいことをやってみたい人に向けたもの。ZOOMを使ったオンライン牧場体験や、直接牧場に来ての餌やり体験などができるそうです。
2つ目は、Instagramでやっているハッシュタグ「未来の牛乳」の取り組みです。「こんな牛乳あったらいいな」というアイデアをAIアートにし、それをNFTにして販売しています。
このNFTの売り上げは、子ども食堂への牛乳支援や、小中高での食育授業の活動費に充てられるとのことでした。
NFT ブロックチェーンという技術を使って、デジタルデータに「本物であること」の証明をつけたもの。デジタルアートなどを唯一無二の資産として売買できる仕組みです。
成田ゆめ牧場がインドに進出するニュース
この日のメインは、AIがまとめたニュースの紹介です。取り上げたのは、ジジドットコムの「千葉老舗牧場インド進出へ 乳製品需要に着目、社会貢献も」という記事でした。
成田ゆめ牧場は創業130年以上の歴史を持つ老舗牧場です。今回のインド進出の背景には、急速な経済成長と人口増加にともなって乳製品の需要が高まっているインド市場の可能性に着目したことがある、と記事は伝えています。
いまインドでは牛乳やヨーグルト、チーズなどの消費が増えていて、品質や衛生面への意識も高まっているそう。そこに日本の高い酪農技術と品質管理を提供し、信頼を築くことを目指しているといいます。
記事によると、取り組みは大きく3つあります。現地での乳製品の生産と販売、現地農家との協力による技術指導や経営支援、そして雇用創出や安定供給を通じた社会貢献です。
成田ゆめ牧場のインド進出の3つの柱
現地生産・販売
インド国内で牛乳や乳製品を生産し、現地での流通を拡大する
↓
現地農家との協力
農家と連携して酪農技術の指導や経営支援を行い、地域経済を活性化する
↓
社会貢献
雇用創出や乳製品の安定供給を通じて地域に貢献する
記事の最後には、成田ゆめ牧場の秋葉社長のコメントも紹介されていました。国外進出で結果を出して見せたいと意欲を示し、インドで日本の酪農家と協業する構想も描いているそうです。
川上 中央酪農会議は前向きな明るい話題だと話しているということで。
中央酪農会議 全国の指定生乳生産者団体などで構成される、日本の酪農・牛乳乳製品に関する取り組みを進める団体です。
日本の牛乳や乳製品はなぜ評価される?
川上さんは、日本の乳製品の品質の高さに話を広げていきます。インバウンドで日本に来た海外の人が、コンビニで牛乳を買っていくケースも多いのだそう。
川上 こんなにおいしい牛乳がこんなに安い値段で日本で手に入るみたいなね、言われたりとかしてます。
中国からの観光客が牛乳を端から端まで買っていき、棚が空っぽになったというニュースもあったと川上さんは振り返ります。それだけ日本の牛乳の質と価格のバランスが注目されているようです。
チーズについても、国産のチーズをヨーロッパのコンテストに出すと入賞することがあるそう。日本の乳製品の品質は高いという手応えを、川上さんは感じています。
なぜインドで牛乳の生産量が急増したのか
続いて川上さんは、進出先であるインド市場そのものに目を向けます。インドは人口が世界一位で、これからの経済発展も見込まれ、牛乳の生産量も世界一位になってきているといいます。
もともとインドでは、牛は神聖な生き物とされ、家畜にするという概念があまりなかったそう。それが政策の転換で牛を生かしていく方向にシフトしたところ、一気に牛乳の生産量が伸びた流れがあったと説明します。
インドと牛 ヒンドゥー教では牛は神聖な存在とされ、大切に扱われてきました。一方で、その牛から得られる牛乳やヨーグルトは食文化に深く根づいており、乳製品の消費と生産が世界有数の規模になっています。
トランプ政権とグローバルサウスをつなぐ日本
川上さんは、このニュースを国際情勢の流れの中でも読み解きます。アメリカの大統領がトランプ氏に代わり、アメリカファーストの保守政策が取られる中で、アメリカはTPPからも抜けました。
TPP 環太平洋パートナーシップ協定のこと。太平洋を囲む国々が関税をなくすなどして貿易を活発にしようとする経済連携の枠組みです。
一方で日本は、インドとグローバルサウスを結び、貿易でつなぐルートをつくったと川上さんは指摘します。成田ゆめ牧場のニュースは、その流れの中に位置づけられるといいます。
グローバルサウス 主にアジア・アフリカ・中南米などの新興国・途上国を指す言葉。近年、経済的にも政治的にも存在感を増しており、日本もこれらの国々との連携を強めています。
グローバルサウスの締結が1年ほど前にあり、乳製品の輸出入の話が出てきたところで、すでに商社が入って現地を支援するニュースも出ていたそう。川上さんは、その流れが動き始めたのがこのニュースだと見ています。
川上 その流れがね、今、成功してるというか、動き始めたんだなっていうような、そんなニュースになりますね。
国産か安定供給か、消費者が本当に望むもの
川上さんは、海外での現地生産にはメリットもあると考えています。アメリカから輸入飼料を買って国内で生産するより、インドで日本に合わせた乳製品を作って輸出したほうが、安定供給につながる面があるといいます。
ただし、この見方には難しさもあると川上さんは正直に語ります。国内の酪農家は反対するだろうし、酪農家が減ってしまうかもしれない、という点です。
それでも、日本の国民にとってはおいしい乳製品をいつでもどこでも食べられることにつながる、とも話します。ここら辺をどう考えるかが悩ましいところだと投げかけました。
インドの酪農のリアルと川上さんの体験
川上さんは、以前来ていた研修生の縁で、インドで農業をやっている経営者とLINEで話したことがあるそうです。その人は日本人向けの語学留学の受け入れホテルも経営していて、日本の酪農技術を教えてほしいと言ってきたのだとか。
話を聞いて川上さんが感じたのは、インドの広さと文化の違いです。北米のようにパーラーで牛を1頭1頭管理し、大量に乳製品を作る場所もある一方で、庭先で牛を飼って手搾りをしているところもあるといいます。
川上 同じ国なのかって思うぐらい技術レベルが違って、まあ衛生レベルも違いますしね。
さらに川上さんは、YouTubeで見て衝撃を受けた飼い方も紹介します。牛が神聖な生き物なので、みんなが牛用の残飯を家の前に置き、それを牛が食べて牛舎に帰り、その乳を人間が飲む、というものでした。
インドの酪農に見られる2つの姿
近代的な酪農
北米のようにパーラーで牛を1頭ずつ管理し、大量に乳製品を作る
VS
昔ながらの酪農
庭先で牛を飼い手搾りをする。街を歩く牛が家の前の残飯を食べる姿も
パーラー 牛の乳を搾るための専用の設備・場所のこと。多くの牛を効率よく、衛生的に搾乳できるように整えられています。
日本の技術がインドに入る意味と川上さんの夢
川上さんは、昔ながらの飼い方をしているところに日本の技術が入る意味は大きいと考えています。かつては日本も川の水で牛乳を冷やしていた時代があり、今の酪農の形になってからまだ50年ほどだといいます。
だからこそ、そこにグッと舵を切ると世界に与える影響も違ってくる。日本の人が技術指導に入るのは前向きで明るいニュースだと、川上さんは受け止めています。
そして川上さん自身も、海外への憧れを口にします。若い人がこれに続いてほしいという期待とともに、自分も昔ながらの酪農をバリバリやってみたいと語りました。
もう川上も行きてえもんな、海外。 ── 川上
配信中には、リスナーからグローバルサウスに関するコメントも届き、川上さんは日本が主導する広域的な貿易として期待を寄せていました。
安く買い叩かれる国産、消費者が直視すべき現実
最後に川上さんは、日本の農産物をめぐる現実にも触れます。日本の生産物は質が高いのに安く買い叩かれる、という悩みです。
たとえばキャベツは国産が高いため、海外産を多く輸入しているそう。お米も関税がかかりながら民間で輸入されている状況があると指摘します。
そのうえで川上さんは、消費者が本当に望んでいるのは国産か海外産かではなく、まず安定供給ではないかと問いかけます。
川上 乳製品で国産選んでくださいって声高に言っても、結局消費者の方は現実的にね、どうなのかっていうところをやっぱり直視しないといけないかな。
まとめ
今回の配信は、成田ゆめ牧場のインド進出ニュースを入り口に、日本の乳製品の品質、海外展開の意味、そして消費者が本当に望むものまでを、川上さんが自身の体験を交えて幅広く語る回になりました。
- 成田ゆめ牧場は、乳製品需要が高まるインドで現地生産・農家支援・社会貢献の3本柱で進出を目指している
- 日本の牛乳やチーズは品質が高く、海外でも評価されており、川上さんはその手応えを感じている
- インドは政策転換をきっかけに牛乳の生産量が世界一位規模に伸びており、近代的な酪農と昔ながらの酪農が混在している
- アメリカのTPP離脱の一方で、日本はインドやグローバルサウスとの貿易ルートを築きつつある
- 国産か海外産かではなく、消費者が本当に望むのは乳製品の安定供給ではないか、と川上さんは問いかけている