新時代のミルク?! 牛を使わない製造技術

2025-01-26 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

日曜のまったり配信で語られたのは、牛に頼らず細胞培養でミルクを作るドイツ企業セナラの技術でした。メリットも課題もありながら、未来の食品として広がる可能性を、酪農家の視点でやさしく紹介する回になっています。

この回の要点

  • ドイツ企業セナラは、細胞培養で牛に頼らずミルクを作る技術に成功したとされる
  • 通常なら約2年かかる、牛を育てて出産させるまでの工程をスキップできるのが特徴
  • 乳糖フリーやA2ミルクを作りやすく、水や電気などのリソースを抑えて環境負担も減らせる
  • 一方で、まだ法的に認可されておらず、倫理面の議論や価格の高さといった課題が残る
  • 川上牧場ではメンバーシップや「未来の牛乳」NFTなどの取り組みも行っている

配信の全文(podyの記事より)

日曜のまったり配信、今日の牧場のお仕事は?

配信は川上牧場の川上さんが、1月26日の日曜日の朝からスタートします。この日の天気は曇りですが、暖かめの一日だったそうです。

日曜日といっても牧場のお仕事は続きます。この日は堆肥の注文が引き続き多く入っているため、堆肥を運んだり、前日に手が回らなかった子牛の牛舎の掃除をしたりする予定だと話されています。

川上 日曜日なんで本当は仕事したくないですけれども、明日はおがくずも集めないといけないですし、ちょっとミーティングもあったりするんで

来週は会議もあるということで、日曜日のうちに片付けてしまおうという流れです。この日も10分から15分ほどの配信でお届けします。

乾杯の前に、川上牧場のメンバーシップと「未来の牛乳」の話

牛乳で乾杯する前に、川上牧場の取り組みが2つ紹介されます。1つは、ブログアプリのNOTEで運営しているメンバーシップです。

このメンバーシップは、川上牧場を継続的に応援したい人や、一緒に新しいことをやってみたい人向けのもの。オンラインでの牧場見学や食育活動、実際に牧場に来ての牧場体験ができるほか、これまでの有料記事も読み放題になるそうです。

メンバーシップ ファンが月額などで継続的に発信者を応援する仕組みのこと。会員限定のコンテンツや体験が用意されていることが多いです。

もう1つが、Instagramでやっている「ハッシュタグ未来の牛乳」の取り組みです。「こんな牛乳あったらいいな」という声を川上さんがAIアートにして、NFTとして販売しています。

このNFTの売上は、子ども食堂への牛乳の支援や、小中高での食育活動の活動費に充てられるとのこと。リスナーの支援が子どもたちの食につながる仕組みになっています。

NFT デジタルデータに「これは本物」という証明をつけて、ひとつの作品として売買できるようにした仕組み。ここではAIアートがその対象になっています。

今日のニュースは「牛を使わないミルク」

乾杯のあとは、AIがまとめたニュースの紹介です。この日取り上げるのは、乳製品生産のあり方をあらためて考えるという内容で、牛に頼らず細胞培養でミルクを開発するドイツ企業セナラの記事です。

その前提として川上さんが説明するのが「細胞農業」です。日本ではまだ販売されていないのでなじみが薄いですが、細胞を培養して食品を作る技術のことです。

細胞農業 動物そのものを育てるのではなく、細胞を取り出して培養し、お肉やミルクなどの食品を作る技術のこと。培養肉や培養乳製品などがこれにあたります。

たとえば牛や鶏、魚の細胞をシャーレのような容器に入れて培養し、小さかったお肉が大きくなっていくようなイメージです。日本ではまだ少ないものの、シンガポールや中国、アメリカなどでは、こうした細胞農業で作った食品がハンバーガーやナゲットとして販売されることも増えていると紹介されています。

2年かかる工程をまるごとスキップ?セナラの技術

今回の主役、ドイツのスタートアップ企業セナラは、細胞培養技術を使ったミルクの開発に成功したとされています。川上さんが面白いと語るのが、その工程の違いです。

普通の牛乳は、当然ながら牛から搾ります。しかも子牛から育てて、1年ほど経ってから種付けをし、そこからさらに大きくして出産して、やっと牛乳ができるまでには約2年かかると説明されています。

川上 これがですね、このプロセスをスキップして、牛に頼らずにミルクを作り出せるという、そういう技術ですね。

つまりセナラの技術は、牛を育てて出産させるまでの工程をまるごと飛ばしてミルクを作るという発想だ、というわけです。

通常の牛乳とセナラのミルクの違い

通常の牛乳

子牛を育て、種付けして出産させ、牛乳ができるまで約2年かかる

↓

セナラのミルク

その工程をスキップし、細胞培養で牛に頼らずミルクを作る

乳糖フリーやA2ミルクも作れる?培養乳製品のメリット

培養乳製品のメリットとして、まず川上さんが挙げるのが「乳糖フリー」のミルクを簡単に作れる点です。乳糖は、飲むとお腹がゴロゴロしたり、アレルギーの原因になったりすることがある成分です。

川上 乳糖不耐症とかのね、牛乳製品食べたらお腹ゴロゴロしちゃうなっていう人はこれで解決できるという。

乳糖不耐症 牛乳などに含まれる乳糖をうまく消化できず、飲むとお腹がゴロゴロしたり下したりしてしまう体質のこと。

もう1つが、川上さんの配信でよく登場するA2ミルクです。お腹がゴロゴロしにくいとされるA2タンパク質を持つミルクも、培養乳製品で作れるそうです。

A2ミルクは健康志向の人によく売れていて、最近では近所のスーパーでも売り始めるなど、少しずつ普及してきていると話されています。

培養乳製品で作りやすい2つのミルク

乳糖フリーのミルク

お腹がゴロゴロする原因やアレルギーの元になる乳糖を減らせる

VS

A2ミルク

お腹がゴロゴロしにくいとされるA2タンパク質を持つミルク

環境への負担が少ない「未来の食品」

培養乳製品のメリットは、ミルクそのものだけではありません。環境への影響が少ないとされている点も大きいと紹介されます。

牛はゲップを出したり、堆肥やおしっこを出したりしますし、たくさんの水を飲みます。さらに乳搾りの機械を動かすには電気が必要で、その電気を作るために石油や石炭を燃やすなど、多くのエネルギーが使われています。

細胞培養を使えば、こうしたリソースを大幅に節約でき、環境への負担を減らしながらミルクが手に入るということで、まさに未来の食品と言えるのではないかと語られています。

認可・倫理・価格…普及にはまだ課題も

期待の大きい技術ですが、課題もあります。まず、セナラの培養ミルクはまだ法的に認可されていないそうです。

細胞農業で作られた食品は、日本を含め、研究段階でも食べてはいけないとされる国があったり、宗教的・倫理的な観点から食品として適さないとされたり、健康への影響がまだ研究されていないと心配されたりする面があります。

この点について川上さんは、牛乳や乳製品は何万年も食べられてきたもので、培養乳製品も成分は同じだと補足しています。

川上 全く同じ。作る工程が違うだけですから。

さらに、現時点では価格が高いという課題もあります。ただ、これが普及していけば、人口増加にともなう食糧問題やタンパク質不足の解決にもつながるのではないか、という展望で締めくくられます。

培養乳製品の魅力と課題

+

メリット

乳糖フリーやA2ミルクを作りやすく、環境への負担も少ない

−

デメリット

まだ法的に認可されておらず、倫理面の議論や価格の高さが残る

全く同じ。作る工程が違うだけですから。 ── 川上

お便りコーナーと日曜の見送り

ニュースのあとはお便りコーナーです。1月25日の配信に対するお便りが届いていましたが、配信中にコメントが消えてしまうという事故が起きてしまいました。

内容は「オープニングを話しているのは誰ですか?」という質問だったそうです。オープニングの担当は概要欄に日ごとに書かれていて、今は7人ほどが1週間で一周するくらいのペースで登場していると紹介されています。

川上さんは、コメントを消さなくていいこと、なんでも気軽に送ってほしいことを伝えます。日曜日ということで、まったりゆったり細胞性食品の話をお届けした回でした。

川上 お仕事の方、学校の方、いってらっしゃい。みんな牛乳飲んでね。バイバーイ。

まとめ

日曜のまったり配信で語られたのは、牛に頼らず細胞培養でミルクを作るドイツ企業セナラの技術でした。メリットも課題もありながら、未来の食品として広がる可能性を、酪農家の視点でやさしく紹介する回になっています。

  • ドイツ企業セナラは、細胞培養で牛に頼らずミルクを作る技術に成功したとされる
  • 通常なら約2年かかる、牛を育てて出産させるまでの工程をスキップできるのが特徴
  • 乳糖フリーやA2ミルクを作りやすく、水や電気などのリソースを抑えて環境負担も減らせる
  • 一方で、まだ法的に認可されておらず、倫理面の議論や価格の高さといった課題が残る
  • 川上牧場ではメンバーシップや「未来の牛乳」NFTなどの取り組みも行っている