次世代農業の幕開け?LNCがもたらす希望の光

2025-01-24 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

今回は、砂漠でも農業ができる新素材LNCのニュースを軸に、世界の水不足や食料問題を、島根の酪農家ならではの視点でやさしく解説する回でした。

この回の要点

  • LNC(リキッドナチュラルクレイ)は、土と粘土だけで作られ、水の消費量を最大50%減らせる新素材
  • 粘土の電荷で砂をコーティングし、スポンジのように水と栄養を保持する仕組み
  • 化学添加物ゼロで生態系に優しく、イラクではオリーブやピスタチオの試験農場が進行中
  • アメリカの「池のような地下水」の枯渇など、海外の深刻な水不足と食料問題が背景にある
  • 川上さんは、化学肥料に頼らず堆肥を使う酪農家の視点からも技術の広がりを歓迎している

配信の全文(podyの記事より)

金曜の朝、牧場の一日はどう始まる?

配信の冒頭、川上さんは1月24日金曜日の天気やその日の予定を軽く話しています。連日晴れが続いていて、注文が入った堆肥が少しずつはけてきているとのことです。

来月には確定申告があるので、今のうちに堆肥が全部はけてしまうと嬉しい、と話しています。この日の予定は、堆肥を運んで、お昼前に整体で体を整えて、お昼からは確定申告の入力という流れだそうです。

川上 もう1週間終わるんですね、金曜日でね。

そんな日常の話から、今日も10分から15分ほどの配信をやっていく、と番組がスタートします。

メンバーシップと「未来の牛乳」NFTのお知らせ

牛乳で乾杯する前に、川上さんは2つのお知らせを紹介しています。1つ目は、noteというブログアプリでやっているnote ── 文章や写真を投稿できるサービス。有料記事やメンバーシップ機能があり、継続課金でクリエイターを応援できる。川上牧場のメンバーシップです。

このメンバーシップでは、オンラインで牧場とつないだ牧場体験や、直接牧場に来ての体験ができるほか、これまでのnoteの有料記事も全部読み放題になるそうです。

2つ目は、Instagramの「ハッシュタグ未来の牛乳」という取り組みです。「こんな牛乳あったらいいな」という声をAIアートにして、NFT ── デジタルデータに固有の証明をつけて売買できる仕組み。作品の所有や支援の形として使われることがある。NFTとして販売しています。

このNFTの売上は、子供食堂への牛乳支援や、川上さんが小中高で食育活動を行うときの活動費に充てられるとのことです。お知らせのあとは、恒例の牛乳での乾杯です。

川上 ああ、おいしい。

「砂漠で農業ができる土」LNCってどんな技術?

ここからがこの回のメインテーマです。川上さんはギズモードの記事を引用し、「砂漠で農業ができる、水の消費量を最大50%減らせる土が登場した」というニュースを紹介しています。

背景にあるのは、世界的な砂漠化や干ばつ、水不足の問題です。川上さんは、2050年ごろには今使っている農地の半数が使えなくなるとも言われている、と話しています。

そこで登場したのが、LNC(リキッドナチュラルクレイ)という技術です。ラスベガスの大規模テックイベントCESで発表され、世界中が注目しているそうです。

CES アメリカ・ラスベガスで毎年開かれる世界最大級のテクノロジー見本市。最新の家電やガジェット、先端技術が発表される場として知られています。

このLNCは、ただの土ではなく、土と粘土だけで作られた天然素材だと説明されています。作物を育てるのに水をたくさん使う農業にとって、水の消費量を減らせるのは大きな意味があります。

LNCが水を保持するしくみ

粘土の電荷で砂をコーティング

粘土が帯びた電気で砂の粒を包み、水分を保持させる

↓

クレイブリッジで砂をつなぐ

砂の粒同士を結合させ、土のような柔軟性と通気性を持たせる

↓

スポンジのように水と栄養を保つ

水だけでなく栄養分も効率よく保持し、作物の育成環境を高める

さらに川上さんが注目しているのが、この素材が化学添加物ゼロという点です。つまり環境に優しく、生態系にも悪影響を与えないという特徴があります。

実際の応用例として、イラクで試験農場が進んでいて、砂漠でオリーブやピスタチオなどを育てる予定だと紹介されています。水不足が深刻な地域にとって、大きな希望の光だと話しています。

もし日本で使えたら?離島や砂丘への広がり

川上さんは「これが日本で応用できたらどうか」とも考えを広げています。乾燥が進む地域として、まず鳥取砂丘の名前を挙げています。

ただ、鳥取砂丘については緑が増えすぎていて、砂が逃げないようにしているのが現状だと補足しています。むしろ川上さんが可能性を感じているのは、水の確保が難しい離島のほうです。

川上 産業が生まれなかったりするところに、これで産業が生まれたりとか、そういうところもできるんじゃないかなと思いますね。

水不足は日本ではあまり実感しにくいですが、海外では深刻だと川上さんは指摘します。特に例に挙げているのがアメリカの農業です。

アメリカは地下水を使って農業をしていますが、それは日本のように川のように流れる地下水ではなく、「池のような地下水」だと説明しています。その水が枯渇するという予測もあるそうです。

世界中の胃袋を支えているアメリカの農業が壊滅的になると、世界の食料問題につながってくる。 ── 川上

だからこそLNCのような技術は、世界の食料問題を変える、未来のある技術ではないかと川上さんは受け止めています。

酪農家の視点から見た「食料問題を解決する技術」

川上さんは、以前の配信で紹介した別の技術にも触れています。捨てられるみかんの皮など植物の皮をアップサイクルし、自然由来のポリマーを土に混ぜて水分を保持させる、という技術です。

アップサイクル 捨てられるはずのものに手を加え、元より価値の高いものへ生まれ変わらせること。廃棄物の再利用の一つの形として注目されています。

どちらがいいという話ではなく、こうした技術が次々と出てきていること自体が大事だと川上さんは話しています。食料問題を解決する方法が増えているのは明るいニュースだ、という受け止めです。

そのうえで川上さんは、酪農家らしい視点も付け加えています。化学肥料に頼らず、堆肥を使ってほしいという願いです。

堆肥が足りない地域もあれば、余っている地域もあるとして、川上牧場の堆肥もぜひ使ってほしいと話しています。ニュースの話が、自分の牧場の営みにもつながっていきます。

リスナーからのコメントに答えるお便りコーナー

後半はお便りコーナーです。前日にSpoonであげた配信に届いたコメントを、川上さんが読み上げています。

質問(もぐらききせんさん) オープニングのミコトさんのお声いいですね。

これは前日からアワというアプリで活動を始めたミコトさんが、オープニングを担当していることへの感想です。川上さんは「早速の感想ありがとうございます」と受けています。

質問(ハイビスカス母さんさん) 川上さん声でかい、後ろの牛さんの鳴き声聞きたいのだ。

川上 それ言っちゃおしまいじゃない?牛さんの声聞こえますか?

川上さんは、ボリュームを少し抑えたり、ハイレゾ対応のイヤホンを使うと牛の声だけ調整できるかもしれない、と冗談まじりに答えています。ただ、Spoonにその機能があるかはわからない、とも付け加えています。

そのうえで、これは牧場配信なので、牛の声を聞きながら牛乳を飲み、川上さんの言葉も一緒に楽しんでほしい、とまとめています。

最後は、各配信アプリのコメント欄やInstagramの質問箱からの感想が、配信のモチベーションになると呼びかけています。週末を前に「みんな牛乳飲んでね」と、いつもの挨拶で配信を締めくくりました。

まとめ

今回は、砂漠でも農業ができる新素材LNCのニュースを軸に、世界の水不足や食料問題を、島根の酪農家ならではの視点でやさしく解説する回でした。

  • LNC(リキッドナチュラルクレイ)は、土と粘土だけで作られ、水の消費量を最大50%減らせる新素材
  • 粘土の電荷で砂をコーティングし、スポンジのように水と栄養を保持する仕組み
  • 化学添加物ゼロで生態系に優しく、イラクではオリーブやピスタチオの試験農場が進行中
  • アメリカの「池のような地下水」の枯渇など、海外の深刻な水不足と食料問題が背景にある
  • 川上さんは、化学肥料に頼らず堆肥を使う酪農家の視点からも技術の広がりを歓迎している