乳製品の価格上昇と酪農家の現状

2025-01-29 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

今回は森永乳業の値上げニュースを入り口に、乳製品の値上げが酪農家の収入に直結するわけではないこと、そして乳価交渉のタイミングを酪農家目線で読み解く回でした。応援したいときは「国産」表示を確認する、という具体的な行動も示されています。

この回の要点

  • 森永乳業はマウントレーニアやリプトンなど87品目を、2.5〜9.1%の幅で値上げする
  • 今回の乳製品値上げは、酪農家が出荷する牛乳の値上げを意味しない
  • 乳製品で酪農家を応援したいなら、裏の表示で「国産」と書かれた商品を選ぶ
  • 乳製品の値上げ時期は、年一度の乳価交渉のタイミングと関わっていると川上さんは読む
  • 乳業と酪農は二人three脚の関係で、酪農家としては利益の還元を望んでいる

配信の全文(podyの記事より)

10年に一度の寒気のなか、雪の出雲牧場から

配信はまず、その日の天気と仕事の話から始まります。1月29日の水曜日、日本海側には10年に一度と言われる寒気が入り、出雲市も雪や曇りで冷え込んでいました。

最高気温は5度、最低気温は1度という寒さのなか、川上さんはこの日、堆肥場の掃除と切り返し作業に取り組む予定だと話します。

切り返し作業 堆肥を積んだ山を混ぜてかき回す作業のこと。空気を入れて発酵を促し、良質な堆肥に仕上げるために行われます。

2月に入ると春野菜づくりで堆肥がまた動き始めるため、その準備をしておきたいこと、そして翌日に会議を控えていて仕事を残したくないことが、寒い日でも頑張る理由として語られました。

川上 寒い中仕事したくない。いや、そんなことはない。頑張ります。

NOTEメンバーシップと「未来の牛乳」NFTのお知らせ

乾杯の前に、牧場からのお知らせが入ります。川上牧場はNOTEでメンバーシップを運営していて、継続的に応援したい人や一緒に新しいことをやってみたい人に向けた仕組みだと紹介されました。

メンバーシップに加入すると、オンラインでつないだ牧場体験や実際に牧場へ来ての体験ができ、これまでの有料記事も読み放題になるとのことです。

もう一つが、Instagramで展開する「未来の牛乳」という取り組みです。「こんな乳製品があったらいいな」という声をAIアートでNFTにしているそうです。

NFT デジタルデータに「これは本物」という証明をつけて、売買できるようにした仕組みのこと。ここではAIで作ったイラストにその証明をつけて販売しています。

このNFTの売り上げは、子ども食堂への支援や、小中高での食育活動に参加した際の活動費に充てられると説明されました。子どもたちが牛乳・乳製品を口にするきっかけづくりにつながる、という位置づけです。

森永乳業が87品目を値上げ、そのニュースの中身

乾杯のあとは、AIがまとめたニュースの紹介コーナーです。この日は日本経済新聞の記事から、森永乳業が87品目を値上げすると発表したニュースが取り上げられました。

記事によると、森永乳業は27日、乳飲料ブランドのマウントレーニアや紅茶ブランドのリプトンなどを含む87品目の値上げを発表しました。飲料商品の5割強にあたる40品は3月出荷分から、チーズやヨーグルトなど47品目は4月出荷分から値上げされます。

値上げ幅は2.5〜9.1%とされ、具体例も紹介されました。マウントレーニアカフェラテは180円から190円へ、リプトンレモンティーは120円から130円へ、クラフトスライスチーズは445円から475円へと上がります。

値上げの理由は、包装資材を含む原材料の価格上昇や、人手不足を背景にした物流費・人件費の上昇を価格に反映するためだと説明されています。

2024年3月にも原材料価格の上昇を理由に10円引き上げていて、今回もそれに続く形での値上げになります。

森永乳業 値上げの具体例

87品目

今回値上げされる商品数

2.5〜9.1%

今回の値上げ幅

乳製品の値上げは、酪農家支援にはつながらない

ここから川上さんは、酪農家として押さえておきたい大事な点を語ります。今回値上げされるチーズなどの乳製品の値段が上がっても、酪農家が出荷している牛乳の価格が上がったわけではない、という話です。

川上 酪農家の、出荷している牛乳は値上げしておりませんからね。

なぜ乳製品が値上げされるのか。川上さんは、海外から輸入している原材料を使っているからではないかと推測します。つまり今回の値上げは、必ずしも国内の酪農家の状況を反映したものではない、というわけです。

SNSでは「酪農家さんが大変だから応援のために食べよう」という投稿を見かけますが、川上さんはそこに注意を促します。応援したいなら、中身の原材料を確認してほしいというのです。

裏の表示で「国産」って書いてあるやつを選んでもらわないと、なかなか酪農家支援には繋がりません。 ── 川上

一方で、値上げに踏み切る森永乳業側の事情にも理解を示します。メーカーも大変なんでしょうねと言いつつ、それでも牛乳や乳製品はぜひ食べ続けてほしい、という姿勢は変わりません。

乳製品で酪農家を応援したいとき

✓

DO(やるべきこと)

裏の表示で「国産」と書かれた牛乳・乳製品を選ぶ

✗

DON'T(避けるべきこと)

「応援になるはず」と原材料を確認せずに買う

値上げのタイミングは「乳価交渉」とつながっている

話は、川上さんが翌日に控えていた会議へとつながります。それが年に一度おこなわれる「乳価交渉」です。

乳価交渉 酪農家が出荷する生乳の取引価格を決めるための話し合いのこと。ここでは乳業メーカーと酪農団体などが集まり、価格をどうするかを協議します。

乳価交渉では、乳業メーカーと酪農団体などが話し合い、牛乳の価格をどう値上げしていくかを決めていくと説明されます。川上さんは、今回の値上げ発表のタイミングに酪農家目線での引っかかりを覚えたようです。

川上 乳業さん、うまいことこのタイミングで値上げをやって。

川上さんが読む流れはこうです。メーカーが4月・5月ごろに値上げをしておき、その時期の牛乳・乳製品の消費を見て、10月の値上げをどうするか判断していく。これが毎年の流れだといいます。

川上 (4月・5月に値上げして)消費が伸びてないから、酪農家さん牛乳の値上げはできないですよねっていう風に持っていくんじゃないでしょうか。

あくまで個人的な意見だと前置きしつつ、川上さんは「うまいな」と表現します。人口減や気候変動、原材料や物流費の上昇といった理由が並べられても、数字の中身をしっかり見ないといけないと釘を刺しました。

それでも、川上さんは乳業と酪農業界の関係を対立ではなく協力として捉えています。二人三脚でやってきたからこそ、利益を還元してほしい、というのが酪農家としての本音だと語られました。

川上さんが読む値上げから乳価判断までの流れ

4〜5月に値上げ

乳業メーカーが乳製品を値上げする

↓

消費を見る

その時期の牛乳・乳製品の売れ行きを確認する

↓

10月の判断

消費が伸びていないことを理由に生乳の値上げを見送る流れになりやすい

コメントに応えつつ、寒い朝の締めくくり

ニュースのあとは、リスナーのコメントに応えます。「マウンテンデューうまい」というコメントには、それは乳製品ではないと笑いながらツッコミが入りました。

今回話題になったのはマウントレーニアで、山の絵が描かれたカップ付きのおしゃれな乳飲料のこと。値上げは3月・4月出荷分からなので、まだ1か月ほど余裕がある、と川上さんは案内します。

最後は寒さへの気づかいで締めくくられます。日本海側の寒さは厳しいので、仕事や学校へ行くときは早め早めの行動を、と呼びかけました。

川上 やばいなって思ったらもう休みましょう。酪農家さんが休めない分、休んでいきましょう。

そして番組の最後には、お便りやコメント、DMの募集案内が入ります。リスナーの意見が新しい酪農をつくっていく、というメッセージで配信は結ばれました。

まとめ

今回は森永乳業の値上げニュースを入り口に、乳製品の値上げが酪農家の収入に直結するわけではないこと、そして乳価交渉のタイミングを酪農家目線で読み解く回でした。応援したいときは「国産」表示を確認する、という具体的な行動も示されています。

  • 森永乳業はマウントレーニアやリプトンなど87品目を、2.5〜9.1%の幅で値上げする
  • 今回の乳製品値上げは、酪農家が出荷する牛乳の値上げを意味しない
  • 乳製品で酪農家を応援したいなら、裏の表示で「国産」と書かれた商品を選ぶ
  • 乳製品の値上げ時期は、年一度の乳価交渉のタイミングと関わっていると川上さんは読む
  • 乳業と酪農は二人three脚の関係で、酪農家としては利益の還元を望んでいる