高騰する国産農産物と増える輸入品…酪農・農業の現実
2025-02-04 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
高騰する国産農産物の代わりに、キャベツやお米、そして乳製品でも輸入品が増えている現状を、酪農家である川上さんの目線から語った回でした。消費者の負担と農家の生活のあいだで、簡単には答えの出ない問題が浮かび上がっています。
この回の要点
- 中国産キャベツが1玉184円と国産の半値で売られ、輸入量は前年比で19倍以上に急増している
- もともと業務用・加工用だった輸入品が、高騰の代替としてスーパーの店頭に並ぶようになった
- 苦労して作った国産の隣に外国産が置かれると、農家の採算や生活が成り立たなくなるという懸念がある
- 生産量を減らしても、その隙間に輸入品が入ってくるため、酪農にとっても難しい構造になっている
- 一時的に加工用を使うのはありつつも、裏にいる農家を思って国産を選んでほしい、というのが川上さんの願い
配信の全文(podyの記事より)
雪の朝、おがくず取りと確定申告から始まる一日
配信の冒頭では、川上さんがこの日の天気やお仕事の予定を話しています。この日は最大寒波が入り、天気は雪。気温も下がっていて、数日ずっとこんな感じが続いているそうです。
この日の仕事は、まずおがくずを取りに行くこと。いつもはおばあさんに送ってもらってダンプで行くそうですが、雪で難しそうなので自転車で向かうと話しています。
川上 本当に行きたくない。本当に行きたくないけど、まあでもやります。(おがくずを)取りに行って、その後外で堆肥を混ぜて。
お昼からは確定申告の入力作業。ChatGPTと自動入力システムのおかげで、すでに8割から9割ほど終わったそうです。
川上 ChatGPTとあと自動入力システム、ありがたいですね。もう終わりそうですよ、私は。
高騰するキャベツに、中国産が救世主として登場
この回のメインは、AIがまとめたニュースの紹介です。取り上げられたのは、FNNプライムオンラインの記事で、キャベツの高騰と輸入キャベツの急増についての内容です。
記事によると、中国産キャベツが1玉184円と、国産の半値ほどで売られているそうです。もともと業務用や加工用だった輸入キャベツが、高騰の救世主になっているとのこと。輸入量は前年比で19倍以上に急増しています。
なぜ外国産はここまで安いのか。記事では専門家が、格安だと錯覚するほど国産が値上がりしすぎたためだと指摘しています。
輸入キャベツの位置づけ 記事で紹介された農業ジャーナリストの見解では、輸入キャベツはもともと物価が違い、輸出用に作られているため国産より割安になっている。基本的には業務用・加工用で、あくまで国産の代替という位置づけとされている。
これまで加工工場でのカット野菜や、飲食店で使われるキャベツ、関西圏のお好み焼きなどに使われてきた加工用のものが、普通にスーパーに並ぶようになってきた、と川上さんは説明します。
ただ川上さんが気にしているのは、味の面を消費者がどう受け止めるか、という点です。
作った農家の隣に、外国産がポンと置かれる現実
ここから川上さんは、作り手である農家の目線でこの状況を語っていきます。天候が悪く資材価格も高いなか、なかなか作れず、少ない量を一生懸命出荷している農家の事情があるといいます。
川上 一生懸命作ったけど少ない量で出荷して、まあ高く売れるならまあまあと、それでも全然採算合わないですけどね。
そうして苦労して出したところに、外国産がポンと持っていってしまう。それでは生活が成り立たない、というのが農家側の実感だと話します。
(外国産で)ポーンと持っていかれたらですね、もうどうやって生活していきゃいいんですかって話になっちゃう。 ── 川上
この構図はキャベツだけではありません。川上さんは以前の配信で話したお米の例も挙げています。国産米の販売価格が上がってよかったと話していたら、民間輸入でアメリカからのお米を輸入して代替しているというニュースが出ていた、というのです。
川上 いやいや、簡単にそんなもう(海外から)輸入されたら困りますよっていう、まあ農家の目線ですけれども。
酪農にも迫る輸入の波と、「牛乳を捨てる」という声
同じ懸念は酪農にも当てはまる、と川上さんは話します。農水省が牛乳・乳製品、たとえばチーズやバターなどの輸入枠を最低限にすると発表したことに触れつつも、民間からの輸入という抜け道が残っている点を心配しています。
関税をかけても採算が取れるような販売方法であれば、結局は輸入されてしまう。そうなったらどうすればいいのか、と川上さんは疑問を投げかけます。
さらに、島根県の会議での出来事も紹介されました。酪農家が牛乳を捨てるくらいの勢いで意思を見せた方がいいのでは、という意見を出す農家もいたそうです。
ただ川上さんは、それだけでは解決しない構造があると指摘します。生産量を減らせば、その隙間に輸入産が入ってくるというのです。だからこそ、簡単には答えが出ない問題だと感じている様子でした。
川上 生産量減らしたら、そこの隙間にこうやって、あの輸入産入れてくるわけですから。もう、どうしたらいいんだこれっていう。
消費者にできること、それでも国産を選んでほしい
一方で川上さんは、消費者の目線にも配慮を見せています。安くて少し味が落ちるかもしれない加工用・調理用のものを使って、高値を一時的に回避するのは悪くない、という考え方です。
そのうえで、忘れないでほしいこととして農家の存在を挙げます。安い輸入品の裏には、それを作っている国産の農家がいるということです。
作ってる農家さんがね、いますんでね、裏には。あの、国産のものを選んでもらえたら嬉しいなと。 ── 川上
配信の終盤では、寒い朝に会社や学校へ向かうリスナーへの気づかいも語られました。道路や水道管の凍結を心配しつつ、無理せず過ごすようにと呼びかけています。
川上 もう仕事に行けないって感じたらもう休みましょう。でも農家さんは頑張ってますからね。
応援につながるメンバーシップと未来の牛乳
ニュースの合間には、川上牧場の取り組みも紹介されています。ひとつはnoteで運営しているメンバーシップです。
このメンバーシップでは、オンラインや現地での牧場体験ができるほか、過去の有料記事が読み放題になるそうです。
note(ノート) 文章や写真などを投稿・販売できる日本のコンテンツ配信サービス。有料記事の販売や、継続課金型のメンバーシップ機能などを備えている。
もうひとつは、Instagramでのハッシュタグ「未来の牛乳」という企画です。リスナーが考える「こんな乳製品があったらいいな」という声を、AIアートにしてNFTとして販売しています。
NFT(エヌエフティー) デジタルデータに固有の証明をつけて、所有や売買ができるようにした仕組み。ここでは、AIで作った未来の乳製品のアート作品にこの仕組みが使われている。
このNFTの売上は、子ども食堂への牛乳支援や、小中高での食育活動の活動費に充てられるそうです。買い手の支援が、子どもたちの牛乳につながる仕組みになっています。
まとめ
高騰する国産農産物の代わりに、キャベツやお米、そして乳製品でも輸入品が増えている現状を、酪農家である川上さんの目線から語った回でした。消費者の負担と農家の生活のあいだで、簡単には答えの出ない問題が浮かび上がっています。
- 中国産キャベツが1玉184円と国産の半値で売られ、輸入量は前年比で19倍以上に急増している
- もともと業務用・加工用だった輸入品が、高騰の代替としてスーパーの店頭に並ぶようになった
- 苦労して作った国産の隣に外国産が置かれると、農家の採算や生活が成り立たなくなるという懸念がある
- 生産量を減らしても、その隙間に輸入品が入ってくるため、酪農にとっても難しい構造になっている
- 一時的に加工用を使うのはありつつも、裏にいる農家を思って国産を選んでほしい、というのが川上さんの願い