農業高校出前授業の質問に答える🐮①
2025-02-06 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
農業高校の出前授業では時間が足りず答えきれなかった質問に、川上さんが1つずつ丁寧に答えていく回でした。国への要望から牛乳消費、品種改良まで、酪農家のリアルな考えが伝わってきます。
この回の要点
- 国や県に一番望むのは、酪農家の手取りが増えるよう牛乳の価格が上がる仕組みづくり
- 高校での牛乳消費を増やすため、自販機の牛乳を安く買える支援などが島根県で議論されている
- 川上さんが好きな牛はホルスタイン。品種改良が進み、1頭あたりの搾乳量も大きく伸びている
- ゲップの排出が少ない牛も生まれてきており、環境負荷の低減につながる可能性がある
- 残り14個ほどの質問は今後も配信予定。コメントやInstagramから質問を受付中
配信の全文(podyの記事より)
農業高校の出前授業で答えきれなかった質問に向き合う
今回の配信は、いつものAIニュースやお便りではなく、川上さんが前日に参加した農業高校での出前授業がテーマです。若手の酪農家の団体で農業高校を訪れ、一緒に授業をしてきたそうです。
授業の進め方は、クラスの高校生を7つのグループに分け、各酪農家がグループを回っていくスタイル。1つのグループにつき質問に答えられる時間はたった7分でした。
川上 7分で答えられる質問なんてもうちょっとしかなかったし、概要しか喋れなかったんで。
そこで今回は、授業で寄せられた17個ほどの質問を、配信の中で1個ずつ答えていくことにしたそうです。この日はそのうち最初の3つを取り上げました。
川上 聞いてる?高校生。QRコードを読み込んで聞いてねって言ったけど、聞いてるかな?
国や県に「もっと改善してほしいこと」は?
最初の質問は「国や県にもっと改善してほしいことがありますか?」というものでした。授業の場では、北海道や東京都の例を挙げて答えたそうです。
北海道や東京都では、子育て世帯に5000円のお米券や牛乳券を配る支援があり、川上さんは「島根県もやってほしい」と回答したとのこと。ただ、これはあくまで授業での答えでした。
配信で改めて語られた本音はもっとシンプルです。川上さんが国や県に一番望んでいるのは、牛乳の価格が上がるようなシステムにしてほしいという一点でした。
川上 そこだけ(で)、酪農家さんの手取りが増えれば、もう酪農人口、農業人口が増えることになりますし。
酪農家の手取りが増えれば、意欲のある農家が自然と投資をして、酪農人口も増えていく、という考えです。今の農家は意欲的な人ばかりだから、利益が上がる仕組みさえあれば勝手に前へ進む、と話します。
国の動きとしては、EUのように農家へ直接収益を支援する直接支払い ── 農産物の価格とは別に、国などが農家へ直接お金を支払う支援制度。EUなどで農業所得の下支えとして導入されています。や、価格転嫁を国が支援する議論があることも紹介されました。
ただ川上さんは、税金でやることは長期的に続きにくいと見ています。それよりも、意欲的な農家が稼ぎやすくなるよう、既存の法律や仕組みを緩和してほしいという立場です。
さらに、一番やってほしいこととして挙げたのが「農地の集約化」と、酪農なら酪農をしていい畜産振興団地のような場所づくりでした。
川上 ちょっと難しいことはもう各自調べてもらえたら、高校生各自調べてもらえたら嬉しいですね。
「毎日牛乳を飲んでいますか?」酪農家のリアルな答え
2つ目の質問は「毎日牛乳を飲んでいますか?」というもの。川上さんは、プロテインで割って1日1リットルほど飲んでいると答えたそうです。
ここで川上さんは、酪農家あるあるにも触れます。人には「飲んで飲んで」と勧めるのに、自分は飲まない酪農家もよくいる、という話です。
授業で高校生に「君たちは飲んでるのかい?」と尋ねると「めっちゃ飲んでます」との返事。ただ、下を向いている高校生もいたそうで、気を遣ってもらった様子もうかがえます。
話題は、高校生に牛乳を飲んでもらう仕組みづくりへ。島根県の生乳販売委員会や酪農協議会でも議論されているテーマだそうです。
小学校・中学校では給食で牛乳が出ますが、高校では出ません。牛乳の自販機がある学校とない学校があるため、そこを支援できないかという話が出ているとのこと。
川上 コンビニで買ったら100円とか200円で買えるやつが50円で買えたりとかね、そういうシステムでできたらいいよね。
リスナーからは「美容や筋肉にいいよって宣伝すればいい」というコメントも。健康面から訴える方が今の若い子には響くのかも、と川上さんは受け止めていました。
川上 酪農家は君たちの成長を応援しているよっていう感じがいいのかな。ちょっと強いか、違うか。
好きな牛の種類はホルスタイン。品種改良のおもしろさ
3つ目の質問は「何の牛の種類が好きですか?」。川上さんの答えは「ホルスタイン」でした。
理由は、ホルスタインが世界中で飼われていて、品種改良が一番進んでいる品種だから。人間に合わせてどんどん改良されていくところが面白い、と語ります。
その証拠として、数年前まで1頭あたり9000キロほどしか出なかった牛乳が、今では1万キロ、2万キロほど出るようになった、という改良の進み具合を挙げました。
さらに川上さんは補足として、環境問題への対応も紹介します。牛のゲップに含まれるメタンガスが地球温暖化の原因と言われる中で、それに対応する牛も作られているそうです。
牛のゲップとメタン 牛は消化の過程でメタンを含むゲップを出します。メタンは温室効果ガスの一つで、家畜由来の排出が地球温暖化との関係で議論されています。
餌を食べてもゲップの排出が少ない牛が生まれてきていて、飼えば飼うほどCO2の削減につながる可能性も見えてきている、と話します。
人間に合わせてどんどんどんどん改良されていくのは、このホルスタインの面白さじゃないか。 ── 川上
リスナーの「オイラもゲップが出ないようにならないかな」というコメントには、川上さんが牛の目線でユーモアたっぷりに応じました。
川上 ゲップが少ないパートナーとお付き合いするっていう。そして次世代はゲップが少ない子が生まれる。これがホルスタインの改良なんで。
まだ14個。質問はどしどし募集中
この日答えたのはここまでの3つ。残りはまだ14個ほどあるので、当分このテーマで配信を続けていく予定だそうです。
川上さんは、授業の様子はstand.fmやPodcastでも聴けると案内しています。1時間ほどと少し長めですが、まだ聴いていない人はぜひ、と呼びかけました。
質問はリスナーからも受け付けています。配信のコメントのほか、Instagramのストーリーズの質問ボックスからも送れるとのことです。
川上 Instagramの方にも質問ボックス、ストーリーズの方に質問できるようになってますんで、そちらからでもどしどし質問していただけたらと思います。
まとめ
農業高校の出前授業では時間が足りず答えきれなかった質問に、川上さんが1つずつ丁寧に答えていく回でした。国への要望から牛乳消費、品種改良まで、酪農家のリアルな考えが伝わってきます。
- 国や県に一番望むのは、酪農家の手取りが増えるよう牛乳の価格が上がる仕組みづくり
- 高校での牛乳消費を増やすため、自販機の牛乳を安く買える支援などが島根県で議論されている
- 川上さんが好きな牛はホルスタイン。品種改良が進み、1頭あたりの搾乳量も大きく伸びている
- ゲップの排出が少ない牛も生まれてきており、環境負荷の低減につながる可能性がある
- 残り14個ほどの質問は今後も配信予定。コメントやInstagramから質問を受付中