ミルクの味も肉質も変わる!牛のエサと味の関係とは?
2025-02-01 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
今回は「牛の食べる草でミルクやお肉の味は変わるの?」というリスナーの質問から、餌・品種・季節・ブランドまで、味を左右するいろんな要素が語られました。牛乳もお肉も「どれも同じ」ではなく、飲み比べ・食べ比べを楽しんでほしいという内容でした。
この回の要点
- 草だけで育てるとさっぱり、穀物を入れるとコクのある牛乳になりやすい
- 品種や地域、季節(冬は濃く夏はさっぱり)でも牛乳の味は変わる
- 和牛は穀物でサシと甘み、海外の草飼いの牛は赤身の旨味と噛みごたえが特徴
- ブランドや血統、オレイン酸など、こだわると味の違いは無数にある
- ご当地牛乳や各地のお肉を飲み比べ・食べ比べて、味の変化を楽しんでほしい
配信の全文(podyの記事より)
2月スタート、確定申告の月の朝の牧場
配信のはじまりは、いつもの「牛乳で乾杯」から。この日は2月最初の土曜日で、川上さんも「頑張っていきたい」と1日をスタートさせます。
2月といえば、酪農家にとっては確定申告の準備が始まる月でもあります。この日の午前は毎週土曜恒例の牛の種付けや子牛の育成所の掃除、午後は確定申告とミーティングというスケジュールが紹介されました。
川上 今日から2月開始ということで、頑張っていきたいなと思っておりますよ。確定申告のもう準備しないといけない月です。
天気は曇りで、昼から雨が降りそうな空模様。節分の頃に強い寒気が入り、日本海側は大雪になるかもしれないというニュースにも触れ、リスナーへ体調への気づかいを呼びかけました。
SUZURIのセールと「未来の牛乳」NFTのお知らせ
牛乳での乾杯の前に、まずはお知らせから。グッズ販売サイトSUZURIでは「ニンニンセール」が開催中で、Tシャツやパーカーなどのアイテムがおトクになると案内されました。
SUZURI 自分でデザインしたTシャツやパーカーなどのグッズを作って販売できる、GMOペパボが運営するオンラインサービスです。イラストレーターとのコラボ商品なども出品されています。
もうひとつのお知らせが、Instagramのハッシュタグ「未来の牛乳」を使った取り組みです。リスナーが思う「こんな牛乳・乳製品があったらいいな」をAIアートにして、NFTとして販売しているそうです。
このNFTの売上は、川上さんが子ども食堂へ牛乳を支援したり、小中高での食育活動の活動費に充てられるとのこと。皆さんのご支援が、子どもたちの牛乳や乳製品につながるという仕組みになっています。
NFT デジタルデータに「これは唯一のもの」という証明を付けられる仕組みです。ここではAIで作った牛乳のアート作品にこの証明を付けて販売し、その売上を支援活動に役立てています。
草だけで育てるとミルクはどんな味になる?
ここからが今回のメインテーマ。スプーンネーム「みずみずしい」さんから届いた「牛さんが食べる草は産地によってミルクの味やお肉の味に変化が出たりするものですか?」という質問に答えていきます。
質問(みずみずしいさん) 牛さんが食べる草は産地によってミルクの味やお肉の味に変化が出たりするものですか?
川上さんによると、牛がメインで食べる草はイネ科牧草とマメ科牧草の2つ。その中にも無数の種類があり、いろんなバランスで組み合わせて育てるのが牛を飼う醍醐味なのだそうです。
実際、牛が食べてる餌によって、ミルクの風味もお肉の味も変わりますね。 ── 川上
たとえば北海道などでイメージされる、広い牧草地でのびのび育つ放牧の牛。穀物を使わず草だけで育てると、さっぱりとした味わいの牛乳になりやすいと話します。
ただ、これも牧場によってさまざま。放牧でも乳量を多く出す飼い方だと、草だけでなく若干の穀物を入れることもあり、一概には言えないとのことでした。
トウモロコシで牛乳はどう変わる?品種でも違う味
草だけの牛乳がさっぱり系なのに対し、トウモロコシなどの穀物を入れると、スーパーでおなじみの乳脂肪3.8前後の牛乳になっていくそうです。
乳脂肪 牛乳に含まれる脂肪分の割合のことです。数字が高いほどコクのある濃い味わいになりやすく、市販の牛乳ではおおむね3.8前後が一般的とされています。
味を左右するのは餌だけではありません。牛の品種も大きく関わります。日本で飼われている牛の9割以上はホルスタインですが、ほかにもいろんな乳用種がいます。
牛乳を搾る主な乳用種
ホルスタイン
ジャージー
ブラウンスイス
エアシャー
ガンジー
品種によって味が違い、さらに同じ品種でも食べる草や穀物で味が変わる。だから「牛乳はどれも同じ」と思いがちでも、各地の牛乳を飲み比べると意外と違いがあるのです。
47都道府県の牛乳飲み比べで感じた個性
川上さん自身も、いろんなメーカーの牛乳を飲んで「ここはおいしい」「ここはちょっと」と感じることがあるそうです。
去年参加したイベントでは、47都道府県の牛乳が飲み比べできたとのこと。お腹がパンパンになるほど飲んで、その違いを楽しんだと振り返ります。
川上 あっさりしてるやつもあったり、コクがあったり、すっきりしていたり、喉越しがあったり、もう全然、各地の地域だけでも味が違ったので。
ご当地牛乳やオリジナルの牛乳パックなど、各地ならではの牛乳があるので、ぜひ飲み比べてみてほしいと呼びかけました。
冬はコク、夏はさっぱり。季節でも変わる牛乳
牛乳の味は季節によっても変わります。冬は乳成分が濃くなり、コクがあってまったりとした濃いめの牛乳になるそうです。
一方で夏場は、牛が草を食べる量が減ったり体調の影響もあったりして、乳脂肪が下がり、さっぱりあっさりとした味わいになるとのこと。夏と冬で成分が違うのです。
本来は四季折々の味わいがあるところを、酪農家や酪農団体が各地の牛乳を混ぜ合わせ、1年中どの時期でも成分が安定するように心がけているそうです。これが牛乳流通の素晴らしいところだと話します。
ただし、この安定化は地域ごとの個性を消してしまう面もあるとのこと。逆に独自のブランドでは、牛の餌にハーブなどを加えて風味を変えている牧場もあり、そうしたものを探すのも楽しみ方のひとつだと紹介されました。
和牛は穀物でサシ、海外は草で赤身の旨味
続いてはお肉の話。日本の和牛は脂の美味しさが秀でた品種で、トウモロコシや麦、大豆などの穀物が主体です。穀物が多いとサシが入って甘みが出て、霜降りになりやすいと言われています。
サシ 赤身の中に細かく入った脂肪のことです。いわゆる霜降りの見た目をつくり、甘みや口どけのよさにつながるとされ、和牛の美味しさの特徴とされています。
一方で、スーパーで見かけるオージービーフやグラスフェッドビーフは海外産が多め。アンガスなどの肉用品種を牧草だけで育て、赤身の旨味を求めているそうです。
グラスフェッドビーフ 牧草(グラス)を主に食べて育った牛の肉のことです。穀物中心で育てた牛に比べて、さっぱりとして赤身の噛みごたえが強くなりやすいとされています。
こうしたお肉は、さっぱりして赤身が強く、噛みごたえのある「肉食ってるな」という味わいになりやすいとのことでした。
穀物で育てた和牛と草で育てた海外の牛
穀物主体の和牛
サシが入って甘みがあり、霜降りになりやすい
VS
牧草主体の海外の肉牛
赤身が強く噛みごたえがあり、さっぱりした味わい
ブランドや血統でどこまでこだわれる?
お肉も品種が豊富で、日本では肉牛どうしを掛け合わせたり、ホルスタインと黒毛和牛を掛け合わせた交雑種が売られています。海外では放牧場にいろんな品種が混ざり合い、それぞれ違う味になることもあるそうです。
さらに、島根和牛や神戸ビーフ、松阪牛といった各地のブランドでも味は変わります。牧場名が付いたブランドなどは、肥育期間や産地にこだわりがあり、味の幅も広いとのこと。
マニアックにこだわっていくと、行き着くのは血統の世界。サシが入りやすい血統や、旨味成分とされるオレイン酸、脂の融点が低いものなど、細かな違いがあると紹介されました。
鳥取県の「オレイン55」のようにオレイン酸が多いものや、お米だけで育てた牛など、そのバリエーションは無数にあるそうです。
川上さんは、牛乳も和牛も一括りにされがちだけれど、食べる時期や日々の品種改良、飼養管理技術の向上でどんどん変化していると話します。その味の変化を確かめてもらい、高く買ってもらえたら嬉しいと、この質問への答えを締めくくりました。
まとめ
今回は「牛の食べる草でミルクやお肉の味は変わるの?」というリスナーの質問から、餌・品種・季節・ブランドまで、味を左右するいろんな要素が語られました。牛乳もお肉も「どれも同じ」ではなく、飲み比べ・食べ比べを楽しんでほしいという内容でした。
- 草だけで育てるとさっぱり、穀物を入れるとコクのある牛乳になりやすい
- 品種や地域、季節(冬は濃く夏はさっぱり)でも牛乳の味は変わる
- 和牛は穀物でサシと甘み、海外の草飼いの牛は赤身の旨味と噛みごたえが特徴
- ブランドや血統、オレイン酸など、こだわると味の違いは無数にある
- ご当地牛乳や各地のお肉を飲み比べ・食べ比べて、味の変化を楽しんでほしい