未来の食卓を守る!ゲノム編集で進化する水産業と酪農の可能性

2025-01-07 配信|川上牧場 酪農データバンク

この回の要旨

今回は、ゲノム編集で高温に強い魚を育てる水産ベンチャーのニュースを入り口に、酪農の未来まで話が広がりました。技術の進化を消費者としてどう受け止めるかが問われる回です。

この回の要点

  • リージョナルフィッシュがゲノム編集とスマート養殖で40億円を調達し、高温に耐える魚の品種改良で成果を上げている
  • 川上さんはゲノム編集を「自然界の交配を効率よく行う技術」と説明し、遺伝子組み換えとの違いへの理解を呼びかけた
  • 酪農でも、品種改良で暑さに強くなる「スリック遺伝子」を持つ牛が注目され、国内でも誕生している
  • 夏でも生産が落ちない牛や、少ない餌でよく搾れる牛への期待が語られた
  • 国産や地元の農産物・乳製品を選ぶことが、持続可能な農業や水産業につながる

配信の全文(podyの記事より)

子牛の誕生と、年明けの牧場のようす

配信は、島根県出雲市にある小さな牧場からお届けしています。スーパーやコンビニでいつでも買える牛乳の魅力や、酪農の魅力を酪農家が語る番組です。

この日は1月7日の火曜日。世の中は仕事始めの人が多い時期ですが、川上牧場では子供がまだ冬休み中で、バタバタしながらの仕事だったそうです。

うれしいニュースもありました。前日に、2025年で初めての子牛が無事に生まれたとのこと。母牛も子牛も元気で、するんと生まれてきたそうです。

川上 今年もね、たくさん子牛を産ませて、ガンガン絞っていきたいなというところですね。

一方で、調子の悪い牛もいるようです。川上さんは「これはダメかな」と話しつつも、治療して様子を見ながら向き合っていくと語っていました。

SUZURIの新春セールと「未来の牛乳」NFT

牛乳で乾杯する前に、川上さんからお知らせが2つありました。ひとつは、グッズ販売サイト「SUZURI」での新春セールです。

SUZURI GMOペパボが運営する、オリジナルグッズを作って販売できるサービス。イラストや写真をTシャツやグッズにできるECサイトで、個人クリエイターの利用が多いです。

川上牧場のグッズも、いろんなアーティストやイラストレーターとコラボした形で展開されているとのこと。さっそく購入した人もいて、川上さんは「活動の一つになる」と感謝を伝えていました。

もうひとつが、Instagramで展開している「#未来の牛乳」のNFTです。飲んでみたい牛乳、こんな牛乳があったらいいなというアイデアを、AIでイラストにしてNFTとして販売しています。

NFT ブロックチェーン上で「これは本物」と証明できるデジタルデータのこと。イラストや画像などに固有の印をつけて、所有や売買ができる仕組みです。

このNFTの売り上げは、子ども食堂への牛乳支援や、川上さんが小中学校の食育活動に行くための活動費に充てられるそうです。

40億円を調達した水産ベンチャーのニュース

続いては、AIがまとめたニュースのコーナーです。この日は、起業家向けメディア「創業手帳」の記事から、面白い話題が取り上げられました。

紹介されたのは、ゲノム編集技術とスマート養殖を組み合わせたリージョナルフィッシュが40億円を調達したというニュースです。

ゲノム編集 生き物が本来持っている遺伝子の一部を、狙って改変する技術。外から別の生き物の遺伝子を入れる遺伝子組み換えとは区別されることが多いです。

AIの要約によると、リージョナルフィッシュ社は地球温暖化で魚の成育が難しくなるなか、高温に耐えられる魚の品種改良に取り組み、すでに成果を上げているとのことです。

川上さんがホームページで確認したところ、タイやヒラメ、フグなどで、食べられる部分(可食部)を増やした魚をゲノム編集で育て、クラウドファンディングで資金を集めて販売している例もあったそうです。

資金調達には、複数のベンチャーキャピタルに加え、セブン-イレブン・ジャパンや大和ハウスグループのベンチャー部門、みずかんなど、さまざまな企業が新規株主として参加しているとのことです。

ゲノム編集と遺伝子組み換えは何が違う?

川上さんは、ゲノム編集と聞くと「まだよくわからない」「遺伝子組み換えと何が違うの?」と感じる人が多いのでは、と話します。

そのうえで、少し誤解があるかもしれないとしながら、川上さんはゲノム編集をこう説明していました。

川上 自然界で交配されているのを効率よく交配する取り組み、技術がゲノム編集だというところじゃないかなと思います。

身近な例として、GABAが多く含まれるトマトが挙げられました。GABAには安眠効果があるとされ、こうしたゲノム編集食品が2025年にどんどん出てくるのでは、と川上さんは話します。

GABA 体内にもあるアミノ酸の一種で、ストレスをやわらげたり睡眠の質を助けたりする働きが期待される成分。機能性表示食品などにも使われています。

海外に目を向けると、豚のゲノム編集の肉や、栄養の数値が高い卵などがすでに販売されているとのこと。日本でも畜産物のゲノム編集が進めばいい、と川上さんは期待を寄せていました。

暑さに強い牛「スリック遺伝子」への期待

話は酪農へと移ります。川上さんは、ゲノム編集そのものではないものの、品種改良で高温に耐えられる牛をつくる取り組みにも触れました。

鍵になるのが「スリック遺伝子」です。ゲノムの数値を測って選ぶことで、牛の毛が伸びにくく短くなり、暑さへの耐性が高まる品種になるそうです。

スリック遺伝子 牛の毛を短くし、体に熱がこもりにくくする遺伝子。暑さに強い牛の育種で注目されていて、熱ストレス対策として研究が進められています。

昨年は長野県や兵庫県の試験場で、こうした牛が生まれてニュースになったとのこと。川上さんは、日本でもこの流れが進んでほしいと語ります。

そして川上さんは、季節の話も交えて先を見据えます。1月が過ぎればもうすぐ夏。暑さに強い牛への期待は、けっして遠い未来の話ではないと感じさせます。

川上 夏でも生産が下がらない牛とか、少ない餌でもより多く牛乳が出る牛みたいなのがどんどん出てきて、日本のゲノム編集の力で生まれてきたらいいなと思ったりするのは。

未来の食卓を守るために、消費者にできること

最後に川上さんは、こうした技術には消費者の理解が欠かせないと強調します。難しく感じても、まずは一度調べてみてほしいと呼びかけていました。

そのうえで川上さんは、国産の農産物や乳製品、地元の農産物を選ぶことこそ持続可能な農業や水産業につながると語ります。

未来の食卓を守るために前向きな取り組みですから、これ。 ── 川上

安全性についても「誤解があってはならない」と川上さん。ゲノム編集は未来の食卓を守る前向きな取り組みだと、あらためて伝えていました。

番組は毎朝7時から配信中で、リスナーからのお便りや「川上牧場とやってみたいこと」も募集しています。牛乳を飲んで、今日も一日がんばりましょう。

まとめ

今回は、ゲノム編集で高温に強い魚を育てる水産ベンチャーのニュースを入り口に、酪農の未来まで話が広がりました。技術の進化を消費者としてどう受け止めるかが問われる回です。

  • リージョナルフィッシュがゲノム編集とスマート養殖で40億円を調達し、高温に耐える魚の品種改良で成果を上げている
  • 川上さんはゲノム編集を「自然界の交配を効率よく行う技術」と説明し、遺伝子組み換えとの違いへの理解を呼びかけた
  • 酪農でも、品種改良で暑さに強くなる「スリック遺伝子」を持つ牛が注目され、国内でも誕生している
  • 夏でも生産が落ちない牛や、少ない餌でよく搾れる牛への期待が語られた
  • 国産や地元の農産物・乳製品を選ぶことが、持続可能な農業や水産業につながる