牛乳のチカラで未来を育む!北海道の子育て支援に注目
2025-01-12 配信|川上牧場 酪農データバンク
この回の要旨
今回は、北海道が子育て世帯に米牛乳券5000円分を配布するニュースをきっかけに、酪農支援のあり方を考える回でした。川上さんは「牛乳を値上げするか、税金で支援するか」という問いを投げかけつつ、島根での直接支援の効果や、新規就農の場所選びまで踏み込んで語りました。
この回の要点
- 北海道は子育て世帯に米と牛乳の商品券5000円分を配布する補正予算案をまとめた
- 島根県は酪農家・畜産農家への直接支援を行い、餌代高騰による廃業を防いだ実績がある
- 支援には「牛乳の値上げ」と「税金による支援」という2つの道があり、どちらも一長一短がある
- 新規就農では、支援が早く酪農をやりやすい環境の自治体を選ぶことも大切だと川上さんは話す
- 川上さんは、それぞれの地域での牛乳の適正価格を教えてほしいと呼びかけている
配信の全文(podyの記事より)
三連休の朝、新成人にも牛乳を
配信は毎朝、島根県出雲市にある小さな牧場から届けられています。この日は1月12日の日曜日、晴れて寒いながらも雪はなく、出雲市はおだやかな朝を迎えていました。
川上さんはこの日を三連休の初日として過ごしていて、来週の東京出張に備えて早めに家に帰り、事務仕事をしようかなという、ゆるやかな休日モードで話し始めます。
ちょうど成人式の自治体もある日だったこともあり、川上さんは新成人に向けても呼びかけます。
川上 お酒が飲めるようになりますね。お酒じゃなくてミルクはいかが?っていうね。
牛乳のむ?牧場配信 島根県出雲市の川上牧場が毎朝7時から配信しているラジオ番組。酪農家の川上さんを中心に、牛乳や酪農の魅力を発信しています。
子ども食堂や食育につながるグッズとNFTのお知らせ
乾杯の前に、川上さんからいくつかお知らせがありました。ひとつめは、グッズ販売サイト「SUZURI」の新春セール。アーティストやイラストレーターと川上牧場がコラボした作品が並んでいて、この日が最終日だと案内しています。
SUZURI Tシャツやマグカップなどにイラストを載せて販売できるグッズ販売サイト。購入した喜びをSNSに投稿できる機能があります。
もうひとつは、Instagramで進めている「#未来の牛乳」の取り組みです。消費者が「こんな牛乳あったらいいな」というアイデアをAIアートにして、それをNFTにして販売しているそうです。
このNFTの売上には、はっきりとした使いみちが決められています。
川上 (NFTの売上は)川上が子ども食堂に牛乳を支援したりとか、小中高の食育授業に行く時の費用に当てさせてもらおうかなと思います。
NFT デジタルデータに「これは本物」という証明をつけられる仕組み。ここではAIで作った未来の牛乳のアートに使われています。
北海道が子育て世帯に米牛乳券5000円分を配布
乾杯のあとは、AIがまとめた今日のニュースのコーナーです。取り上げたのは、NHKニュースウェブの記事から、北海道の新たな物価高騰対策でした。
記事によると、北海道は物価高に対応する経済対策として、子育て世帯に米と牛乳の商品券5000円分を配布する費用を盛り込んだ補正予算案をまとめたそうです。
さらに北海道では、幼稚園や保育所などの給食費用の補助として1億3200万円などの予算も組まれていると紹介されました。
川上さんによると、こうした券の配布は初めてではなく、東京都と北海道で2回目くらいになるのではないかと話しています。
物価高騰対策 モノの値段が上がって家計が苦しくなるのを和らげるために、行政が予算を組んで行う支援策のことです。
川上さんは、この政策には米や牛乳の消費を後押しする狙いもあると見ています。
川上 離婚される方が3人に1人とか増えて、シングルマザーの方も増えてたりとか、所得の格差みたいなのも問題になってたりします。
川上 行政が率先的にこういうところを支援するっていうのはとてもありがたいですね。農家としてもありがたいなと思うところでございます。
島根と北海道、それぞれの酪農支援のかたち
話は川上さんの地元、島根県の支援にも広がります。島根県は子育て世帯に券を配るタイプではなく、酪農家や畜産農家に対して行政が直接支援するかたちをとってきました。
具体的には、配合飼料が規定の価格より高くなったとき、それ以上にかかる費用を県が見てくれる政策があったそうです。川上さんは、令和7年もぜひ継続してほしいと願いつつ、財政を圧迫する難しさもあると話しています。
配合飼料 牛などの家畜に与える、栄養バランスを整えたエサのこと。原料の多くを輸入に頼っているため、価格が上がりやすい状況が続いています。
一方で北海道側の別の記事では、より大きな支援策が紹介されました。畜産農家を支援する緊急の経済対策として、配合飼料価格の安定制度に加入する生産者に、1トン当たり800円の基金積立金相当を助成する内容などです。
自給飼料の増産などコスト削減に取り組む農家を支える仕組みもあり、川上さんは北海道の支援を大きなものだと受け止めていました。
牛乳の値上げか、税金による支援か
ここから川上さんは、消費者に投げかけたい大きな問いを提示します。酪農家が減り続け、乳牛が1万頭を切ったというニュースもある中で、支援のあり方をどう考えるかというテーマです。
川上 牛乳そのものの値段が上がるのがいいのか、税金として皆さんが税金を支払いして、それから国とかこういう都道府県が支援する方がいいのか、どっちがいいですか。
この問いを、川上さんは身近な野菜の値段に引きつけて語ります。キャベツが1玉500円、白菜も同じくらいになっているところがあると触れながら、家計を支える主婦の目線を想像していきます。
酪農を支える2つの道
牛乳の値段を上げる
消費者が直接高い値段を払う。ただし1本500円などになると買い控えが起きるおそれがあると川上さんは指摘します。
VS
税金で支援する
行政が農家を支えることで価格は安定しやすい。一方で支出が増えると、みんなの税金が上がっていく可能性があります。
川上さんは、安定を求めるなら税金での支援のほうが向いているかもしれないと感じつつ、国がどんどん支出すると税負担が重くなるジレンマも見つめています。
川上 若者なんてもう税金めちゃめちゃ高いですよ。もう給料の3分の1ぐらい取られちゃうじゃん、本当にね。
そのうえで川上さんは、農家が減り、気候変動で生産量が安定しない中で、どうすれば安定して食べられるのかを、聞いている人にも考えるきっかけにしてほしいと話していました。
直接支援は効いた、島根で酪農を続けられた理由
川上さんは、島根県の酪農家支援を振り返り、その効果を実感を込めて語ります。金額が大きかったこの支援のおかげで、餌代の高騰が理由で辞めた農家はいなかったと言います。
川上 実際僕も支援していただかなければ本当にやばかったなって思うところは何個もあったんで、こういうところをやってもらいたいなとは思いますけども。
ただし川上さんは、この支援もいずれは税金だという点を忘れていません。ちゃんとお金が回るようなシステムにしていかないといけないのではないか、と自分に問いかけるように話します。
この記事を見てもうひとつ思ったのが、これから酪農家になろうとする新規就農の方のことでした。
川上 北海道で酪農するのがいいかなって思いがちなんですけども、この支援がね、早いとか、加味して、自分が今後どこで酪農をしていこうかなっていうのを考えた方がいい。
すぐ支援してくれるような行政とか、酪農がやりやすい環境のところでやる方がハードルは低いのかな。 ── 川上
気候変動や海外情勢に振り回され、個人ではどうにもできない場面が多い酪農だからこそ、支援が早い自治体を選ぶことも大切だと、川上さんは新規就農者に向けて語りました。
適正価格の声を、需給の販売委員会へ
ニュースのあとはコメントに戻ります。「子供がいる家庭では大変ありがたい」「独身は牛乳飲まねえから値上げしても買ってます」といった声が寄せられていました。
これに対して川上さんは、値上げの限界をあらためて問いかけます。
川上 でも牛乳が一本500円とかになったら買わないでしょ。キャベツを見たりするともうゾッとしますけどね。
川上さんは、こうした状況が続くと供給が安定しなくなると見ています。大規模農家と家族経営の農家に二極化し、鳥インフルエンザで1つの農場が止まると、その県の卵が買えなくなるような事態も増えていくのではないかと危ぶんでいました。
最後に川上さんは、リスナーへ具体的なお願いをします。それは、それぞれの地域での牛乳の適正価格を教えてほしいということです。
川上 私のところはいくらだよとか、これぐらいの値段だと嬉しいなみたいなのを送っていただけると、私が出席する牛乳の需給の販売委員会で発言していこうかなと思います。
三連休のお出かけには、ぜひお肉や牛乳製品を選んでほしいと呼びかけ、この日の配信は締めくくられました。番組ではリスナーからのお便りや、やってほしいことも募集しています。
まとめ
今回は、北海道が子育て世帯に米牛乳券5000円分を配布するニュースをきっかけに、酪農支援のあり方を考える回でした。川上さんは「牛乳を値上げするか、税金で支援するか」という問いを投げかけつつ、島根での直接支援の効果や、新規就農の場所選びまで踏み込んで語りました。
- 北海道は子育て世帯に米と牛乳の商品券5000円分を配布する補正予算案をまとめた
- 島根県は酪農家・畜産農家への直接支援を行い、餌代高騰による廃業を防いだ実績がある
- 支援には「牛乳の値上げ」と「税金による支援」という2つの道があり、どちらも一長一短がある
- 新規就農では、支援が早く酪農をやりやすい環境の自治体を選ぶことも大切だと川上さんは話す
- 川上さんは、それぞれの地域での牛乳の適正価格を教えてほしいと呼びかけている